日本の会社で働いている韓国人（20代・男性）と話をしていた時に、日本のイメージについて聞いてみた。
日本はどこでも清潔だし、電車の時間厳守も本当にスゴイと思うけど、韓国には「日本＝アナログ社会」という遅れたイメージがあって、彼も日本で生活していて、現金をよく使うのを見るとそう感じるという。
その象徴がファックスで韓国人が日本をネタにする時、よくこのマシーンが使われる。
この朝鮮日報のコラムを読めば、日本に対する韓国人が見方がよく分かる。（2020/10/31）
「ファクス・ジャパニーズ」
東京（かその近郊）に住んでいた韓国人の記者がコロナ禍のために自宅で仕事をしていた時、国会議員にインタビューをしようと議員事務所へ電話をかけた。
すると秘書は「質問紙をファクスで送ってくれ」と言う。
でも、自宅にプリンターとファクスなんて無いから、電子メールを送らせてほしいと頼むと、「コンビニに行ってファクスで送ってください」と秘書はルールを曲げない。
それでいちばんラクな方法を考えたこの記者は、ソウルにある朝鮮日報のオフィスにメールを送り、編集局が質問紙を作成して印刷し、そこから東京の議員事務所へファクスを送った。
東京（自宅）→ソウル→東京（議員事務所）のやり取りを経て質問紙を送ったのに、なぜか事務所には届かなかったから、そこでやっと秘書は電子メールのアドレスを教えてくれた。
記者はすぐに質問をメールで送る。
最初からこうしていれば、ほんの数分で終わらせることができたのに。
日本では外務省がレセプションを開催する場合も同じで、外交官や特派員はファクスで返答することがきまりになっているという。
こんな経験から、この韓国人は日本の二面性をみる。
地球から３億キロ離れた小惑星に探査船を送るほど科学技術が発達しているのに、韓国では考えられないような進化の遅れた面がある。
そんな日本を記者は「ファクス・ジャパニーズ」と揶揄（やゆ）した。
「ファックス・印鑑・紙の資料」を現代日本の”三種の神器”と呼ぶ（またはバカにする）韓国メディアもある。
中央日報がつけた見出しはきっと韓国人の総意だ。（2020.05.11）
「コロナ検査結果はファックス、電話で集計」…ＩＴ後進国日本の素顔
コロナ患者の集計でファックスや電話を使っているから、日本は効率が悪くてとても時間がかかる。
韓国に比べて日本は「IT後進国」と思う韓国人は知人を含めてよくいるし、これはあちらでは代表的な日本のイメージだ。
だから朝鮮日報のコラムも「（日本の）改革が結果を出し、古い時代の文化が見直され、韓国にも新たな刺激になることを期待している」とやや上から目線の言葉でしめくくっている。
ツッコミどころは多々あるとしても、「IT強国」の韓国では役所の書類がいつでもすぐ手に入るし、日本より進んでいて、生活に便利な面があることは否定できない。
日本と韓国に住んだことのある知人のアメリカ人も、それは間違いないと太鼓判を押す。
日本人と韓国人の国民性の違いは「パリパリ（急げ急げ）！」という言葉に表れている。
このアメリカ人に言わせると、韓国のバスは運転が荒くてすぐにスピードを出したかと思うと急ブレーキを踏むから、危険でオソロシイ。
＊韓国人のバス運転手からしたらこれは平常運転で、きっと”急ブレーキ”とは思っていない。
バス停の前にピタリと停まってくれないことも多いから、そういう時は自分が移動してバスに乗らないといけない。
でもある時、ドライバーがその前に発車したからバスに乗れなかった。
それを韓国人の友人にグチると、「今度はあなたが早く動いて、遅れないようにしなさい」と自分のせいにされる。
「早いのは正義」という韓国のパリパリ文化は外国人には動かせないから、この国に住む以上、自分が慣れるしかないとアメリカ人は思うことにした。
韓国で ITが発達した理由にも、この国民のパリパリ気質が理由にあるとアメリカ人はみている。
彼女は自分の経験から、日本のバスや社会は反対でゆっくり丁寧なサービスが期待できるという。
コンビニへ行く代わりに、東京→ソウル→東京のやり取りをしたのも速さを最優先した結果だろう。
ファクスが大活躍していて、古い時代の文化の見直しが韓国人に期待されている「ＩＴ後進国」の日本。
でも、細かいところへまで配慮が行き届いているから、大事なところでは韓国よりも安心感がある。
先日、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した時にそれが明らかになったから、日韓の対応を比較して韓国メディアは日本の対応を見習うべきと提案した。
ハンギョレ新聞の報道によると、速度でも大きな差がついた。（2023-06-01）
警戒警報に「大きな違い」…北朝鮮の発射、ソウルは１２分後、日本は１分後に発令
こうした緊急事態ではスピードが命で、国は短くて適切なメッセージをすぐに国民へ出す必要がある。
韓国は北朝鮮の隣なのに、日本人のほうが12倍も早く避難メールを受け取ったと知って、ショックを受けた韓国人は多かったようだ。
しかも日本政府のメッセージには現状や避難方法など必要な情報がしっかりあったから、自国と比べて「レベルに違いがある」とため息をつく韓国人もいた。
今回の件で国民からぶっ叩かれた韓国政府は、日本の「Ｊアラート」を参考にシステムを一から見直すことにしたという。
朝鮮日報（2023/06/01）
韓国 北の挑発に備え警報システムの全面見直しへ＝Ｊアラート参考
これで日本人が「（韓国の）改革が結果を出し、古い時代の文化が見直され、日本にも新たな刺激になることを期待している」とか言うと、きっと韓国の人たちに怒られる。
まあ、日本人は文化としてこういうことは言わないが。
国家にとってもっとも大事なことは国民の生命や財産を守ること。
今回のケースを見る限り、その点において日本は韓国の先を行っている。
コロナ対策でも終わりごろを見てみれば、100万人当たりの累計死亡者数は278人の韓国に対して日本は218人と、結局は日本のほうがうまく対応することができていた。
全国的に遺体安置室や火葬場の不足が深刻になっているのに、韓国政府は「成功した」でしめくくろうとするから朝鮮日報が激怒する。（2022/03/26）
政府は国民に「もう少しだけ気をつけて」と言うのではなく、「政府はうまくやっている」と言った。大きな災難に遭っている国民に対する最低限の礼儀もない。
韓国の新型コロナ死亡者数・感染者数は世界最悪なのに「防疫を成功裏に終えつつある」と言うのか
韓国には日本の天気予報のほうが正確だからと、自国を無視して日本が出す予報を参考にする人もいる（知人談）。
韓国人にとって重要で分かりやすい基準は日本の上か下で、日本をとにかく強く意識するから、「ＩＴ後進国」とバカにすることがあれば、参考にして学ぼうとすることも多い。
日韓はそれぞれキャラが違って独自の長所・短所があるから、刺激を受けながら高め合っていけばいい。
ただし、相手国へのリスペクトは忘れないでほしい。
オマケ
2022年に福島沖地震が発生し、東北自動車道が大きな被害を受けた。
NEXCO東日本が午前７時45分に発信したツイッターの写真が左で、その日の午後３時44分に、一般車が通行できるまで復旧したと発信した（右の写真）。
災害時の復興スピードも、きっと日本は韓国にとっては未来だ。
【通行止め解除情報】（15:30時点）
昨夜23:36から地震のため通行止めを実施しておりましたが、先ほど東北道全線解除となりました。大変ご迷惑をおかけしました。
応急復旧での解除となっております。走行には十分お気をつけください。
なお、常磐道は引続き作業中です。←before
after→ https://t.co/bDtyRrI0QW pic.twitter.com/hwqI1GRZRD— NEXCO東日本（東北） (@e_nexco_tohoku) March 17, 2022
ブロガーの知人に、日本に留学してきた女性がいます。
この女性も私に、「日本はとても息苦しい面があります」と言いました。 あまりにも形式と手続きを重視するため、韓国生活に慣れている韓国人が適応するのは難しいと言います。上の本文に書いたああいうことのせいです。
しかし、すべてが超スピードで進められる韓国で見逃すことを日本は絶対に逃さないという長所があります。 こういう点で韓国と日本を半々ずつ混ぜておくととてもいいと思います。 できるかも知れないが···
ファックスと印鑑の文化には日本国内にも批判はあります。
が、日本はなかなか変わりません。
日本と韓国は隣同士で歴史や文化も共有しているのに、なんでこんな国民性の違いが生まれたか興味深いです。