ゲリラからの脅迫を受けて、もうそこに住み続けることは不可能になった一家が小型飛行機に乗って脱出する。
そしてジャングルの上空を飛んでいた時、エンジントラブルを起こして飛行機が墜落。
母親やパイロットなどの大人は全員亡くなって、子供だけが取り残されてしまう。
その後の彼らの運命は…。
そんな映画のようなことがコロンビア南部に広がるアマゾンで起こって、当局が飛行機の墜落現場を確認すると、子ども4人が行方不明になっていることが分かった。
奇跡を信じたコロンビア政府は軍を動員し、大捜索を行った結果、40日ぶりに13歳、9歳、4歳、1歳の子どもたち全員が無事に救助された。
このニュースに驚く日本のネット民。
・ディスカバリーチャンネル見てると大の大人がナイフ火起こし鍋ありで21日持たなかったりするのに
この子供は何者だ?
・冗談抜きで映画化されるやつ
・13歳の長女がサバイバル経験豊富らしいけど、1歳の赤ん坊連れて生還はすごすぎるわ
・ネタバレだけどこれ超自然生命体が関わってるよ
・こんな事あり得るの?
俺(43歳 無職男性)でも3日で死ぬと思うわ
飛行機が墜落しても助かってさらに猛獣のいるアマゾンのジャングルで、13歳の女の子がリーダーになって食べ物や飲み水を確保しながら、1歳児を連れて40日も生きていたというのは日本人の想像と常識を軽く超えすぎ。
これが日本人だったら、大人がいても逆の最悪展開しか考えられないし、アニメなら最初のシーンで異世界転生していたところ。
飛行機の墜落事故としては、バッドラックの中にもハッピーエンドがあってこの事故はまだよかった。
同じ南米で50年前に起きた「ウルグアイ空軍機571便遭難事故」では、奇跡の生存者がいたにもかかわらず、最後まで陰うつだった。
1972年10月13日、乗員乗客45人を乗せた飛行機がアンデス山脈の山に墜落する。
この事故で生き残った28人はその奇跡に感謝し、その後、恐ろしく寒い雪山に取り残されれた運命を呪ったはず。
でも、きっとすぐに捜索隊がここへ来てくれるという期待は、機内にあったラジオで、捜索が中止されたというニュースを聞いて無くなった。
彼らは機内にあった板チョコ、スナック菓子、ワインといった食料を慎重に分け合い、雪を溶かして飲み水を確保しながら、どの命の火も消さないように耐えていた。が、それでも力尽きて亡くなる人が出てくる。
ある時は機体の中にいたら雪崩に襲われて全員が雪に埋められ、この出来事で8人が死亡し生存者は19人に激減した。
このままここにいたら、苦痛を味わいながら死ぬしかない。
それで救助を求めるために、まだ体力のありそうな人間でチームを組んで山を下りることにした。
必死に歩き続けた彼らは途中で空き缶を見つけて文明の気配を感じて歓喜し、やっと人と出会うことに成功して全員が救助された。
飛行機が墜落した後、16人が72日間も雪山で生き抜いた!
この奇跡には全世界が驚いたし、メディアとしては全力取材をするしかない。
すると彼らが寝泊まりしていた飛行機の残がいの中で、”肉”が保存されていたことが分かって(救助に同行したガイドらがリークした)、別の衝撃や恐怖が世界中へ伝わる。
やがて生存者は、死者の肉を切り取って食べていたことを認めた。
食糧が無くなって植物も動物もいない雪山では、それは生きるための最後の選択肢だったが、受け入れるまでには時間がかかったらしい。
何人もの生存者が食べることを拒否したが、ロベルト・カネッサが主導権を握った。この決定は人肉食する相手のほとんどが彼らの親友・級友であったので軽い決定ではなかった。
極限状態の中で人間が生きるためには、ヒトであることを一時あきらめないといけないことがある。
1884年にオーストラリアへ向かっていたイギリスの船がアフリカのあたりで遭難した時、船長は17歳の少年を殺害してその血でのどの渇きをいやし、死体を食料にして3人が助かった。(ミニョネット号事件)
日本でも1944(昭和19)年に、北海道でそんな「ひかりごけ事件」が起きている。
「罪のない者だけが石を投げなさい」と聖書とあるように、こうした人を責めることのできる人間は限られている。
アンデス山脈の雪山で死者の肉を食べたサバイバーは、その後に向けられた非難と好奇の目がとても辛かったという。
同じ南米でも、アマゾンのジャングルには食べ物があったから、子どもたちが決断をしなくてすんだのは本当によかった。
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