日本人と韓国人のちがい 速さと計画性・楽観的と具体的

 

日本と韓国は「近くて遠い国」とよく言われる。
地図上ではお隣どうしの国だから、1000年以上も前から交流があって歴史や文化で共通するところも多い。
まえに日本にいる韓国人とお寺へ行ったとき、彼が屏風を見て「びょうぶ」と言ったように聞こえたから、そんな日本語を知っているのか! とビックリしたら違った。
屏風は韓国語で「ピョンプン(병풍)」と言うことから、日韓の人たちは同じ言葉を使っていることを知る。でも、過去の歴史をめぐる対立は無くならないし、政治的には軽く銀河系レベルの距離がある。

では、「心」はどうか?
日本の会社で働いていた韓国人(20代・男性)と話をしていると、日本人は計画性があってとても丁寧に仕事を進めるから、韓国人の自分としては、進行が遅くてイライラすることがよくあるとグチをこぼす。
日本に住んでいろんな日本人と接してきた彼からすると、日本人と韓国人の内面の違いは「速さ」と「楽観主義」だ。

スピード重視の韓国人は何でも速くやることが好きで、それが性(しょう)に合っているから、そんな国民のニーズに応じてネット通信も世界最速かトップクラスになった。
でも、徳川家康のようにチャンスがくるのをじっと待つのは嫌いで、日本人みたいに長期的な展望をもって着実に進むことも苦手。

日本企業に入社して彼はそんなことを感じた。
日本では新人研修にとても時間をかけて、会社の考え方やルールなどを丁寧に説明していたのが印象的だった。
韓国の会社なら研修をちょっとやったら、すぐに新人に仕事を与えて、それをしながら大事な考え方やルールを学ばせていく。
ただ準備期間が短いから、失敗する確率も高くなる。
でも、韓国には「誰だってミスはある。まあ気にするな」と、甘くはないが大目に見る雰囲気がある。
もともと新人が大きな仕事を担当することは、基本的にはないから、会社に重大な影響を与えるようなミスをすることもない。
その事情は日本の会社も同じ。
だから、慎重な日本人と楽観的な韓国人の違いがあらわれると思うと彼は言う。

石橋を渡るかどうかまず検討して、OKが出たら、安全な部分をゆっくり歩くのが日本人なら、まず石橋を渡り始めて、何か起きたらその時に対応を考えればいいと思うのが韓国人だ。
もちろんこれは0か100ではなくて、日韓の人間にはそんな傾向があるということ。

 

そんな話をしていると、彼が韓国人の性格を象徴するこんな言葉をおしえてくれた。

「始まりが半分だ」

何かを始めたら、それでもう半分は終わった、50%成功したのと同じだという意味。
「俺は海賊王になる!」と決意しても実際に動き出さないと、いつまでもたっても海賊王になることはできない。
思っているだけの状態から一歩踏み出すと、一気に道の半分まで来たようなものだ。
韓国人はそんな発想をするらしい。
日本語でいうなら「思い立ったが吉日」か。
カレンダーを見て縁起の良い日を選んで始めるのではなく、そう思い立ったこそ吉日と考えてすぐに動き出す。
ただ、この言葉は実行することの重要性を伝えるもので、「もう半分終わった」という楽観的な要素はない。

 

人生の成功ということなら、日本には吉田松陰のこんな有名な言葉がある。

「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故(ゆえ)に、夢なき者に成功なし」

幕末の長州藩で伊藤博文や高杉晋作、木戸孝允(桂小五郎)などを指導した吉田松陰はこんな熱いことを言った。
松陰は「諸君、狂いたまえ」なんてことも言っちゃう過激な人だったから、「こいつはヤバいやつ」と最期は幕府に処刑されてしまう。

「俺は海賊王になる!」という夢があったとする。
そしたらそれはどんなモノなのか、もう少し具体的に考えて、自分の理想とする海賊王を頭に思い描く。
すると、それを実現するための計画も見えてくる。
そしてそれを実行することで、成功につながっていく。

日本人が松陰のこんな言葉を好きな理由は、具体的なステップを踏んで進んでいく発想に共感するからだろう。
この言葉を韓国人はどう思うか?
知人の意見だと、夢のない人間に成功はない、という考え方には韓国人も共感する。
でも、そのための段階は無視して、自分にとっての最短ルートを見つけて取りかかるか、それかまずはやってみて、問題が出てきたらそのつどクリアして進んでいく。
日本人なら考えながら歩いて、韓国人なら歩きながら考える気がする。

ということで日本人と韓国人から、スピードと計画性、楽観的と具体的といった要素を半分ずつ取り出して1人の人間をつくると、パーフェクトヒューマンになるかも。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。