去年の9月に日本へ来たドイツ人男性と、今年の4月に来たドイツ人女性とご飯を食べに行っていろいろな話をした。
だもんで今回はその中から、いま今の季節に合った話題をシェアしようと思う。
1年を24の時期に分けた「二十四節気」によると、2023年は6月21日から7月6までが「夏至」で、7日から22日までが「小暑」になる。
6月下旬の今は、中国語に日本語の読み方をくっつけた梅雨(つゆ)の真っ最中だ。
2つを重ねるとウキウキではなくて、「ジメジメ」と読みたくなるような雨季。
ちなみに沖縄はきのう6月25日に梅雨明けした。
日本国内でも北海道と沖縄では天候が別世界のように違う。
ドイツでも地域によって気候の差が当然あるから、より正確に言うと、彼らの感想は自分たちの住んでいたドイツ北部の都市ブラウンシュヴァイクと現在住んでいる浜松市との比較になる。
まず気候について聞いてみると、意外なことにドイツに雨季はなかった。
大雨が降って川が増水して洪水が起こることはあっても、一年の中で雨が集中的に降る梅雨みたいな時期はないという。
考えてみれば、梅雨前線は東北のあたりで消えて北海道に梅雨はないから、雨季がない国があってもおかしくないか。
日本に比べるとドイツは乾燥しているから、夏に温度が上がっても、汗がたくさん出るような不快さはない。
涼をとるにはファンがあれば十分で、ドイツにある2人の家にはエアコンがないというから、日本なら生存権にかかわる事態だ。
そんなことで彼らは今、人生で初めて雨季を経験していて、その感想には良いことが1つ、悪いことが2つあるという。
まずは嫌なことから書いていこう。
留学生の2人は雨の降る中、傘を差して自宅と学校を行き来しないといけないけど、まあそれはドイツでも同じだから問題ない。
問題というか、敵は湿度だ。
こんなにたくさんの水分を含んだ、生暖かい空気の中で生活するのは人生で初めてだから、不快指数が高くて、大学に行っていつものように過ごして、家に戻ってくるころにはかなり疲れてしまう。
ネットでフランクフルトの6月の気候を見てみたら、最高気温は24℃で最低気温は14℃、雨の日は9日ある。これで空気が乾燥しているなら、日本人にとってはパラダイスだ。
だから彼らにとってここはヘル。
でも本当の地獄は、梅雨が終わってから始まるのだけど。
2人のうちの女性は、朝はまだいいとして、お昼ごろ冷房の効いた建物の中にいて、すっかり外のことを忘れてしまい、ドアを開けると、あの生暖かくてジメジメした空気に全身を包まれる瞬間がすごく嫌だと言う。
話を聞いた男性は「それな!」と完全同意。
あの快適空間からのギャップは日本人のボクでもうんざりするから、ドイツ人だとヒットポイントをかなり消費するはずだ。
自分たちドイツ人には暑くてイヤな梅雨も、木や植物にとっては「よみがえりの時期」だから、水分をたっぷり吸収して緑豊かになった自然は本当に美しい。
このまえハイキングをした女性はあんなに生き生きとした、鮮やかな新緑はドイツでは見たことがないと言う。
ドイツ人は一般的に散歩が好きで、週末には森林をブラブラ歩いたり、自転車で走ったりして自然を満喫する人がよくいる。
2人は日本に来てから、いまの時期の田んぼがお気に入りになった。
一面に水が張られていて、たくさんの緑の稲のある田んぼが広がる景色は、ドイツでは見たことから目にとても新鮮に映る。
だから2人とも空いた時間があると、近所を散策しながら小さな自然を楽しんでいる。
一番手前にいるのが話を聞いたドイツ人女性
梅雨について2人が嫌ったのが、日本人の敵でもある「G」が出没すること。
ドイツでもゴキブリはいないことはない、という程度にはいて、男性の方は見たことがなかったけど、女性の方は、わりと暖かくて汚い大学の研究室で一度だけ見たことがある。ウワサには聞いていたアレを、みんなその時初めて見たからパニックになったという。
ドイツではゴキブリは一般家庭ではなくて、すごく不潔なところに出てくるイメージがあるらしい。
でも最近、ついに男性は人生で初めて、部屋の床を高速で移動する“ヤツ”の姿を目撃してすごく気持ちが悪くなった。
女性の方は日本ではまだ見ていないけど、その時の心の準備はできている。でも、実際に出没したら恐怖で固まる予感しかない。
日本の年間降水量は世界平均の約2倍、世界的にみても日本は雨の多い国だ。
ベルリンの 571.1㎜(年間降水量)に比べて東京は 1466.7㎜と約3倍で、しかも雨季のないドイツと違って日本では梅雨と台風の時期に集中している。
ソース:国土交通省のHP「世界平均の2倍、日本の降水量」
そんなまったく違う環境からくると、ジメジメした空気とゴキブリ、そして緑鮮やかな自然と初めて経験することがたくさんあるらしい。
それは権利か迷惑か? 日本人とドイツ人の“自己肯定感”の違い
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