【韓国人が見た日本】ITは遅れていても、安全では先進的

 

こういう記事があると、韓国の人たちはきっと嬉しくなる。

中央日報(2016.08.11)

外国人観光客が選ぶ「驚きの韓国」第1位は?

韓国で驚いたことについて、外国人観光客を対象にアンケート調査をしたところ、トップ3は次のようなことだった。

1位:Wi-Fi(55%)
2位:公共交通(19%)
3位:はさみで食べ物を切る文化(13%)

韓国を訪れた外国人は地下鉄、観光地、食堂などいろいろな場所で、無料Wi-Fiを使うことができると知って驚いた。
しかも、スピードが速い。
「IT強国」を自負する韓国国民に、「韓国のWi-Fi速度に驚いた。観光地で歴史などを調べる時に非常に役立った」と称賛する外国人の声は心地よく響いたはずだ。
ちなみに上の3位は、サムギョプサルやチキンなどの肉料理をはさみで切ることで、こんな韓国の食文化も外国人には意外だったらしい。

 

日本人からすると、韓国語の「パリパリ(早く早く)」という言葉は、韓国人の考え方や行動を理解するためのキーワードだ。
「パリパリ」は、細かいことを気にしない「ケンチャナヨ(大丈夫だ)精神」とセットになっている。
韓国では基本的に完成度よりもスピードが重視され、早ければ早いほどいいとされている。
日本語にも「思い立ったが吉日」と早く始めることを促す言葉はあるけれど、「始めたら半分だ」(始めたら、半分が終わったも同然)という韓国語と同じようなニュアンスの言葉は日本語で聞いたことがない。
「パリパリ」な韓国人にとって、Wi-Fiの速度が遅いことは耐えがたい苦痛になるから、技術がどんどん進んでいって、気がつけば外国人が驚がくするほどネット環境が充実した。

「IT先進国」の韓国さんからすると、今でもハンコやファックスをよく使う日本が不思議に見えることがよくある。

中央日報(2016.08.30)

デジタル韓国、アナログ日本

「IT後進国」の日本を、どことなく上から目線で眺めることも多い。

朝鮮日報(2020/05/03)

新型コロナウイルスが日本特有のアナログ文化を揺るがしている。全世界がデジタル化に向かって疾走する中、電子署名ではなく、押印を固守し、電子決済よりも現金を愛用する日本社会がコロナを契機に変化するか注目される。

コロナ事態で揺らぐ「アナログ共和国」日本

 

同時に韓国は「日本が相手なら、じゃんけんでも負けられない」というほど強烈な対抗心を持っている。
上の記事はそんな意識の裏返しだ。
韓国人のやる気を最大限に引き出す魔法の言葉は「日本に追いつき追い越せ」。
だから自国をもっと良くするためには、日本の良さを素直に認めて学ぼうとする姿勢もある。

2018年にソウルの地下で火災が発生し、電話線や光ケーブルが焼けて、広い範囲で電話やインターネットが使えなくなる事故が発生した。
カードでの支払いができなくなったり、GPS機能が使えなくなったりして、韓国社会は大混乱におちいる。
こうした大きな出来事が起きると、「では日本を見てみよう」とすぐに日本の対策が紹介される。
朝鮮日報の報道によると、日本ではしっかりとした管理体制が整っているから、こんなケーブル火災が起こることは考えられない。
(2018/11/26)

見掛け倒しの通信大国…日本に比べ甘すぎる災害対策=KT火災

 

先日、韓国で大雨が降って多くの人が亡くなり、死者の数は50人を超える勢いだ。
こういう事態が起こると、「日本を見習え」論がよく出てくる。

中央日報(2023.07.17)

「住居価格が落ちる」という反発があったが、日本政府は法制化を強行した。国民の安全が最優先だからだ。たばこの吸殻をあまり捨てないようにと訴える我々韓国とはあまりにも対照的だ。

【噴水台】日本の「ハザードマップ」

 

日本では、アパートやマンションの賃貸契約などの際には、洪水や地震の危険水準や過去の被害の状況、避難所の位置が示された地図 「ハザードマップ」を提供することが義務化されている。
一方、韓国にはこんなハザードマップがないから、同じ大雨が降っても受ける被害の大きさが違う。

中央日報は韓国の安全対策の遅れも指摘している。
去年の夏も大雨によって、多くの市民が亡くなる悲劇が起きた。
それを受けて、ソウル市は約1500億円をかけて、大量の雨水を流すトンネルの建設を決める。
でも、そのためには、排水口を詰まらせる原因となるタバコの吸い殻を減らさないといけない。
それで今は、吸い殻の無断投棄に対するペナルティーを、5万ウォンから20万ウォンに引き上げることを議論しているという。
これでは、トンネル工事がいつ始まるのかさえ分からない。
日本は国民の安全のためなら、一部の反発があっても断行するから、「我々韓国とはあまりにも対照的だ」と中央日報はため息をつく。
こういう重要なところで「パリパリ精神」が発揮されないという不思議。

 

日本人が韓国を旅行すると、Wi-Fiが通じる範囲や速度などで、IT環境が進んでいることを感じるだろう。
日韓は古代から隣同士で歴史や文化に共通する点が多いのに、日本人の「本音と建前」が韓国人には理解しにくいなど国民のキャラはかなり違う。
それぞれの強みや弱み、先進的な点と後進的な点も際立っている。
実際、韓国ほど日本を強く意識し、よく観察する国はないと思う。
韓国メディアの日本関連の記事を読むと、知らなかった日本の長所を発見したり、ストレス耐性がついたりしてけっこう役立つ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。