「外国に比べると、日本は遅れている。いや、もう終わってる。」
日本に住んでいると、そんなフレーズを何度か聞いたことがあるのでは?
アメリカを引き合いに出してそう言う日本人に、米ジョージタウン大のドーク教授はこう反論する。
「何を言っているのですか、日本はまだましですよ」
産経新聞にそんなインタビュー記事がある。(2023/7/24)
米国よりマシな日本 ジョージタウン大教授・ドーク
アメリカは日本よりも経済力や軍事力、そして国際的な影響力でも上回っている。
でも、アメリカがすべてのスペックにおいて、日本の上位互換であるはずはない。
ドーク教授は社会の安定については、日本の方がアメリカに優(まさ)っていると指摘する。
日本の街は一般的にどこも清潔である一方、アメリカの都市部では「表通りを一歩入ると街中にゴミが山積みになっている」といった状態。
それに、さまざまな犯罪も増えている。
ドーク教授が住む首都ワシントンDCでは、若者による「カー・ジャッキング」が多発しているから、中心部に行くことが恐ろしいという。
「カー・ジャッキングってなに?」と思って検索すると、「ジャッキアップの方法」、「ジャッキアップ現象」、「車用ジャッキスタンド」といった言葉が出てきて、ますます意味が分からなくなった。
日本の社会では馴染みがないらしい。
英語版ウィキベテアを見ると、これは車を乗っ取る(ハイジャック)ことを意味していて、その目的や方法にはいくつか種類がある。
信号で停まっている車を襲い、ドライバーに銃やナイフを突きつけて外に追い出し、車を奪って逃走するというのは典型的な例らしい。
2021年に全米で、もっとも多くのカージャッキング事件が発生したのはシカゴだった。
シカゴでは2019年以降に急増し、2020年には少なくとも1415件の事件が発生している。
「Chicago began experiencing a surge in carjackings after 2019, and at least 1,415 such crimes took place in the city in 2020.」(Carjacking)
若者がカージャッキングをする動機について、ドーク教授は「彼らは貧しいから車を奪うのではない。犯罪をゲーム感覚で楽しんでいる」と話す。
社会から道徳が失われていて、彼らは善悪の判断がつかなくなっている。
だから、アメリカの社会秩序は危機に瀕していると指摘した。
日本が金銭的にも武力的にもアメリカを上回っているという世界は、現実をひっくり返しただけの単純な発想だから、マンガの設定としても安っぽい。
この2つでは、日本はアメリカに永遠に勝てない気がする。
でも、社会の秩序なら、日本がアメリカに負ける気がしない。
日本に住むアメリカ人から話を聞いて、現実が理解できてくると、日本の治安の良さはやっぱりスゴイということを再確認する。
知人のアメリカ人は日本が気に入って、10年以上も住んでいる。
日本にいろんな不満があるとしても、彼が日本を選んだ大きな理由は安全な社会であることで、精神的にすごく暮らしやすいと感じていた。
そんな彼との話の中で、アメリカ社会の汚点と日本の美点が見えてきた。
まず、アメリカの治安の悪さの決定的な要因は、銃社会であること。
憲法が銃の権利を保障していて、誰かが銃を持てば、自分も護身用に銃を持ちたくなる。
いろんな理由でアメリカでは銃が広く出回っていて、銃と犯罪はセットになっていることから、殺害や大けがを負う事件がとても多い。
でも、一般市民から銃を取り上げることは困難で、いまのところは不可能らしい。
そんな社会が嫌になった知人のようなアメリカ人からすると、日本のほぼ完璧なガンコントロールはとても素晴らしく見えるし、安心できる。
それに日本の警察は優秀で、高いモラルを持っているから信頼できる。
重大犯罪の検挙率も高く、それが犯罪抑止になっている。
一般的な日本の警察官はアメリカの警官よりも真面目に仕事をするし、不正行為もしない。
日本の警察官が人種差別意識から、市民を殺害することは考えられない。
それに日本では、銃の代わりに平等が広く社会に行き渡っているから、経済格差への不満から生まれる犯罪が少ない。
教育の格差が小さいことも、社会を安定させる重要な要因になっている。
アメリカの場合、そんな格差を背景に抗議活動が暴動に発展することもある。
最近は日本でも、ショッキングな事件が何度か起こっているけれど、それらは例外的なものだ。
カージャッキングみたいな映画で見るような事件が何度も起きて、大学教授が「中心部に行くのが恐ろしい」と感じる悲惨な状況にはなっていない。
カージャッキングが1つの都市で年間1415件以上も発生するというのは、日本人の感覚だとやっぱり映画かアニメの世界だろう。
だから、「カー・ジャッキング」でググっても「ジャッキアップの方法」や「車用ジャッキスタンド」というワードがヒットして、その事件が出てこない。
一言で「治安が良い」といっても、さまざまな要因があってその状態が成立している。
細かく見てみると、銃規制や経済・教育の平等性など、日本は多くの点でアメリカを上回っている。
都市部の清潔さや治安の面では日本の方が優っていて、社会的な安定や秩序があることも間違いない。
ちょうどいまアメリカの警備保安会社「ADT」が、旅行をする際の安全/危険な国のランキングを発表したというニュースを発見。
それによると、旅行に危険な国のトップスリーはこんな国々だ。
1位:南アフリカ
2位:アメリカ
3位:スウェーデン
逆に、最も安全な旅行先はこんな国々だった。
1位:日本
2位:スロバキア
3位:キプロス
このランキングでも、治安の良さや社会秩序において、日本がアメリカをはるかに上回っていることが分かる。
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