日本人の平等意識 外国人が花火大会で感じた違和感

 

きのう8月8日、大津市で「びわ湖大花火大会」が行われた。
コロナ禍前は約35万人の観光客を集めていたこの花火大会が、開催直前でネットで炎上してしまう。
そのきっかけは主催者がこんな呼びかけをしたことだ。

「有料観覧席のチケットをお持ちでない方は来場をご遠慮ください」

多くの人がこれを「無料で見ようとする人は来ないでほしい」と受け取った。
さらに、主催者は混雑を避けるためという名目で、有料エリアを囲むように高さ4mのフェンスを設置することを決めた。
この仕打ち(対応)に、もともと渋滞や大量のゴミに悩まされていた地元自治会が怒り、花火大会の中止を求める決議文を大会実行委へ提出。
住民の思いは、決議文にある「有料席を購入できる人は限られ公平性に欠ける」という一文に集約されている。
ちなみに、有料席のプライスゾーンは4500円から6万円までで、合計約5万席ある。
「たかっ」と思ってしまうけれど、この花火大会に必要な費用は3億円というから、このぐらいは妥当かも。

この事態にネット裁判官の判断は?

・金払った人の為って事だなw
・隅田川の大混乱なんか見ると、有料観覧以外は遠くから見ろってのも一理ある気がする。
・近隣に住んでる人間としては混雑するだけの迷惑イベントでしかなくなった
・勝者タワマン住民
・タダ見できなくてキレるっていうw

「びわ湖大花火大会」の背景はよく分からないが、フェンスが設置された理由は安全対策よりも、平等意識を考慮したことの方が大きいだろう。
6000~6万円の有料席を購入したを出客としては、「タダ見客」と同じほぼ景色を見ることに納得できないはず。
外部世界を遮断する4メートルの壁には、主催者側の強い気持ちが伝わってくる。

今回の花火をめぐる論争で、外国人が日本の花火大会で感じた違和感を思い出した。

 

 

きょねんトルコ人、モンゴル人、バングラデシュ人、インド人、アフリカ(タンザニア)人を連れて、地元の浜松で行われた花火大会に行った。
これはびわ湖花火大会と違って、近所の人たちがヒマだったら足を運ぶような小さなイベント。
日本では平均的か、それをやや下回る花火大会でも、さまざまな音や大きさの花火が打ち上げられ、最後には迫力のスターマインもあって、外国人はもれなく感動&感激する。

そのあとレストランへ行って、感想を聞いてみた。
彼らは国や宗教、文化圏もバラバラだったから、良かったポイントは人によって違っていたけど、あの花火大会が無料だったことには全員一致で驚いていた。
何千発もの花火を打ち上げるには、花火代や人件費など、かなりのお金が必要になることは誰にでもわかる。
彼らは事前にチケットは不要だと知って意外に思い、実際に花火を見たら想像以上の迫力だったから、あのイベントを無料で楽しめたことに、改めて不思議な気持ちがしたようだ。

「あの収益はどうなっているんだ?」とタンザニア人がお金のことを知りたがる。
地域の祭りの花火大会なら、主に地元の人たちが費用を負担して、屋台や有料席からもいくらか収益があるはずだ。くわしいことは知らんけど。
彼らの感覚からすると、あれほどの素晴らしいショーを見ることができるなら、入場料が1000円だったとしても、それは妥当な対価として払うことができるという。
母国では、イベントを楽しむためにお金を出すことが当たり前だったから、こういう日本の平等の考え方に違和感を感じたらしい。
「日本には、祭りの楽しみをみんなでシェアする文化があるんだよ」というボクの説明よりも、「日本は経済大国だからね」というトルコ人の話に外国人は納得する。
ボクと彼らでは前提や立場が違うのだけど、こんな外国人の感想を聞くと、「花火は無料が当たり前」という感覚は実はおかしいような気がしてきた。

花火大会を有料化にする動きは、いま全国で広がっている。
お金を支払う人は良い場所で花火を見ることができて、そうでない人は遠くから見るしかない。
これを格差社会の拡大と感じる人もいれば、むしろ平等や公正が実現したと考える人もいる。
日本人なら、「花火を無料で見れないこんな世の中じゃ…」と不満に思う人が多く、外国人なら「それがフツウじゃね?」と感じる人が多いのでは?
日本では、条件が違っても、みんなが同じ結果を得られることを「平等」と見なす傾向が強い気がする。
いっそのこと花火大会を廃止すれば、完全平等で悪夢ような退屈社会を実現できる。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。