数年前にタイのビーチで日本人の集団が全裸になって、「ヒャッホーイ!」と大声を出してはしゃいでいた。
でも、そこは王室の保養地があるところで、この日本人の言動があまりに失礼だとタイで大ヒンシュクを買ってしまう。
このド迷惑な集団に怒ったタイ人が動画を撮影し、SNSに流したことからこの騒ぎが全国に知れ渡ることになる。
知人のタイ人にこの話をすると、「知ってます!実はタイ人はあの動画を見て、最初は中国人だと思ったんです。日本人は静かで、すごくマナーが良いですから」と笑う。
こういった「日本人(中国人)は〇〇だ」といった先入観や思い込み、固定観念をステレオタイプという。
ステレオタイプのイメージには良いものもあれば、ネガティブなものもあり。
「日本人はとても礼儀正しい」と言われたら悪い気はしないが、「日本人男性の多くは痴漢で、女性はいつも被害にあってかわいそう」とかなり誇張したイメージを言われたら悪い気しかしない。
そんな勝手な固定観念を、外国人から押し付けられるとかなりウザイ。
20年以上前にエジプトを旅行していて、ボクが日本人だと分かると「マジか!じゃあ空手を見せてくれ!」と無茶ぶりをするエジプト人が何人もいた。
「いや、空手はできない」とボクが答えると、「なんでだ?おまえは日本人だろ?チョットだけやってくれよ」としつこく迫るヤツもいてかなり面倒くさい。
しかもエジプトは暑いし。
「日本人=空手使い」という勝手なイメージは、ひと昔前の海外ではよくあったステレオタイプのイメージだと思う。
でも日本では、日本人が外国人に勝手な思い込みを押し付けて、不快な思いをさせてしまうことがある。
ということで、これからボクが聞いた実例を紹介しよう。
・アメリカ人
20代で白人のアメリカ人男性が店でホットドッグを買ったら、「あんた、どこから来たの?アメリカ?じゃあ、ケチャップ多めにつけとくね」とおばさんに言われて、ケチャップ盛り盛りのホットドッグを渡された。
で、「アメリカ人ならケチャップ好きってどんな発想だよ。オレはケチャップがあまり好きじゃないのに」と困惑する彼。
こっちのアメリカ人はそれより深刻だ。
グアム出身でチャモロ族の彼女は黒い目と髪をしていて、見た目はフィリピン人とそっくり。そんな見た目のせいで日本人からはよく、「あなたは…アメリカ人ですか?英語を話せるんですか?」という質問を何度も何度もされて心底ウンザリ。
アメリカ国内で生まれ育って完璧な英語を話すのに、「アメリカ人=白人・黒人」という日本人のステレオタイプのイメージに合わないという理由で、不愉快な思いを何度もさせられた。
・ドイツ人
ドイツ人はビールが大好き!と、勝手に思い込んじゃってる日本人は多いと思う。
もちろんそんなドイツ人はたくさんいるが、知人のドイツ人そうではなくて、飲めないことはないけど基本的にビールは好きじゃない
それを知らなかった日本人の友人と居酒屋へ行った時、彼は日本の文化を尊重し、「最初は生中」の儀式を不本意ながら受け入れた。
で、大好きなサワーを頼むために、目の前に置かれたビールをさっさと飲みほす。
すると、「いいねー、さすがドイツ人!」と友人がうれしそうに言うと、ビールジョッキを目の前にドンッと置きやがります。
「あの、わたしはビールが好きじゃないです。だからこれはいりません。」と拒否すると、「え?ドイツ人なのに、なんで?」とエジプト人みたいなことを言う。
なんでじゃないし。納豆嫌いの日本人だってたくさんいるじゃん!と彼は心の中で叫ぶ。
友人は100%勇気じゃなくて、善意でやっているから、無邪気なぶんかえって面倒くさい。
「オクトーバーフェストには興味がない」と言うと、「なんで!」と日本人に驚かれることにもウンザリ。
・日系ブラジル人
浜松には日系ブラジル人がたくさんいる。
そんな彼らが日本語を学ぶために集まる会に参加した時、サンバとサッカーが嫌いな日系ブラジル人がいて、日本人にそう言うと「信じられない!」という顔をよくされると話していた。
この言葉はもう日本人の持つステレオタイプのイメージではなくて、“ブラジル人の定義”を破壊する威力があるかも。
ほかには、日本では自然が好きだと言うと、日本人からは「ブラジルにはアマゾンがあるじゃないですか」といった反応が何度か返ってきたというブラジル人もいた。
ブラジルの面積は日本の約22.5倍で広大だ。
彼の住んでいたサンパウロは大都市で、自然はあまりないらしい。
アマゾンなんて行ったことがないし、行きたいとも思わない。
飛行機でそんなところへ行く時間と金があるなら、彼としてはフロリダのディズニーリゾートへ行きたい。
そんな話をすると、「ブラジルと言えばアマゾン!」という固定観念を持っている日本人(昭和世代に多いような)は意外そうな顔をする。
日本人のアマゾン好きはチョット理解できない、というのがそのブラジル人の率直な感想。
それぞれの国の外国人に、ステレオタイプのイメージを持っていることは悪いことじゃない。
でも、それを無意識に前提にしてしまうと、その気は無くても押し付ける感じになって、相手に「またか…」とか「ウザっ」と不愉快な思いをさせることもある。
悪気がないぶん気づきにくいから、要注意だ。
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