困った時の日本：スリランカ人は日本や中国をどう思う？

スリランカは北海道よりチョット小さい島国で、そこには約2000万人が暮らしている。
最近その国の経済危機が「かなりヤバい」を超えて、「もう無理です！」のゾーンに突入してしまい、スリランカの大統領が国家としての破産を宣言した。
といっても他国がスリランカを買い取ることはできないし、国民の生活も守らないといけない。
だからスリランカはギブアップ宣言を出して、最悪の状態を認めたところからリスタートすることにした。
それで白羽の矢が立ったのは日本。
ウィクラマシンハ大統領は債務再編に関する協議の主導を日本にお願いしたいと言い、来月に訪日した時には岸田首相と会談する予定だという。
スリランカが日本に何を期待しているのか具体的にはワカランけど、中国やインドなどの債権国を集めて「経済再生計画」についての話し合いをしてほしいようだ。

このニュースに日本のネット民の感想は、好意的なものはほぼ皆無だった。

・無理です
・えー面倒くさそう
・日本に夢見すぎやで
・こんなの依頼されるくらい仲良かったっけ
・日本はもう貧乏国になってしまったんだよ

スリランカと日本の関係といえば、ジャヤワルダナ元大統領を忘れちゃいけない。
太平洋戦争に敗戦した日本が出席したサンフランシスコ講和会議で、連合国51カ国の代表の前で彼は「憎悪は憎悪によって消え去らない、慈愛によって消える」と仏教の言葉を引用し、セイロン（現スリランカ）は日本への賠償請求権を放棄すると明言した。
これに日本が感謝したという話はこの記事を見られたし。

ジャヤワルダナ：日本の“恩人”も、スリランカ国民には“敵”

スリランカに大きな影響力を持っている国にはインドや中国がある。
でも、中印は軍事的に対立していて互いに警戒心を持っているから、スリランカとしては、経済復活のための話し合いをどちらかに頼むことはむずかしい。
それでわりと中立的な立場の日本に、「ぜひ！」という流れになったと思われ。

先月、日本にいるスリランカ人をお寺に案内した。
20代・男性の彼が「友だちも連れてきていいですか？」と聞くから、「オッケー」と軽く答えたら当日、６人のスリランカ人がいてビックリ。
彼らとの話では、やっぱり経済破産が話題になる。
この原因にあるのが中国で、高い利子で金を貸して後からそれを強引に回収しようとし、それができなかったらスリランカの重要な施設を自分のモノにする。
上の動画で、返済に行き詰ったスリランカがハンバントタ港を事実上、中国に譲渡したというのがソレだ。
彼らはこの状態を「中国のトラップにかかった」と表現する。
ただ、国家破綻の最大の原因はスリランカの腐敗した政治家だ。
亡命した前大統領は中国に”国を売って”、自分と一族は巨額の利益を得て、国民をどん底状態に追い込んだと６人みんなが考えていた。
中国に対して良い印象はないが、いちばん許せないのはこうした売国政治家だ。

発展途上国のスリランカにはこれまでいろんな国が支援してくれたけど、どの国もその見返りを要求してきた。
でも、彼らから見て日本は違う。
日本だけは見返りと引き換えに、支援をすることはなかった。
そんなことからスリランカ国民は日本に対しては、「とてもクリーンな先進国」というイメージを持っている。
もちろんこれは６人のスリランカ人の意見や見方で、日本が実際にまったく見返りを求めなかったかは知らない。

日本とスリランカはこれまで良好な関係を保ってきたし、スリランカ人は日本にとても好意的だ。
日本は「トラップ」をしかけることはないと、きっと国民は考えている。
別にスリランカの借金を日本が肩代わりをするわけじゃないし、ただのボランティアではなくて日本の国益になるカタチで、スリランカ経済の再生計画で日本がまとめ役になってもいい。