第二次世界大戦では同盟関係にあって、共に敗戦国となった日本とドイツ。
韓国メディアの記事にその2国が出てくると、それは日本にとって不幸フラグになる。
さらに、ポーランドやユダヤ人が登場すると、その記事は、過去を直視して謝罪したドイツを引き合いに出し、それを“拒否”した日本を非難する内容とみてまず間違いない。
ハンギョレ新聞のこのコラムには、そんな韓国の認識がよく表れている。(2022-04-25)
ドイツは第2次世界大戦とそれに先立つ自国の罪業について、事実を認め、これを反省し、償うことでヨーロッパ社会に復帰することを許された。
[山口二郎コラム] ウクライナ問題と日韓関係の修復
そうは言っても、フランスやイギリスなどのヨーロッパの戦勝国と、日本と戦ったことのない韓国では立場がまったく違う。
それに、韓国よりも長い間、日本に統治された歴史を持つ台湾は、歴史問題を取り上げて日本に反省や謝罪を要求していない。
いまの日本と台湾は、日台関係と書いて「とも」と読んでいいほど良好だ。
韓国では、そのへんの事情に光は当てられず、日本は誠実なドイツの反対側の立場に置かれている。
上のコラムによると、ドイツは「国際正義について自分の頭で考える能力を持っている」一方、日本は歴史の事実を認めず、反省を拒否している。そんな日本の態度は、日韓関係の「険悪化の大きな原因」となっている。
日本がドイツのように過去としっかり向き合い、韓国に謝罪を行い、韓国が日本を許すことで両国は真の意味で友人になることができる。
韓国社会では、これは常識的な認識だ。
だから、韓国メディアはドイツとポーランドを例に挙げて、よく日本に反省や謝罪を求める。
でも、その気持ちの強さには人によって大きく違う。
「過去は過去、現在は現在」と分けて考え、日本を旅行しておいしい食べ物や素晴らしいサービスに感激し、日本を好きになって帰国する韓国人は多い。
同時に、日本大使館前で激しい抗議デモを行い、謝罪や賠償を要求する人たちもいる。
それでも全体的には、日本に対する韓国社会の認識は変化していて、こういう動きは減少しているように感じる。
最近、朝鮮日報に外交専門家による寄稿文が掲載されていた。(2023/08/13)
韓国がベトナム・ポーランドの過去史から学ぶべき教訓
韓国メディアの報道に、ベトナムとポーランドが並ぶことはめずらしい。
それも、日本ではなく、韓国が過去から教訓を学ぶべきだという。
これは、ポーランドに謝罪したドイツに日本は学ぶべき、といういつもの論調とは違う。
興味がわいて、中身を読んでみた。
まず筆者は、韓国には日本から与えられた苦難の歴史があるが、ベトナムやポーランドには及ばないと指摘する。
ベトナムは、フランスの支配やアメリカとの戦争などによって、全国民の10%に当たる800万人が亡くなった。
ポーランドは、周辺国によって国土が分割され、その後120年以上にわたり地図上から姿を消していた。1918年に独立を取り戻したが、1939年にドイツとソ連によって再び分割合併され、その間に560万人の国民がドイツに殺害された。
さらに、ポーランドの軍人や知識人など指導的立場にいた2万2000人も、ソ連軍によって虐殺された。
ベトナムやポーランドはこんな重い歴史を抱えているにもかかわらず、それを蒸し返して他国を非難したり、責めたりすることはない。
外交専門家はそんな両国を引き合いに出し、韓国の現状についてこう述べた。
植民支配が終息して80年が過ぎた現在も、韓国ではあの時代に対する追加の謝罪と賠償の要求が大いに話題になる。(中略)独り韓国だけが過去史に埋没して生きることはできない。
韓国がベトナム・ポーランドの過去史から学ぶべき教訓【寄稿】
歴史学者のアーノルド・トインビーはこんな言葉を残した。
「人類にとって最も大きな悲劇は、過ぎ去った歴史から何の教訓も得られないことである」
韓国も、ベトナムやポーランドのように過去にとらわれず、未来のために他国と協力し、国を発展させていくことが重要だ。
韓国が歴史から学ぶべき教訓は、「同じ不幸が繰り返されないように富国強兵を確固として行うこと」だと外交専門家は強調する。
日本は自国の罪業について、事実を認め、これを反省し、償うことで国際社会から信頼を得ることができるーー。
こんなふうに日本に謝罪を求める声は、韓国の左派リベラル派の間で特に強くある。
一方で、現政権や朝鮮日報などの保守派は、そうした左派を「反日を政治利用している」と非難し、過去に固執せず、日本と未来志向の関係を築くべきだと主張する。
実際、過去の歴史問題について、日本は何度も謝罪していて、韓国も「最終的な解決」を約束した。日本がこれ以上、頭を下げる理由はない。
韓国メディアが「日本はドイツに学べ」ではなく、「韓国はポーランドから学べ」と主張するのはなかなか新鮮なアプローチだ。
同じ不幸な歴史を見ても、左派と保守派では解釈が大きく違っていて、前者は日本に謝罪を求めるが、後者はそれを否定し、韓国を強く豊かにするべきだと訴える。
きょねん尹大統領が誕生したことをきっかけに、韓国社会の認識は少しずつ変化していて、メディアでは謝罪要求よりも、日本と協力し、富国強兵を重視する論調が増えてきたと感じる。
韓国メディアの記事にドイツやポーランドが出てきても、それが日本の不幸フラグにはならなくなる日も近いかも。
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