「日本はドイツを見習え」と言ってた韓国に特大ブーメラン

1939年９月１日、ナチス＝ドイツがポーランドに攻め込んで、第二次世界大戦が始まった。
ポーランド軍による必死の抵抗もむなしく、強大なドイツ軍に加えてソ連軍まで侵攻してきて、９月29日には首都ワルシャワが陥落し、10月に戦闘は終了する。
一切の憐憫（れんびん）の情を持たず、無慈悲に、すべてのポーランド人に死をもたらすという指針のドイツ軍の支配下に置かれ、ポーランド人はこの世の地獄を見ることになる。
虐殺や強制労働などによって市民は次々と殺害されていき、ドイツ人女性との性行為は「人種的汚染」とみなされて、何千人ものポーランド人男性が処刑された。（ポーランド人に対するナチスの犯罪）

これとは別にドイツはユダヤ系ポーランド人を捕まえて、強制収容所へ送り虐殺していく。
アウシュヴィッツ強制収容所があるのはドイツではなくて、ポーランドだ。

日本はそんなドイツと同盟関係にあって、同じく敗戦国となったことから、韓国メディアによく比較される。
その論調はいつも同じで、ドイツは過去の行いについてしっかり反省や謝罪、賠償をしたことで周辺国の信頼を得ることができたが、日本はまだそれができずにいる、といった感じだ。

たとえばこれは中央日報の社説。（2015.05.10）

これでは日本が国際舞台でドイツのような待遇を受けることはできない。（中略）日本が周辺国と本当に和解しようと思うならばいまからでもドイツを手本としなければならない。

過去史直視を「現在の責任」に昇華させたドイツ

最近では３か月ほど前、ハンギョレ新聞にこんな記事があり。（2022-09-17）

かつて日本の安倍晋三元首相が慰安婦合意に関連して「これ以上謝罪しない」と厚かましく強弁したのとは、あまりにも異なる歴史認識である。

日本はいつドイツを見習うのか

「歴史に対する態度について、日本はドイツを手本としなければならない」といったことを韓国メディアは繰り返し言うのだけど、そもそも日本とドイツではやったことが違う。
まず日本は、一切の憐憫の情を持たず無慈悲に、アジア（や韓国）人に死をもたらすなんて目標を立てたことは無く、したがってそのための強制収容所も存在しない。
ベトナムやフィリピンなど東南アジアの国で日本は、現地を植民地支配していたアメリカやイギリス、フランスなどの軍隊と戦っていて、現地の人を敵視したわけではない。
中国に対しては、たしかに攻め込んで中国軍と戦闘をしているから、ドイツによるポーランド侵攻と重なる部分はある。
韓国と日本は一度も戦ったことがない。
大韓帝国の皇太子だった李垠（イ・ウン）は、皇族だった梨本宮家の方子（まさこ）と結婚して日本の王族になったのだから、「人種的汚染」とは完全に別世界だ。

【李方子】韓国人で尊敬されるも、日本人の知らない日本人

といっても第二次世界大戦で、日本軍が東南アジアの人たちに苦痛をあたえたことは事実。
それは否定できないとしても、いま東南アジア諸国は日本に謝罪や反省なんて求めていない。
慰安婦問題については、2015年の日韓合意で韓国側も「最終的かつ不可逆的な解決」を確認したのだから、安倍元首相が謝罪を拒否したのも当然で、後からまた謝罪を要求するほうがおかしい。（慰安婦問題についての我が国の取組）

まあツッコミどころは多々あれど、韓国メディアは「日本はいつドイツを見習うのか」といったことを何度も言っている。
でもそれが、大きなブーメランになってしまった。

ポーランド侵攻が始まってから、ちょうど83年後の2022年９月１日、ポーランド政府はこのときの侵攻と占領による損害は約185兆円になると発表し、ドイツに賠償請求を求めた。
しかし、ドイツ政府の答えは「NO」。

時事通信の記事（2022年１月４日）

ポーランドの戦後賠償要求拒否＝「決着済み」とドイツ

賠償問題はすでに決着済みで、今さら交渉を始めるつもりはないとドイツはポーランドに通知した。
ドイツは前々から、この件はすでに解決済みだと主張していたから、それを改めて確認したことになる。
ポーランドはこれから国連にも協力を求めて要求するというが、ドイツの意志は固く、交渉に応じるとはとても思えない。
ドイツの鉄のような態度に、日本のネット民はこう思った。

・まぁそうなるわな
・韓国さん、そういうことだそうです
・そりゃそうだろ
認めたら国が終わるわ
・さすがドイツ
日本も真似させていただきます
・無限に蒸し返されても困るしな

いま「徴用」をめぐる問題について、日本はドイツと同じように「決着済み」と主張し、韓国の求める謝罪や賠償には一切応じていない。
国と国が一度約束したら、もう内容を変えられないのが世界の常識だ。
「ドイツを手本としなければならない」ということなら、「それはもう決着済み。交渉を始めるつもりはない」と日本は韓国に言うしかない。
「日本はいつドイツを見習うのか」と繰り返し言ってきた韓国は、このブーメランをしっかりキャッチしてほしい。