知り合いのドイツ人は日本が大好きだ。たぶん、目に入れても痛くない。
彼は静岡にある大学に留学していて、いまは母国に戻って働いている。
日本のことをよく知る彼から、ドイツ観光について話を聞いたから、今回はその内容をシェアしようと思う。
ーーいつかドイツに行こうと思ってます。
(こういう言い方は永遠に行かないフラグ。)
あなたのおすすめの場所はありますか?
それはいいね、ぜひ来て。
ボクの出身地、フュッセンにあるノイシュヴァンシュタイン城は超おすすめ。
実家の近くを散歩しているとあの城が見えるから、個人的にすごく親しみがある。(トップ画像の赤い丸)
ボクが日本にいたころ、名前は知らなくても、どこかで見たことがあると言う人が多かった。
ーーそれはボクも知ってます。
日本人に有名なヨーロッパの城の中でも、間違いなくトップ3に入りますよ。
19世紀のバイエルン王、ルートヴィヒ2世が建てた城ですね。
米ディズニーランドのシンデレラ城のモデルになったというウワサもある。
ルートヴィヒ2世は子供のころから騎士の伝説が大好きで、ノイシュヴァンシュタイン城はそんな彼の夢や美学を表現しているんだ。
ボクが日本で姫路城を見た時、全体的に白くてとてもキレイだったから、この城が思い浮かんだよ。
ノイシュヴァンシュタインの「シュバン(Schwan)」とは、ドイツ語で白鳥のこと。
姫路城は「白鷺(しらさぎ)城」と呼ばれているんでしょ? だから、この「白鳥」と重なるね。
ーー確かに、白鷺城も白鳥城も、日本とドイツを代表する優雅で美しい城ですね。
(でも、姫路城は世界遺産なんだが。)
ルートヴィヒ2世が死んだ時に、建設もストップしたから、ノイシュヴァンシュタイン城はまだ未完成なんだ。
そして、この城の最大の見どころはじつは内部にある。
ーーほぉ。
この城の外見は何度も見ましたけど、内部を見た記憶はありません。
何があるんです?
内装はすごく豪華なのに、城の奥の方に、すごく雑になっているところがある。
ルートヴィヒ2世の死を知って、職人が途中で仕事を放りだして帰ってしまったんだ。
だから、そこを見ると、職人のイヤイヤ感や解放感が伝わってくるからおもしろい。
ーーナルホド。
職人たちは、ルートヴィヒ2世の夢を実現するために働かされていた。
城の見た目と違って、仕事はブラックだったというオチですね。
1890年代のノイシュヴァンシュタイン城
せっかくドイツへ来るなら、教会建築も見るべき。
ボクは大学時代、アーヘンに住んでいた。
そこにある教会もすごくいいから、ぜひ見てほしい。
ーーアーヘン大聖堂ですね。
それはドイツでいちばん古い大聖堂で、初めて世界遺産に登録された建物でもある。
アーヘン大聖堂は、「ヨーロッパの父」と呼ばれるカール大帝が8世紀に建設を始めたもので、彼はここで戴冠式を行い、神聖ローマ帝国の初代皇帝となった。
*彼はドイツとフランスの英雄で、ドイツではカール1世、フランスではシャルル1世と呼ばれている。
それで独仏の間では、「彼はウチの国の偉人だ!」という論争があるとか。
それと、ケルン大聖堂もおすすめだ。
ケルン大聖堂は駅のすぐ隣にあって、アクセスがすごくいい。
カール大帝の戴冠式(800年)
プロテスタントの教会は、カトリックの教会と違って、とてもシンプルな作りをしている。
観光客が見て楽しんだり、「映える」写真を撮りたいと思うなら、いろいろな装飾があって、色彩豊かなカトリック教会の方がいいと思う。
アーヘンとケルンの大聖堂はすごく大きくて、内部には精巧なステンドグラスなどがあって、見どころ満載。
ーーその2つの教会は街中にあるから、自然に囲まれたノイシュヴァンシュタイン城とは環境が違いますね。教会とお城を見て、雰囲気の違いを感じ取るのもいいかも。
ああ、そうだね。
考えたことなかったww
ところで、質問があるんだが?
ーーどうぞ。
ボクが日本の歴史や文化に興味がある。
ノイシュヴァンシュタイン城と似た建物を日本で探すなら、それは姫路城でいいとして、アーヘン大聖堂と同じような建築物は何だと思う?
ーー考えたことなかったww
「千年以上前の宗教建築」と「初の世界遺産」という2つの要素で考えると、奈良にある法隆寺かな。
法隆寺を建てた聖徳太子も、国内では誰もが知ってるような偉人だから、知名度ならカール大帝に匹敵すると思う。
*1993年に、法隆寺地域の仏教建造物・姫路城・白神山地・屋久島の4件が日本で初めて世界遺産に登録された。
ーーそう言えば、君は奈良へ行ったよね?
法隆寺には行かなかった?
鹿と遊ぶことが楽しくて、そのお寺には行かなかったんだ。
あと、ローテンブルクもすごくいいところだよ。
ーーそれは初耳です。
(ネットで調べて)なるほど。
ローテンブルクは「中世の宝石箱」と呼ばれるオシャレな街で、日本人の人気も高いですね。
そうなんだ。
ローテンブルクでは、中世ドイツの街並みを見ることができる。
ボクは学校の旅行でそこへ行って、自転車に乗って街を走ったり、近くの山に登ったりしてとても楽しい経験をした。
日本で例えるなら、ローテンブルクは町屋のある京都みたいな感じ。
ーーこういう石やレンガの建物は、蒸し暑くて地震の多い日本ではむずかしいですね。
そういう建物のおかげで、ここは日本とはまったく違う街並みになってます。
それと、おもしろい話を聞いたんだ。
そうした建物のおかげで、ここは日本とはまったく異なる街並みになっていますね。 私も是非行ってみたいと思います。
ローテンブルクは、まさに日本人がイメージする中世ヨーロッパの街のようで、日本のアニメやゲームの舞台として利用されているらしい。
これは本当?
ーーローテンブルク自体が初耳だから…。
(カチャカチャ)日本だと、『ちっちゃな雪使いシュガー』というアニメや、RPGの『アトリエシリーズ』に出てくる場所のモデルになったみたい。
あと、ディズニー映画『ピノキオ』でも使われています。
日本のアニメやゲームの舞台として出てくる、中世ヨーロッパ風の異世界を「ナーロッパ」って言うんです。
なろう系小説とヨーロッパをくっつけた言葉で、剣士や魔法使いが魔物と戦うファンタジー世界のこと。
そのナーロッパで、ノイシュバンシュタイン城やローテンブルクがモデルに使われているという情報がネットにありました。
「ナーロッパ」か。
そんな日本語は初めて聞いた。
ーーあ、覚えなくていいですよ。
それはネットスラングで、実際に使う機会はほぼ無いですし。
それに、「ナーロッパでは~」とか言う外国人がいたら、日本人に重度のオタク外国人と認定されて、引かれるかもしれません。
とにかく、ドイツ観光では、ノイシュバンシュタイン城・カトリックの大聖堂・ローテンブルクが良さそうですね。
分かりました。ありがとう。
こちらこそ。
ボクも日本へ行ったら、今度は法隆寺に行ってみるよ。
ーー「鹿トラップ」には気をつけてくださいね。
ちなみに、ドイツ観光局が紹介している「異世界アニメ・漫画でよく登場するドイツの風景」には次の4つがある。
・城塞都市ネルトリンゲン(「進撃の巨人」のモデルになった町)
・ノイシュヴァンシュタイン城
・ローテンブルク
・森のエルツ城
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