【日本の海洋放出】韓国内で分裂、日韓友好が対立状態に

 

先週の木曜日、日本は福島原発の処理水を海へ放出した。
これは韓国やフランスの原発もしていることで、特に問題はない。
日本の対応も、国際原子力機関(IAEA)やカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、英国、米国のG7メンバーにも認められている。
でも、隣国では、これがきっかけで意見が対立し、社会は分裂状態になってしまうようだ。

朝鮮日報(2023/08/24)

24日13時に海洋放出…米紙「日本の汚染水が韓国を分裂させる」

この「汚染水」は韓国メディアの表現で、米誌は「処理水」と書いたと思われる。

ニューヨーク・タイムズの報道によると、日本の海洋放出に対して、韓国内では賛成と反対の真っ二つに分かれ、政治的に激しく二極化するという。
でも、実際には、韓国はすでに分裂している状況だ。
日本の処理水放出については、政権与党を中心に保守派が認めている一方、野党を中心とする左派リベラル勢力は強硬に反対している。

世界最高の権威を持つIAEAがGOサインを出した以上、尹(ユン)大統領も認めるしかない。
そもそも韓国の原発もしているのだから。
安全性が保障された海洋放出を「汚染水テロ」と、過激な表現で恐怖をあおる左派勢力に対して、尹大統領は”宣戦布告”をした。

中央日報(2023.08.29)

尹大統領、汚染水議論に「1+1を100という勢力…戦うほかない」

日本が処理水を海へ放出することによって、地球や人間が深刻なダメージを受けるーー。
そんな根拠のないデマを韓国では「怪談」と呼び、尹大統領はそれと戦っている。
韓国の科学者たちも政府と同じ立場だ。
中央日報(2023.06.20)

韓国原子力学会「汚染水、韓国に影響ない…科学的事実のねじ曲げは自害行為」

日本の海洋放出について、ヨーロッパ連合(EU)は科学的な観点から、健康への影響は無視できるレベルと判断し、日本産の食品に対する輸入規制を撤廃することを決めた。
問題はこれを政治的に利用する勢力がいて、韓国政府や日本を攻撃していること。
そのせいで、分断されるのは韓国社会だけではない。

 

ネット上には、日本と韓国の友好を願う人たちが集まるグループがいくつもある。
その中の1つでは、もうすぐ日本(や韓国)へ旅行する人がいると、いろいろな人がおすすめのホテルやレストランを紹介したり、旅のアドバイスをしたりしてくれる。
また、日本人や韓国人のメンバーが旅行した感想を写真付きでも投稿すると、多くの共感のメッセージが書き込まれる。

そんなほのぼのグループで最近、ある韓国人がこんな質問を投下した。

「우리모두 ‘바다에 오염물 버리는 것’은 어쩔 수 없다’라는 것에는 동의하지요? 여기에 감성적인 내용으로 이상하게 만들지 말라는 것입니다.
그러니까 우리는 일본의 방류가 문제가 있는지 없는지를 얘기하자는 겁니다.」

(機械翻訳だから100%正確ではないが)日本の処理水放出について、この人はこんな提案した。

「私たちはみんな、『海に汚染物を捨てることは仕方ない』という意見に同意しますか? 日本の放流に問題があるかないか、話をしましょう。」

すると、韓国人から次から次へとメッセージが届き、すぐにバトルに発展する。

・일본은 전세계 인에게 못된 짓을 했다.
日本は世界中の人々に悪いことをしました。

・이런 글 남길 거면 여기 나가세요
こんな投稿をするなら、あなたはこのグループから出ていって。

*以下、日本語だけで。

・キム様、中国の原発の放流に対する意見はいかがですか?
・放射線物質を流すことは、下水を流すこととまったく違います。
日本は、チェルノブイリ原発事故の悲劇を繰り返してはいけません。
・何の罪もない海洋生物に申し訳なく思います。
日本政府には地球共同体としての意識、それと良心や責任感を持ってほしい。
・IAEAの調査報告書より、怪談を信じるのですか???

その後、コメント欄は荒れて険悪な雰囲気になり、最後には管理者によって削除された。
反日や嫌韓とは無縁で、普段は日韓友好を願う人たちでも、処理水放出の話題に触れると2つに分かれて対立し、分裂してしまう。
尹政権や科学者たちが早く反対勢力に勝利し、怪談を駆逐してほしいのだけど、敵も手ごわく、人々を扇動するテクニックに長けている。
ということで、韓国内や日韓の分裂はまだまだ続きそうだ。

 

 

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

【唯我独尊】世界で唯一、日本の処理水放出を批判した韓国

「石を投げられる」。韓国政府の“反日”に苦しむ在日韓国人

少女が“性奴隷”に? 韓国の描く慰安婦像と歴史資料の天地の差

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。