「石を投げられる」。韓国政府の“反日”に苦しむ在日韓国人

「歴史問題と経済とは切り離して考えて、それぞれ別に対応するべき」なんてことを韓国政府はよく言う。
これがいわゆる「ツートラック戦略」ってやつで、つまりは「反日」と「経済的利益」を両立させるということだからそれはムリ。

慰安婦問題や元徴用工問題などすでに終わった問題を何度も蒸し返しては、日本に謝罪や反省、賠償を求める。と同時に、日本に通貨スワップ協定の締結を希望するというのは都合がよすぎる。
だから日本では政府も世論も、韓国からわき上がる「ツートラック」の声は無視しているのが現状。
ちょっと前の日本メディアの報道では、日本政府は韓国に対して「戦略的無視」をしているという。

そもそも元徴用工裁判で日本企業に賠償を命じて、歴史問題と経済活動を結びつけたのは韓国なのだから、自分の利益に反するからといって、今度はそれを分けて考えるよう日本に求めるのは筋違いだ。

でも韓国内の反日と、日本にいる韓国人を結びつけるのも筋違いで、これらは分けて考えないといけない。
日本国内には数十万人もの在日韓国人がいて、大阪で焼き肉屋を経営しているボクの大学時代の後輩もそのひとりだ。
在日韓国人のあいだでも日本との関係や歴史問題についての考え方はいろいろあって、その後輩は歴史・政治問題とは距離を置いていて、生活が安定し楽しく過ごせたらそれでいいと考えていた。
日々の生活が第一。
だから慰安婦問題などについては、関心はあってもそのために何か活動をすることはなく、それが原因となって日韓が対立しないでほしいと願っているだけ。

こういう韓国人と本国の反日とはまったく関係がない。
韓国内での反日活動によって店の経営が危なくなるというのは、因果応報の原則に反している。

韓国の裁判所が今月８日、慰安婦裁判で日本政府に元慰安婦への賠償を命じた判決を出したことで、両国に激震が走った。
これは「主権免除」という国際原則を無視したもので、韓国政府でさえ「理解しがたい」と絶句したほど常識外れの判断だ。
これによって、もともと「戦後最悪」といわれていた日韓関係がさらに悪化。
その被害者は日本にいる韓国人だった。

朝鮮日報の記事（2021/01/15）

「民団の建物に石が飛んできて…僑胞の死活かかっている」

東京都内のホテルで今月12日、在日本大韓民国民団（民団）の新年会が行われた。
このとき民団の中央本部団長は、「生活と未来が再び不安になるのではないか」「日本で暮らす私たちは安定した生活を望んでいる」と韓国政府が一日も早く問題解決に乗り出すよう促したと記事にある。

新年会が終わったあと、朝鮮日報のインタビューに応じた民団の団長はこう話す。

「（慰安婦判決などで）『韓国は約束を守らない国』だという雰囲気が広がれば、僑胞が経営する店も客が途絶えることになる」

「2018年の徴用賠償判決以降、不安を訴える人々が出ている。昨年も地方の民団本部に石が飛んできて、ガラスが割れたことが数件あった。」

慰安婦問題の解決を確認した日韓合意が、韓国政府によって実質的的に破棄された。
そのことについて団長はこう訴える。

「それはあり得ないことだ。もしそれが不平等条約だと考えるならば、外交を通じてそれを正すための努力をすればよい。大韓民国は李承晩（イ・スンマン）政権の時からすべてつながっているではないか。過去の韓日合意を批判するのはいいが、合意の正当性を認めなければ根本が崩れる」

あの合意は「不可逆的」だから、いまからさかのぼって変更させることは一切できない。
ここでいう外交努力とは具体的に何のことか分からないけど、韓国政府の合意破棄は「あり得ないこと」で「合意の正当性を認めなければ根本が崩れる」という指摘はホントそのとおり。

民団として韓国政府に希望していることをきかれた団長の答えがこれ。

「司法府が判断を下しても、政権が両国関係を考慮して、政府がすべきことをしなければならない。司法府の判断後は、政府が介入して日本と未来志向的に問題を解決してほしい。」

全体的にみて、韓国政府は約束をしっかり守ってほしい、そして未来志向的な日韓関係を築いてほしいと考えているようだ。

合意を守らない韓国側が日本大使館前に慰安婦像を建てて、「嫌がらせ」をしているというのはめちゃくちゃな話だが、韓国政府が合意を白紙に戻すと、日本の民団本部に石が飛んでくるというのも不合理だ。
関係ない焼き肉店もこんな目にあってないといいのだけど。

反日活動をしていた人がブーメランで傷つくのは自業自得だとしても、罪のない人間が罰を受けるのはおかしい。
ただボクも後輩という個人的な関係がなかったら、「正直、どーでもいい」と思っていたかもしれない。
韓国の反日活動と、それとは無縁で、日本で安定した生活を望んでいる人を結びつけてるのは間違い。
石を投げると、いつか投げられる。