人は死んだらどうなる? イスラム教、仏教、モンゴルの場合

 

少し前に、日本に住んでいるバングラデシュ人、モンゴル人、スリランカ人の女性と会って話をした。
その時のテーマは「人は死んだらどうなるの?」。
3つ国の文化的な観点から、違った意見を聞くことができたので、今回はその内容をシェアしよう思う。
ただ、これは個人の考え方や見方であって、それぞれの国や宗教を代表するものではないですよ。

 

ーーもうすぐ日本ではお盆があります。
この時期になると、地獄の釜(かま)のフタが「ゴゴゴゴ…」と開いて、死者がこの世にやってくるとされていまう。
まぁ、言ってみれば「日本版ハロウィン」ですね。
死者の魂は自分の家へ行って、家族や子孫と一緒に過ごした後、またあの世へ戻っていきます。
ちなみに、死者は「精霊馬」という乗り物に乗って、この世とあの世を移動することになっていて、これを「日本人らしい発想だ!」と気に入る外国人は多いです。

外国人の好きな日本文化:縁起物や精霊馬としての「ナス」

 

それで質問なんですが、まず、あなたたちの国では亡くなった後、どうなりますか?

バングラデシュ人:それは「国」じゃなくて、ヒンドゥー教やキリスト教などの宗教によって違いますよ~。
バングラデシュでは約9割がムスリム(イスラム教徒)なんです。
イスラム教の考え方では、人が死んだら、遺体の頭を聖地メッカの方向に向けて土葬されることになってます。
イスラム教の教徒にとっては、死はアッラー(神)によって最初から決められているんです。
そして、いつか復活して神の裁きを受けて、生前に善行を積んだ人は天国へ行って、そうでない人は地獄に落ちます。

スリランカ人:スリランカにはキリスト教やイスラム教徒もいるけど、一番多いのは仏教徒で、私もその一人です。
仏教では人が亡くなると、遺体を燃やすことがお約束です。
日本でも仏教徒は火葬するでしょ? それと同じですよ。

バングラデシュ人:そこが、イスラム教とまったく違うところなんです。
イスラム教の教えによれば、遺体を燃やすと、復活することができなくなってしまうから、火葬は絶対にダメ。

スリランカ人:仏教の考え方はその逆ですね~。
この世に肉体が残ると、魂が次の世界へ行けなくなるから、しっかり燃やして無くさないといけない。
で、遺体を焼いて出る煙には、魂を天に運ぶという意味がある。
人は死んだ後、自分のカルマ(生前の行い)によって、天国へ行ったり地獄に落ちたり、動物に生まれ変わったりします。
人々は死後、自分のカルマ(生前の行い)によって、天国に行ったり地獄に落ちたり、あるいは

モンゴル人:モンゴルではチベット仏教の人が多くて、葬儀のやり方を自分で選ぶことができます。それで、土葬する人もいれば、鳥葬(中国語で天葬)をする人もいます。
その人が鳥葬を選んだ場合、遺体は街から離れた野原へ運ばれ、そこに置かれます。
すると、ハゲワシが遺体の肉を食べるから「鳥葬」なんですね。

バングラデシュ人とスリランカ人:えっ、マジで?

モンゴル人:マジでガチ。
こうすると、スリランカの仏教にあった煙のように、鳥が死者の魂を天へ運んでくれると考えられているんです。
魂の行き先は、自分のカルマによって決まります。
生き物に自分の肉体をエサとして与えることも、良いカルマになるんですよ。

 

インドのパールシー(ゾロアスター教徒)も鳥葬を行っている。
信者が亡くなると、その遺体はこの特別な建物へ運ばれて鳥に食べられる。
異教徒はその建物の中を見ることができないから、詳しいことは分からない。
ちなみに、自動車メーカーの「マツダ(MAZDA)」の名前はゾロアスター教の最高神、アフラ=マズダーにちなんで付けられた。

日本にもあるゾロアスター教 自動車メーカーのマツダの謎

 

ーーあなたの国にもお盆みたいに、死者がこの世に戻ってくる日はありますか?

バングラデシュ人:いやいや、イスラム教でそんな考え方は聞いたことがないですね~。
人が死ぬと、魂は身体から離れて特別な場所に行きます。
そして、ずっとそこにいるから、日本のお盆のように特定の日に戻ってくることはありません。
その魂は神の裁きの日に、また肉体とくっついて復活することになっています。

*彼女が言った「特別な場所」とは、「バルザフ」のことだと思われる。
英語版ウィキベテア(Barzakh)にもっと詳しい説明がある。
ちなみに、日本でも浄土真宗では、死者は極楽浄土でハッピーに過ごしていると信じられているから、お盆の時期になっても、魂がこの世に戻ってくることはない。

スリランカ人:仏教では人が死んだ後、次の世界に行けない場合、魂がこの世にとどまることがあるんです。
それは常に存在しているから、お盆のように、特定の日に帰ってくることはありません。
だから、スリランカでは、お葬式の時には泣かない方がいいと言われています。
悲しくて泣くと、亡くなった人の魂が遺族のことを気にして次の世界に行けず、この世に残ってお化けになっちゃうんですよ。

モンゴル人:その点はスリランカの仏教徒と同じですね。
死者の魂が特定の日に、子孫の家に戻ってくるという考え方は聞いたことがありません。

ーーなるほど。
わかりました。
みなさんの話を聞くと、お盆は日本独特のスペシャルな行事みたいですね。
ありがとうございました。

 

今回のテーマに興味があったら、これを読むと参考になりますよ。

死者の崇拝

祖先崇拝

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。