世界中で愛されるクマ、テディベアにはこんな誕生の物語がある。
1902年に、アメリカのルーズベルト大統領が趣味の熊狩りに出かけた。
同行していたハンターがアメリカグマを追いつめると、トドメの1発を大統領に頼んだが、「死にそうな熊を撃つのはスポーツマン精神に反する」とルーズベルトは拒否する。
この出来事が『ワシントン・ポスト』で報道され、アメリカ中に広まると、そこに商機を見出した人がルーズベルトの愛称「テディ」にちなんで、その名を付けたクマのぬいぐるみを作って販売した。
*このほかにも、世界初のテディベア・メーカーはドイツのシュタイフ社という説がある。
「大統領、やっちゃってください。」
「だが断る。」
テディベアなら問題ないが、本物のクマがヒトの生活圏に入ってくると、人間の生死にかかわってくる。
日本ではそういう場合、猟師が危険なクマを駆除してくれるけど、その活動が気に食わない人たちもいるらしい。
最近、「日本ヴィーガン協会」がヒグマの保護を目的にして、クラウドファンディングを開始した。
HPの紹介文によると、彼らはクマの実態調査、獣害駆除のない自然農法の推進、捕殺しない仕組み作り、そしてクマの保護の4つのプロジェクトを行う予定だ。
ヒグマの補殺をさせない取り組みについては、「北海道から協力のお申し出があり」「北海道からご協力の声を頂いた」とある。
でも、このクラファンが公開されると、ネットでは「ヒグマ補殺ストップ活動」にストップをかける動きが広まった。
メディアが北海道庁ヒグマ対策室に取材したところ、担当者はこのプロジェクトに「関与していません」と断言する。
今年の夏、66頭の牛を襲ったヒグマ「OSO(オソ)18」がハンターによって駆除された。
これは酪農家たちに大きな恐怖を与え、数千万円以上の被害を出した凶暴なクマで、北海道庁は特別対策班を設置していた。
そんな道庁が、ヒグマの補殺をさせない活動に協力するとは思えない。
協会の言う「北海道」の正体が分からない。
このクラファンに対して、ネットの反応は冷ややかだ。
・考え無しで動物可哀想だからっていう感情論で動くやつが多すぎる
・お花畑の多い事・・・
・対抗してクラファンで猟師育成とかできんかね?
・この活動中に襲われるくらいの事故が起こらないと理解しないんだろうなぁ・・・
・頭の中のクマのイメージはプーさんとかリラックマなんだろ。
近ごろ日本では、クマやシカなどの害獣を駆除すると、「なんで殺したんだ!」といった批判が殺到し、猟師が萎縮することが増えているらしい。
でも、そうやって抗議する人のほとんどは、はるか遠い安全圏に住んでいるのが鉄板。
いま全国的にクマが増えすぎていて、ヒトとクマの共存は現実的には不可能になっている。
趣味で熊狩りをしていたルーズベルト大統領と違って、猟師や行政は住民の安全を守らないといけないのだ。
このまえ日本に興味のあるドイツ人と話をしていたら、「日本でいちばん怖い生き物ってなに?」と質問された。
「それはもちろん、人間だよ」と答えると、「そういうのはいいから…」と彼をウンザリさせてしまったらしい。
個人的にはクマが最も恐ろしいから、そう伝えた。
彼の話では、ドイツには野生のクマがいないから、イノシシが最恐の生き物になる。
*2006年に、ドイツで約170年ぶりにクマが目撃された。
このクマはオーストリアからドイツ南部にやって来て、最終的に射殺された。
これは超例外的な出来事で、ドイツにクマは生息していないと考えていい。
知人のドイツ人は日本語を学んでいる。
だから、話の中で、ヒグマの駆除に反対する団体の話題が出てきたとき、彼に「意識高い系」という新しい日本語を教えた。
すると彼は、ドイツやヨーロッパにも困った「イシキタカイケイ」がいると言う。
ドイツには「ラスト・ジェネレーション」という環境保護団体があって、彼らは政府の気候変動対策に強く反対している。
この団体の抗議方法はとても過激で、迷惑系ユーチューバーのようによく人々を怒らせる。
彼らは高速道路など車の往来の激しいところで、一列になって座り込み、交通を強制停止させる。
当然、大渋滞が発生し、ドライバーたちはブチ切れるが、彼らは動じない。
この動画は、首都ベルリンで行われた抗議活動の様子。
活動家は強力な接着剤で手を道路に貼りつけ、自分を“人質”にして主張をアピールしている。
警察官が丁寧に活動家の手をはがしている。
こうした抗議活動は基本的に認められているから、多くの警察官が彼らを保護している。
だから、活動家を殴ると、その人が拘束されてしまう。
知人からすると、自由と権利が保障されているのは、ドイツ社会のとてもすばらしいところ。
でも、間違った正義感と強い信念を持つ人たちがいると、ドイツの美点が悪用されて、こういうド迷惑な行為が発生する。
自由民主主義の国では、ヒトがいちばん恐ろしいとは言わないが、自分の正義を何よりも優先する人たちは、かなりやっかいな存在ではある。
コメントを残す