混血、美白、魔女狩り… ウクライナに美人が多い理由

 

ウクライナ出身の椎野カロリーナさんは5歳のころに日本へ移住して、いまはモデルとして活躍している。
そんな彼女が「ミス日本コンテスト2024」に出場することをSNSで発表した。

日本で育ったから、カロリーナさんは夢の中でも日本語を話すし、日本人の友人も多いらしい。
見た目が”外国人”だから、そのギャップに悩まされてきたが、彼女は自分が日本人であることに誇りを持って、今日まで過ごしてきたと話す。
そんな思いを胸に、日本国籍を取得したカロリーナは、「日本らしい美しさをめざして」をコンセプトとするミス日本に挑戦するらしい。

見たところ、ネットの反応はとんでもなく良い。

・応援します
もう予選本線免除で優勝です
・こんなん勝てるやついないだろ
チートだよチート
・ミスコンにこれは反則だろ
・ラモスが日本代表キャプテンだったし問題ない
・叩いてやろうと画像開いたら圧倒的な力でねじ伏せられた
優勝で異議なしです

 

こちらがそのご尊顔

 

 

昭和の時代ならスルーされても、現在では、批判&炎上が避けられない表現に「美人の産地」がある。
あえて言うなら、ウクライナやロシアのあたりがその地域だ。
その理由として、よくこんなことが指摘される。

・日照時間が短く、白い肌を持っている人が多いから。

「美人」の重要な条件は美白であることーー。
これは世界中で共通している。
秋田やタイ北部のチェンマイが「美人の産地」とされる理由もソレだ。

【美の条件】秋田・チェンマイが“美人の産地”と言われる理由

英語で貴族や名家の人間を「ブルー・ブラッド(blue blood)」と言う。
労働者と違って、箱入り娘や息子は日焼けをしてないから、白い肌に血管が青く透けて見える。
そんなことから、こんな表現ができた。
日照時間が短いという環境から、ウクライナのあたりでは、ブルー・ブラッドのような美白な人が多く生まれる。

 

・さまざまな民族と交わってきたから。

ウクライナ人やロシア人はスラブ民族が起源とされるけど、歴史的には、東西からいろいろな民族がやってきて混血が進んだ。
この交流によって遺伝子が入り混じり合い、「すぐれた特徴」が残ったことで、多くの美人が生まれることとなった。

美人が多い理由としては、美白と混血のほかに、「魔女狩り」が関係しているという指摘もある。

 

画像:Kremlin.ru

「美しすぎる検事」と言われたナタリア・ポクロンスカヤ(ロシア出身)

 

数百年前のヨーロッパでは、悪魔との契約や性行為によって、魔力を得た人間は「魔女」と見なされた。
魔女は子どもをさらって食べたり、魔術を使って人間や家畜に病気や死をもたらしたり、穀物を台無しにすると信じられ、人々から恐れられ、忌み嫌われていた。
もちろん、これはダークファンタジーで、魔女なんて実在するわけない。
しかし、実際に起こる厄災の原因として、魔女が創造された。

15世紀から18世紀のヨーロッパは暗黒の時代で、無実の人間が魔女と疑われて裁判にかけられ、「有罪判決」を受けて拷問を受けたり処刑されたりした。
この「魔女狩り」によって、3万5千~5万人が処刑されと考えられている。

 

悪魔とそれを崇拝する魔女の絵

 

以前、大学で歴史を専攻したアメリカ人と話をしていた時、ロシアで美人が多い理由について、「魔女狩りの影響が少なかったから」と聞いた。

魔女狩りが行われていたころ、美しい女性は男を誘惑し、たぶらかす存在だと妬(ねた)まれ、魔女と疑われて処刑された。
でも、ロシアでは魔女狩りがあまり行われなかったから、美しい女性たちは処刑されず、多くの子孫を残すことができた。
ロシアが「美人の産地」と言われるのは、これが理由になっている。

もちろんこれは俗説で、事実を裏付ける根拠はないが、ウクライナ人からも同じ話を聞いたことがある。
ウクライナでも、人々は血まなこになって「魔女」を見つけようとしなかった。
美しいと目立つし、それだけで嫉妬されやすいけど、そんな人たちが処刑を免れて、結果的に多くの美人が生まれることになったと。

*「ウクライナ人 美人 魔女狩り」で検索すれば、関連する記事がいくつも出てくる。

ヨーロッパで行われた魔女狩りについて、歴史的な事実としてはこんなことがある。
ドイツ、スイス、フランスでは激しく行われていたが、スペインや東ヨーロッパでは、無視できるほど少なかった。

In Europe, the witch-hunt craze was negligible in Spain, Poland, and Eastern Europe; conversely, it was intense in Germany, Switzerland, and France.

Witch-hunt

 

こうした事実が、「ウクライナやロシアで美人が多いのは、魔女狩りの影響が少なかったから」という説の元ネタになったのでは?

 

「魔女」の認定を受け、固定された状態で焼かれる3人の女性(スイス、16世紀)

 

海外サイト「Ukrainian Women」に、おそらくウクライナ人のライターが書いたこんな記事がある。

Why Are Ukrainian Women So Beautiful? Top 4 Reasons

なぜウクライナの女性はとても美しいのか?
その4つの理由のトップに挙げられたのは、混血説だ。
コーカサス人、タタール人、バルト人などの多様な遺伝子の蓄積のおかげだと。
(All of that is thanks to their rich gene pool.)

ウクライナの女性が美しい理由として、ほかにもこんな指摘がある。

・彼女たちは、宝石などのアクセサリーを使って、自分を美しく見せる方法を知っている。
・化粧で自分の魅力的な部分を強調し、悪いところをうまく隠している。
・多くのウクライナ女性は野心的で、内に秘めたエネルギーがある。それが彼女たちを魅力的にさせている。

だから、ウクライナの女性は「空っぽの人形」(empty dolls)ではないと強調する。

「マジレス(本気で答える)」なら、この理由を言えばよく、話のネタなら「魔女狩り」説を言えばいい。

 

 

世界の中の日本 目次

多文化共生社会 目次

外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

【美人の条件】平安時代~現代、日本人の意識の移り変わり

【日本のミスコンの歴史】東京百美人・初代NO.1は末弘ヒロ子

日本よ、これが魔女だ。ドイツのパッペンハイマー魔女判決

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。