【不吉な予感】日本とアメリカの迷信、13日の金曜日&方違え

 

書き忘れたのだけど、先週の金曜日は「13日の金曜日」だった。

イエス=キリストの最後の晩餐に13人がいて、その翌日、イエスが処刑された日は金曜日だったーー。

由来はほかにもあるが、欧米(特にアメリカ)で13日の金曜日は不吉な日とされていて、そんな不幸ムーブに乗っかって、『Friday the 13th』というホラー映画やゲームもつくられた。
知り合いのアメリカ人はこの迷信をまったく気にしないが、そうではない人もいる。
アメリカでは、この日に恐怖を感じ、いつもの仕事や飛行機に乗ることを避けたり、ベッドから出ることさえ拒否する人もいるという。
そんなことから、「13日の金曜日」には、8~9億ドルの損失が発生しているという試算もある。

Some people are so paralyzed by fear that they avoid their normal routines in doing business, taking flights or even getting out of bed. It’s been estimated that US$ 800–900 million is lost in business on this day.

Friday the 13th

 

日本の歴史や文化と「13日の金曜日」はまったく関係ないのに、「この日はなんかイヤ」と言う人に会ったことがあるし、この日を気にする日本人はほかにもいると思う。
そんなふうに、アメリカナイズされた人はイタリア人にもいる。
イタリアでは、一般的に 13はラッキーナンバーとされているのに、アメリカの影響を強く受けて、逆に 13をアンラッキーナンバーと考える人もいるという。
*ソースは上の英語版ウィキペディア。

 

迷信なら、日本にも山盛りある。
縁起の悪い数字としては4や9が有名で、「人々の行動を縛る」という点で言うなら、平安時代には「方違え(かたたがえ)」があった。
日本には特定の方角を司(つかさど)る「方位神(ほういじん)」と呼ばれる神々がいて、それらは人に幸せをもたらす福の神と、不幸をもたらす貧乏神の2種類に分けられる。
方位神は特定の周期で移動するから、いつも同じ方向にいるわけではない。

 

歳徳神(としとくじん)

 

方位神の一つが上の歳徳神(としとくじん)で、歳神とも呼ばれる。
歳徳神がいる縁起の良い方位を「恵方(えほう)」と言い、その方角に向かって行動すると、何事もうまくいくとされている。
この伝統から、節分の日に、歳徳神に向かって巻き寿司を食べる「恵方巻き」のイベントが生まれた。
方位神の歳徳神はアチコチ移動するから、いらっしゃる方角は年によって違う。

一方で、天一神(てんいちじん)、太白(たいはく)、大将軍(だいしょうぐん)などの凶神は、人々に病気や争いなどの災厄をもたらすと信じられていた。
最凶の方位神はおそらく金神(こんじん)だ。
金神に向かって工事や引っ越し、旅行などをすると、金神を怒らせることなり、家族7人が殺されると恐れられていた。
これを「金神七殺」という。

 

凶神界のラスボス・金神

 

凶神のいる方角へ向かうことは、まさに自殺行為。
そのため、平安時代の貴族がどこかへ移動する際には、まず凶神がいる方向かどうかを確認し、もしそうなら、禍を避けるために「方違え」をしなければならなかった。
AからBへまっすぐ進むのではなく、一度別の方向のCへ行き、そこで一夜を過ごしてから、Bへ移動する。

この「方違え」を現代の日本で例えてみよう。
サラリーマンのAさんが東京から名古屋へ新幹線で移動する際、調べてみたら、その日は西に「天一神」がいると分かった。
「これは不幸な予感しかない」と思ったA氏はまず長野へ新幹線で移動し、そこでホテルに泊った後、翌日に名古屋へ向かった。
これなら、西へ直進することを避けられる。

平安時代の京都の人たちは、こんな「方違え(かたたがえ)」を日常的にしていた。
金閣寺の近くには、方位神の大将軍を祀る大将軍八神社があり、それに由来して「大将軍」という地名が付けられた。

現代の日本でも、お寺や神社で「方位除け」の祈祷が行われているから、凶神のタブーを犯すことを恐れる人がいるのだろう。
アメリカの「13日の金曜日」と違って、それによる経済損失が1日で約1350億円に達することはないけれど。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。