今月7日、イスラム組織ハマスの襲撃によって、イスラエル側では1400人が死亡した(10月19日時点)。
このテロ事件のニュースを見て驚いて、エルサレムに住む知人のイスラエル人にメールをすると、彼女の返信にはこう書いてあった。
「We are fighting hard…」
(私たちはいま激しく戦っている…)
*くわしいことはこの記事をどうぞ。
彼女はメールの中でこうも言う。
For no reason. They kidnapped so many
And they kill them..
ハマスの戦闘員は理由もなく、たくさんの人を誘拐し、殺害しているという。
この奇襲攻撃の際、多くのイスラエル人と外国人が拉致され、(正確な数字は分からないが)ハマスは250人の人質がいると主張している。
事件直後は、このイスラエル人もよく分からなかったようだが、徐々にハマスが誘拐した理由が明らかになってきた。
それはテロリストらしい卑劣で発想で、日本人の感覚ではきっとアニメの世界の出来事だ。
ちなみに、ハマス寄りのエジプト人からもらったメールには、ハマスの戦闘員が殺人や誘拐をしたことについてこう書いてあった。
first Muslims do not kill hostages, Muslims do not kill for no reason, and do not treat hostage and innocents in a bad way
まず、ムスリム(イスラム教徒)は人質を殺さない。ムスリムは理由もなく、人を殺害することはないし、人質や罪のない人々にひどい扱いはしない。
反イスラエルの立場を取る人の意見についても、いずれ記事を書く予定。
イスラエル軍による人質救出作戦
以下、ハマスが人質を取ってからの動きを書いていく。
まずハマスは、イスラエルが報復として、自分たちの拠点があるガザ地区へ空爆を行うの場合、一回の空爆につき1人の人質を殺すと脅した。
しかし、イスラエルのネタニヤフ首相は「交渉はしない」と発言し、激しい空爆を行う。
イスラエルの空爆が続くと、ハマスはイスラエル人女性の人質の様子を公開した。
動画の中でこの女性は、ハマスが自分のケガの治療をしてくれたと話し、1日も早く家に戻ることを望むと訴える。
もちろん、この女性は脅されていたのだろうが。
それでも、イスラエルの空爆は止まらない。
ハマスは、空爆は交渉の対象にはならないと思ったのか、前最高指導者が「200人の人質と引き換えに、6000人の同胞を釈放せよ」とコメントを出す。
2011年に、人質のイスラエル兵1人とパレスチナの囚人約1000人を交換したことがあったから、それを念頭に、交渉を試みたと思われる。
しかし、イスラエル側はこれにも応じない。
ハマスをこの世から消し去るために、イスラエルはガザ地区に戦車を集結させ、地上戦を行う準備を進めている。
つい先日、10月20日にハマスは「人道的な理由」から、アメリカ国籍の親子2人を解放した。
人質でも人道でも、ハマスは自分たちの利益のためなら、なんでも躊躇(ちゅうちょ)なく使うことができるらしい。
これがテロリストのメンタルか。
すでに、ハマスの幹部が何人か消されているから、あせりがあるのだろう。
同じ日、ハマスと交渉を行っているカタール政府の高官が、「ごく近いうちに」全員が解放されるとコメントした。
また、ハマスは別の人質を解放するつもりだったが、イスラエル側に受け入れを「拒否された」と主張した。
イスラエルはこれを否定し、「ハマスのプロパガンダには言及しない」と一蹴。
そもそも、人質を持つ側が“拒否された”と言うのは奇妙だ。
イスラエルの意向に関係なく、ハマスは「人道的な理由」から人質を解放すればいい。
ハマスは、空爆するたびに人質を殺すと脅したり、無事な人質の映像を公開したり、突然人質を解放したと思ったら、これからすべての人質を解放するような気配を見せる。
こうやって、人質を使っていろいろなことを小出しにするのは、自分たちだけは何とか助かりたいからのようだ。
読売新聞の記事(2023/10/21)
ハマスは組織存亡の危機を迎えており、米国籍の人質の解放で「テロ組織」でなく、交渉のできる政治組織と世界に示したかったとみられる。
ハマス人質解放、イスラエル軍の地上侵攻遅らせる狙いか…交渉中は踏み切りづらく
イスラエルはガザ北部の住民に対し、戦闘に巻き込まれないように、14日まで南部へ避難することを呼びかけた。
でも、22日になっても、地上戦は始まっていない。
イスラエルはテロリストとの交渉を拒否する一方で、人質救出作戦を行っているのだろう。
本気になったイスラエル軍が侵攻してきたら、ハマスが壊滅的な打撃を受けることは必至。
それだけはイヤだから、ハマスは状況に応じながら、人質をいろいろな方法で使って、組織の生き残りを図っている。
実際、イスラエル軍の突入を遅らせることに成功しているが、結局はイスラエルによって殲滅されるだろう。
ハマスは、自分たちは交渉のできる政治組織と世界に示したいというが、イスラエルは、人質作戦は効果がなく、テロリストは交渉相手にならないことを世界に示したいはずだ。
ハマスの誘拐は「For no reason」ではなかった。
テロリストが考える人質の利用法は、ほとんどの日本人の想像を超えていたと思う。
「テロ(テロリズム)」の語源は、「恐怖」を意味するラテン語だとか。
ハマスがイスラエルの集落を襲ったとき、戦闘員が体にカメラを固定し、その様子を撮影していた。
イスラエルが公開したその動画には、遺体や血は映っていないが、最後に戦闘員が撃たれ、叫び声が聞こえる。
そして、映像の最後には青空が映し出される。
見るかどうか自己責任で判断してもらうとして、この動画からはテロの恐怖が伝わってくる。
⚠️Trigger Warning ⚠️
RAW FOOTAGE: Hamas jihadists squad invasion and killing spree of an innocent Israeli community.
The filmed terrorist was neutralized by Israeli security forces. pic.twitter.com/4sKuxl9uRq
— Israel Defense Forces (@IDF) October 15, 2023
2000年前ぶりの帰還:ユダヤ人はイスラエル建国をどう思う?
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