イスラム組織ハマスは地獄の門を開けた。
ハマスの戦闘員がイスラエルに奇襲攻撃を仕かけてから、対立は激化する一方だ。
イスラエルの空爆によって、ガザ地区ではすでに数千人の死者が出ている。
この問題をめぐり、いま世界は大きく分裂している。
アラブ諸国やイスラム教の影響の強い国では、ハマスやパレスチナを支持するところが多い。
一方で、先進国の中の先進国と言えるG7メンバーのアメリカ・イギリス・フランス・ドイツ・イタリア・カナダは、ハマスに対するイスラエルの自衛権を支持するという共同声明を発表した。
主要7カ国(G7)の中では日本だけが、G7の議長国であるにもかかわらず、この動きに参加していない。
そんな態度について、会見でツッコまれた松野官房長官は、「これら6カ国は誘拐・行方不明者などの犠牲者が発生しているとされる国だ」と日本との違いを強調した。
日本の立場はこんなところだ。
・テロ攻撃を断固として非難する。
・人質の早期解放や一般市民の安全確保を求める。
・すべての当事者が国際法を踏まえて行動することを求める。
・事態の早期沈静化が極めて重要だと考える。
つまり、日本はどっちの敵にもなりたくはなく、早く混乱が収まることを期待している。
この戦略的中立には、ネットでも共感する人が多い。
・日本はこれでいいんだよ
・「日本は宗教問題には関与しない」って言っとけ
・声かけてもらえなかっただけでは?
・なんでも自民に反対するヤツでもこれには何も言えないだろ
・韓国のために椅子を温めておきましたって言って譲ったらいい
ハマスがイスラエルを襲撃した直後、岸田首相は「X」にハマスの行為を「強く非難する」と書いたが、テロとは表現しなかった。
そして、「全ての当事者に最大限の自制を求める」と続ける。
「もう、みんな一度おちついて!」と現実的には不可能なことを言う。
でも、日本は石油の約 95%をアラブ諸国から輸入しているから、これら国を怒らせるわけにはいかない。
ガソリンがリッター 200円になる恐怖を考えたら、国民もそんな政府を支持するしかない。
いま来日中のヒラリー・クリントン米元国務長官が「イスラエルの人々の平和を実現する」と述べた。
日本の政治家が言えるのはここまでで、こんなセリフは絶対に無理。
「ハマスの指導者を追い詰めて、抹殺しなければならない」
おそらくG6の雰囲気はこんな感じだから、日本はG1になっても仕方ない。
ハマスとイスラエル軍の激しい銃撃戦のようす。
このレベルだとたぶん、日本のテレビでは放送できない。
後半に出てくるロケット弾は、ハマスがガザ地区から、イスラエルへ向けて発射しているもの。
現在のイスラエルとパレスチナの問題に対して、アイマイな態度をとる日本を「注意して見ている」という国があった。
ウクライナ戦争では、日本はアメリカと完全に歩調を合わせていたのに、今回はまったく違うことに、韓国メディアが注目する。
でも、立場をはっきりさせない日本を「まるでコウモリのようだ」と非難するのではなく、うまくバランス外交を展開していると高く評価していた。
中央日報の記事(2023.10.20)
激変する国際情勢の中で国益を中心に置き、主要アクターとして役割を探す姿から日本外交の老練さを目の当たりにする。
【グローバルアイ】パレスチナ事態と日本の「バランス外交」
日本の外務大臣はイスラエルと欧米、パレスチナ自治政府のほか、ヨルダン、アラブ首長国連邦連邦(UAE)、エジプト、カタール、サウジアラビア、イランの外交当局者と矢継ぎ早に電話会談を行った。
岸田首相もアラブ諸国の要人と電話会談をしている。
そして、カザ地区に約15億円の人道支援をすると明らかにした。
イスラエルとパレスチナ双方へ強く働きかけ、事態の早期収束を目指して積極的に行動している。
仲裁者として動く日本を見て、韓国メディアは「口を閉じている韓国とは対照的だ」と残念そうに書く。
韓国も日本と同じように、どちらかを支援すると宣言することはできないだろうし、今の力では欧米やアラブ側に大きな影響を与えられない。
だから、事態の進展を見守っている。
いまパレスチナが危機的状況にあり、世界中が注目している。
そんな重要な場面で存在感が消える自国を見て、韓国の外交専門家は「韓国がG8に名前を入れるにはまだ早いのがこのため」とため息をつく。
「全ての当事者に最大限の自制を求める」と呼びかけ、そのために取り組む日本のバランス外交は、少なくとも韓国の視点ではかなり良さそうだ。
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