ことしの5月、神戸で仏像が破壊される事件がおきた。
犯人はイスラム教徒の外国人で、そいつは「(神は)イスラム教のアッラーしかいない!」と叫び、神社のさい銭箱を蹴ったり、近くのお地蔵さんを破壊した。
日本の仏像を破壊するイスラム教徒を、在日ムスリムはどう思う?
イスラム教では、偶像崇拝が厳禁されているから、仏像を作ってそれに拝む行為は反イスラム的ではある。が、かといって、異国で仏像をぶっこわすイスラム教徒なんて例外中の例外で、普通のムスリムはそんなことをしない。
どこの国にも、ぶっ飛んだ考え方をする人間はいる。
チェコではハロウィンを前にして、こんな悲しい出来事があった。
英BBC(2023年10月21日)
子供たちが作ったカボチャのランタンを破壊、神父が謝罪 チェコ
チェコにある村でハロウィンのお祭りのために、子どもたちがカボチャでランタンをいくつも作って、公園に並べておいた。
すると、それを見つけたカトリック教会の神父が激怒し、2日間にわたってランタンを破壊しまくったという。
神父はその動機をこう話す。
「神聖な敷地の前に『ハロウィン』という悪魔の祝祭のシンボルがたくさん置かれていた」
「自分の信仰と、神父として、そして私に託された子供たちの保護者としての義務に従い、これらのシンボルを取り除いた」
つまり、「汚物は消毒だ!」という発想か。
カボチャのランタンを壊したカトリック神父も、仏像を破壊したイスラム教徒も理由は同じで、「悪魔の祝祭」のシンボルは許せないということだ。
たしかに、現代のハロウィンでランタンを作ったり、コスプレをしたりするのはキリスト教の教義や伝統とは関係ない。
でも、さすがにやり過ぎたということで、神父は公式に謝罪した。
このニュースに日本のネット民の感想は?
・ハロウィンって日本で言うところのお盆みたいなもんちゃうの?
・ハロウィンなんてキリスト教徒からすれば、邪教のお祭りだもんな。
・最近のガキは生意気だからな
人生は理不尽なこともあるっていう教育だろ
・キリスト教のイベントだと思ってた
・もうこれを行事にすればいいよ。
子どもたちがカボチャ並べて、神父さんが壊しに来る
現代のハロウィンの元ネタ(起源)は、古代ヨーロッパのケルト人が信じていたドルイド教の収穫祭である「サウィン」と考えられている。
このサウィンの時期では、あの世から死者の霊や悪霊などがこの世に来ると信じられていて、それが現在の仮装につながった。
ハロウィンは、キリスト教にとっては異教の祭りだから、真面目なカトリック神父が「悪魔の祝祭」と呼ぶことは理解できる。
翌日の11月1日はカトリックのすべての聖人を祝福する「諸聖人の日」で、これとサウィンの祭りがごちゃ混ぜになって、現在のハロウィンができたとされる。
ハロウィンは、キリスト教の位置づけとしては「諸聖人の日」の前夜祭だ。
カボチャやカブで作るランタン(ジャック・オ・ランタン)には、あの世からやってくるアンデッド(ゾンビなどの不死の魔物)から、家を守るという意味がある。
迷信深い人は、特に吸血鬼が家に入るのを防ぐために、ランタンを玄関に置いたという。
Jack-o-lanterns were also a way of protecting one’s home against the undead. Superstitious people used them specifically to ward off vampires.
カボチャのランタンも渋谷区が出したこの注意も目的は同じで、「迷惑をかけるヤツは来るな!」ってこと。
こんな背景から、クソ真面目なチェコのカトリック神父さんには、ハロウィンが反キリスト教的な「悪魔の祝祭」に見えたと思われる。
子どもやその家族を“悪魔”から守るために、神父としての善意と使命感から、カボチャのランタンをぶっ壊したのだろうけど、神父は頭の中にある情報を21世紀にアップデートした方がいい。
いまやハロウィンはアメリカの大衆文化で、子どもが楽しむ日だ。
渋谷区の場合はここ数年のハロウィン騒ぎが半ば暴徒化し、ゴミのポイ捨てや配送トラックをひっくり返すなど周辺店舗に無視できない程の被害が出た事。
そして傾斜した狭い路地も多く、隣国で大きな人災となった「群衆雪崩」の発生条件を満たしやすい環境から規制強化したので、神父と同列視するのは少し違うように思います。
この場合は神父ではなく、カボチャのランタンと渋谷区の注意書きの目的が同じということですよ。