【死後の世界】海外の宗教と比べ、日本の考え方は異質か?

 

今日は11月2日だから、ハロウィンは完全終了して日常に戻っている。
このイベントの元ネタ、起源と考えられているのはケルト人のお祭り。
古代ヨーロッパにいたケルト人は、1年を光と闇の2つの時期に分けて考えていた。
秋分と冬至のほぼ中間の10月31日は「闇の半分」(darker half)がはじまる日で、この日にはこの世とあの世との境界線がぼやけ、 精霊や妖精、死者の霊が生者の世界に入ってくると信じられていた。(Samhain
これが現代のコスプレにつながっている。

ということで、ハロウィンの考え方は、先祖の霊がこの世に戻ってくるお盆とよく似ているのだ。
死者の霊が特別な時期に現世に帰ってくるという発想は、わりと人類的でほかの国にもあるのでは?
そう思って、このまえタンザニア人、インド人、スリランカ人に会ったとき、「あなたの国では、人が死んだら、魂はどこへ行くと考えられていますか?」と質問してみた。
以下、彼らから聞いた答え。

・タンザニア人

いや〜、その質問に「タンザニアでは」という観点で答えることはできないよ〜。
タンザニアの主な宗教はキリスト教で、それ以外にもイスラム教や伝統的な信仰があって、死後の考え方はそれぞれの宗教によって違うからね。
キリスト教徒の自分は、良い人間の魂は天国、悪い人間の魂は地獄へ行くと考えている。
だから、お盆やハロウィンみたいに、死者の霊がこの世に帰ってくることはないな〜。
ただ、悪い霊は別の世界に行かず、この世に残るという考え方はある。
たとえば、ある人間がとつぜん変な言葉を話し出したとすれば、それは、悪い霊に憑依(ひょうい)されたってことだ。

 

・インド人

インドもタンザニアと同じで、信じる宗教によって考え方は違う。
自分はイスラム教徒で、死んだ後、魂はどこか特別な場所に行き、神の審判をくだす日までそこで待っていると考えている。
ヒンドゥー教徒なら、魂は生まれ変わるという輪廻を信じているから、家族の魂はきっと良いところへ行ったと信じているだろうね。
だから、ヒンドゥー教徒はガンジス川で沐浴をして、この世で犯した罪を洗い流し、心身を清浄にしてから死にたいと願うんだ。

 

・スリランカ人

2人と同じでスリランカでも死後の世界は、仏教、ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教によって考え方が違っている。
私は仏教徒だから、ヒンドゥー教、イスラム教、キリスト教のことはよく分からない。まぁ、彼らが言ったとおりだろう。
仏教徒はヒンドゥー教徒と同じように、輪廻転生を信じている。
だから、死ん後はカルマ(前世の行い)によって、天国や地獄に行ったり、またこの世に生まれ変わったりする。
悪いことをすると、動物や虫として生まれてくるかも。
同じ世界に生きていることもあるし、先祖の霊が帰ってくるという考え方はないよ。
日本人はお盆の時期にお墓参りをするけど、スリランカでは故人の命日に祈るのが一般的で、国民全体でする特別な日はないんだ。
日本のお盆は私からすると少し不思議で、それは仏教の行事ではないと思う。
スリランカでは上座部仏教、日本では大乗仏教を信じていて種類が違うから、同じ仏教でも考え方は違うのだろうけどね。

 

ということで、本日のまとめ

まず、日本は人口の95%以上が同じ日本人で、宗教も仏教と神道がミックスした「神仏習合」が一般的だから、死後の世界については「日本では〜」と大ざっぱにまとめて言うことができる。
でも、多民族国家であるインド、タンザニア、スリランカではそういう言い方はできず、死後の考え方は宗教ごとに違う。

今回の話を聞く限り、死者の魂がこの世に戻ってくるという発想は日本しかなかった。
日本のお盆のような行事は、中国や韓国などの東アジアではあるけれど、世界的には意外と少ないかもしれない。
それにしても、仏教徒のスリランカ人から見て、お盆が異質というのは意外だった。
お盆という言葉は、「盂蘭盆会(うらぼんえ)」という仏教用語の略と言われているが、考え方としては、先祖を崇拝する神道の影響のほうが強いのだろう。

 

 

仏教 目次

キリスト教 「目次」

日本人の宗教観(神道・仏教)

ヨーロッパ人が思う神道とキリスト教の違い:神・聖人・奇跡

外国人には不思議な日本人の信仰「宗教はファッションだ」

【閻魔とサタン】仏教とキリスト教の“王”、その共通点と違い

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。