誰かを死ぬほど嫌いになると、その人が触れた物や着ている服のブランドなども嫌いになってしまう。
そんな気持ちは人類共通だから、イヤな相手に関わるモノを消す動きは世界的にある。
最近、アメリカのCNNにこんなニュースがあった。(November 2, 2023)
As Gaza conflict rages, online maps from Chinese companies are missing Israel’s name
イスラエルとイスラム組織ハマスとの戦闘が激しくなると、中国人がよく使う「百度(バイドゥ)」のオンライン地図などから、「イスラエル」の国名が無くなったーー。
中国では、有名インフルエンサーが攻撃をしかけたハマスを「抵抗組織」、ガザ地区を攻撃するイスラエルを「テロ組織」と表現するなど、一般的にはパレスチナ側を支持する雰囲気が強い。
イスラエルを強く支持するアメリカと中国は、以前から対立関係にあった。
今回の衝突で、反米感情が反イスラエル感情につながり、そんな世論の高まりを受けて、以前はあった「イスラエル」の表記が地図から削除されたという見方がある。
ま、実際そんなところでしょ。
さて、地獄のようなガザとは対照的に、いま日本では、こんなコスモスの花が各地で咲いていいる。
最近、イギリス人とアメリカ人と会って話をしたとき、彼らは少し前にコスモスを見に行ったと言う。
日本語を勉強している2人に、コスモスの漢字表記である「秋桜」を見せたけれど、彼らはそれを読むことができなかった。
この「秋の桜」という良い感じの言葉が作られた背後には、じつはアメリカやイギリスに対する日本人の“憎悪”がある。
太平洋戦争のころ、日本では反英米感情が高まり、英語を敵視する風潮が強まっていき、いろいろな英単語が(無理やり)日本語へ置き換えられた。
その流れで、外来語のコスモスは「秋桜」と表記されるようになる。
ボクがこんな話をすると、イギリス人は現在の英国王室にも昔そんなことがあったと言う。
第一次世界大戦(1914〜18)がはじまり、イギリスがドイツと戦うようになると、国内では反ドイツ感情が高まった。
それで王室の名前を、ドイツ語の英語読みである「ザクセン=コーブルク=ゴータ家」(House of Saxe-Coburg-Gotha)を廃止し、王宮のウィンザー城にちなんで「ウィンザー家」(House of Windsor)という完全な英語に変更した。
そんな話を聞いて、アメリカ人にも思い当たることがあると言う。
アメリカでは2003年ごろ、フランスがイラク戦争への協力を拒否したことで、一部で反フランス感情が高まった。
もはや「フランス」という言葉さえ見たくない人たちも現れて、フレンチフライ(フライドポテト)を「フリーダムフライ(自由のフライ)」、フレンチトーストを「フリーダムトースト(自由のトースト)」 と言い換えるようになる。
首都ワシントンにある連邦議会の下院の食堂でも、メニューの名前が「フリーダムフライ」「フリーダムトースト」へ変更されたほどだから、この改名の動きは“国家レベル”と言っていい。
相手を嫌いになり過ぎると、それに関わるものすべてを消したくなる。
「坊主ぼうず憎にくけりゃ袈裟けさまで憎い」の気持ちは人類共通だった。
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