イギリス人へのイメージ、日本人とヨーロッパ人じゃほぼ反対

 

日本では「当然さ、英国紳士としてはね」というフレーズがネット辞書に載るほど、日本でイギリス人には紳士のイメージが強くある。
もともと ジェントルマン(Gentleman)とは、16~20世紀初めのイギリスで支配階級にいた人たちのこと。
彼らは土地を持っていて地代収入を得ていたから、基本的に働かなくてもよかった。
ジェントルマンが意味する人たちは時代によって変わるけど、だいたい貴族とその下の身分の地主層を指す。
それがいまの日本では、礼儀正しく上品で、財力や教養のあるリッパな男性という意味になっている。

 

英国紳士(1630)

 

まえにイギリス人と話をしていたら、ネットサイトにあった「イギリス人から見たヨーロッパ各国の地図」を見せてもらった。
10年ほど前にダレかがつくったイギリス人視点の地図で、それによるとEUは「悪の欧州帝国」になっている。
EUから離脱する前のイギリス人からすると、ヨーロッパは邪悪な国の集合体に見えたらしい。
ドイツが「イヤらしいポルノ」になっている理由は彼にもわからなかったが、オーストリアの「ケーキ」はザッハトルテのことだから理解できる。
スペインが「SUNSCREEN REQUIRED(日焼け止めが必要)」となっているのは、ここは人気の旅行先で、肌の白いイギリス人に強烈な日差しは危険だから、日焼け止めは必須のアイテムだから。

逆にスペイン人から見ると、イギリスは「VOMITING TOURISTS」だから彼は苦笑する。
スペインへ行ったイギリス人旅行者は酒を飲みまくって、酔っぱらってそこらで吐く(VOMITING)ことは、イギリス人として否定できないという。
イギリス人から見ても、これは典型的なイギリス人像だ。
ドイツ人に聞いても同じで、旅行にやってきたイギリス人は酒を飲んでそこらに吐くか寝る。
まさに「VOMITING TOURISTS」で、「紳士」のイメージはほとんどないらしい。

 

ヨーロッパ人にとって、イギリス人のイメージは「酔っぱらい旅行者」だけじゃない。
暴れて物を破壊したり、人を傷つけるようなイギリス人がよくいるから、オランダのアムステルダム市はイギリスの若者を対象に、「stay away(こっちくんな)」キャンペーンを始めた。

ドラッグ・酒・買春を目的にオランダへやって来て、羽目を外しすぎて警察に手錠をかけられる。そして指紋や顔写真をとられて、留置場へぶち込まれる様子を見せて、イギリス人にオランダへ来る意欲を無くそうとする。
そんな動画をアムステルダム市が公開した。

 

 

この動画にはイギリス人も外国人も納得だ。

・As a British person I feel so much shame when I go abroad and see the way some of us behave, I completely understand why Amsterdam are doing this.
海外へ行って一部の人の振る舞いを見ると、イギリス人としてとても恥ずかしくなる。
アムステルダムがこんな動画を公開しなきゃいけない理由は完全に理解できる。

・As a young brit who travels full-time, I feel genuinely embarrassed to tell people I’m British sometimes because a minority of people have given us such a bad rep, especially in places like Amsterdam, Ibiza and Benidorm.
アムステルダムやイビサなどで少数のイギリス人が評判を悪くしているから、若いイギリス人旅行者として、自分がイギリス人だと相手に言うのが本当に恥ずかしくなる。

・I’m British and I used to live in Amsterdam and it’s absolutely embarrassing how badly so many British people behave there.
私はイギリス人で、アムステルダムに住んでいたことがあります。
そこでのイギリス人の振る舞いはあまりにひどく、本当に恥ずかしいです。

・I have to say, when I first visited Amsterdam, as a Canadian female I was shocked how British men were conducting themselves in the streets. I could totally understand why residents are fed up.カナダ人女性のわたしが初めてアムステルダムを訪れた時、街にいたイギリス人男性の振る舞いにショックを受けました。住民がウンザリするのもよくわかります。

当然さ、イギリス人としてはね。

 

日本でも先日、イギリス人旅行者がやらかしてくれた。
4月22日の午前6時ごろ、札幌市にあるマンションの部屋に外国人の男が侵入する。
ビックリした日本人の住民が通報し、駆け付けた警察官が住居侵入の疑いで20代の英国籍の男を現行犯逮捕。
昨晩から玄関のカギを閉め忘れていたというから、この男性にもほんの少し落ち度がある。
この男はぐでんぐでんに酔っぱらった旅行者で、警察の調べに対して「なんで逮捕なんだ!」と納得できない様子だったとか。

ドラクエの勇者じゃないんだから…。
アメリカでこの状況だったら、射殺されてもおかしくないから、このイギリス人はある意味ラッキーだった。
住民にとっては、侵入してきたのがヒグマじゃなくてよかった。

こんなふうに、酔っぱらった旅行者が逮捕される事件が何度も起こると、日本人もヨーロッパ人と同じ目線でイギリス人を見るようになる。

 

 

外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

【日本人の疑問】W杯でイギリスだけ4チーム参加できる理由

【イギリスの闇歴史】スコットランド vs イングランド

【イギリスの食文化】チップ・バティとクリスプ・サンドイッチ

「イギリスは紳士の国」と日本人に言われた英国人の感想は?

スコットランドで有名な物や人:蛍の光、ウイスキー、ゴルフ、ネッシー、メアリ1世

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。