日本に住む米国、英国人の話:国際化や文化の違いなど

 

今年の「ネット流行語・アニメ流行語大賞」のノミネートワードが発表された。
だもんで、それを見てみたら、「サイゼリヤ警察」のワードに引っかかる。
ナニコレ? と思って調べてみたら、ネット上をパトロールして、サイゼリヤを「サイゼリア」と書いてる人を発見して、その重大な間違いを指摘する「サイゼリヤ警察」がいて、4月に引退を発表したらしい。
つまり、心底どうでもいい。

そんなことで、今年もあと2ヶ月を切ったころ、日本で英語を教えているアメリカ人男性とイギリス人女性のカップルとコーヒーを飲みに行ったから、今回はそのときの話をシェアしようと思う。

 

○日本の国際化

彼らは最近、ビックリするような経験をした。
浜松市の繁華街を歩いていたら、10分間に5つの言語が聞こえてきたという。
中国人、フィリピン人、インド人、インドネシア人、ブラジル人のグループがいて、中国語、タガログ語、ヒンディー語、インドネシア語、ポルトガル語を話していた。
2人はここ数年、浜松では国際化が進んでいることは何度か感じていたけれど、これには驚いたらしい。
たしかに外国人は増えているけど、さすがにこれは超例外。

このところ日本政府は、外国人の労働者や観光客を積極的に受け入れていて、日本の国際化が急激に進んでいる。
10年以上前から日本に住んでいるアメリカ人からすると、外国人として生活することは確実にラクになった。
その理由は、日本人のホスピタリティ精神のおかげもあるのだろうが、IT機器が発達したから。
環境が良くなって、住みやすくなったとしても、基本的には、外国人が受け身になってはダメで、日本の文化や常識を知って、社会になじむための努力をしないといけないと彼らは話す。

 

○米英と日本との文化的な違い

アメリカとイギリスの社会には、チャリティーの文化が根付いている。
たとえば日本では、いらなくなった物はリサイクルショップに売ることが一般的だが、米英ではチャリティーショップに無償で寄付する人が多い。
このチャリティー文化はキリスト教の精神に由来していて、欧米社会では広く見ることができる。
でも、日本ではそれが浸透していないところに、価値観の違いを感じるという。

 

○無宗教

日本では「自分は無宗教デス」と言う人が多い。
それを英語で言うなら、「(I am not)a religious person」でOK。
でも、英語を学んでいて、ひとつ上のステージにいる人の中には、次の2つの言葉の違いが分からないという人がたまにいる。

・atheist(エイシエスト:無神論者)
・agnostic(アグノゥスティック:不可知論者)

簡単に言えば、神は存在しないと信じている人がエイシエストで、神は存在するか分からないが、その可能性はあると考えている人がアグノゥスティックになる。
欧米社会ではこの2つの違いは大きい。が、日本人は宗教にほとんど関心がないから、「無宗教です」の一言で片付いてしまう。
でも、日本人は無宗教と言いながらも、神社やお寺で合格や良縁などを祈るから、エイシエストではなくて、アグノゥスティックになる。

アメリカ人やイギリス人にとって、「キリスト」という日本語を発音するのは少しむずかしいらしい。
2人はよく「クリスト」と言っていた。

 

○同音異義語

イギリス人の方はいま日本語を学んでいる。
それで、キリスト教徒やイスラム教徒とかの「教徒」と「京都」は同じ発音だと知ると、「それは覚えやすい!」と喜んだ。
日本人の立場からすると、そのせいで「キリスト京都」とかの誤変換が起きて、気づかずにメールを送ってしまう“事故”をやらかすのだけど。

2人の話では、英語に比べると、日本語には同音異義語がすごく多いという特徴がある。
「4(死)」や「9(苦)」は不吉な数字になるとか、「5を書く」が「合格」につながるとか。
受験シーズンになると、日本人の生徒からラッキーアイテムの話をよく聞くけど、それは、「きっと勝つ」でキットカット、「ウカール」でカールなど同音異義語を利用したものばかり。
それを置くと、試験にパスする「オクトパス君」というタコの置き物もあって感心した。
日本人のアイデアに2人は脱帽の様子。

彼らはアメリカやイギリスで、受験のラッキーアイテムなんて聞いたことがないと言う。
だから、これはとっても日本的な文化に見える。
そう言えば、ある台湾人は日本のお寺でフクロウの置物が売られているのを見て、仏教寺院とフクロウのつながりが分からず、不思議に思った。
「不苦労って読むことで、縁起の良いアイテムになるんやで」とボクが教えると、「日本人は天才ですか!」と台湾人は感心する。
けど、日本人の才能をほめ称えただけで、それを買うことはなかった。

 

ということで、今日のところはここまで。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。