明治時代、イギリスの旅行作家イザベラ・バードが日本へやってきた。
その旅行記を見ると、彼女のために働いた日本人についてこんな記述がある。
彼にその骨折り賃として何銭かをあげようとしたが、彼は、旅の終わりまで無事届けるのが当然の責任だ、と言って、どうしてもお金を受け取らなかった。彼らは互いに親切であり、礼儀正しい。それは見ていてもたいへん気持ちがよい
「イザベラ・バードの日本紀行 (講談社学術文庫 )」
イザベラ・ルーシー・バード(1831年 – 1904年)
それから大正、昭和、平成とトキは流れ、中央日報の記事によれば、令和の日本で残念なことが起きたらしい。(2023.11.10)
日本の居酒屋で韓国人観光客を相手に「ぼったくり」物議
ある韓国人観光客が東京の居酒屋で、3000円ほどの飲み食いをした(と思っていた)ところ、実際には1万6000円を請求された。
それでトラブルになり、駆けつけた警察が仲裁に入って、最終的にはそれから 4500円を引いた金額を支払ったという。
その韓国人は「日本でこのようなことは初めてだ」と驚いた様子。
最近の韓国では日本旅行が大人気で、9月だけでも約 60万人の韓国人が日本を訪れている。
それだけいれば、なかには不愉快な体験をした人がいてもおかしくはない。
もちろん、同じ話は韓国にもある。
中央日報の記事(2017.12.27)
<平昌五輪>平昌の宿泊業者、ぼったくり議論で結局料金凍結
オリンピックが開催される予定だった平昌(ピョンチャン)では、通常1泊1万円ほどの料金を10万円以上に爆上げするホテルが出てきて、ほかの宿泊施設でも料金が昇龍拳のように上がった。
世界に韓国の魅力をアピールしないといけないのに、こんなぼったくりに注目が集まったら、韓国の評判が下がってしまう。
そんなことから、韓国内で批判が噴出。
ある韓国人が外国人のフリをしてホテルに英語で料金をたずねたところ、韓国語で聞いたときの2倍を提示されたという。
全方位から批判を受け、知事は宿泊料金を2人1泊で約1万3600円を基準にすると発表し、「不当なぼったくり」はないから、安心して五輪を見に来てほしいと呼びかけた。
最近の話だと、朝鮮日報にこんな記事がある。(2023/07/19)
ソウル・明洞で価格表示を義務付けへ 「ぼったくり」根絶
明洞(ミョンドン)は、日本なら新宿のような代表的な繁華街で外国人もよく訪れる場所なのに、いまだに値段を表示しない店がある。
外国人がたくさんが来るから、値札を付けたくないのだろうけど。
それでついにソウル市が本気になった。
韓国の市場
東京五輪について、都知事が「不当なぼったくりはない」と声明を出したことはない。が、知り合いの中国人も以前、東京の居酒屋でぼったくられたと激怒した。
ただ、このへんは言葉や文化の違いから、いき違いや誤解があった可能性はある。
先ほどの韓国人観光客も飲食代は 3000円だったと主張したけど、結局は1万 1500円を払っている。
しかし、ネット上では、ぼったくり被害にあったと報告する日本人はいくらでもいるから、そんな問題が日本で発生していることは間違いない。
知人の中国人がSNSに公開したその時のレシート
知人のインド人男性は日本に住みはじめたころ、日本人がレシートを確認しないことにビックリした。
彼がインドにいたときは、レストランなどで正体不明の料金が請求されることがあるから、レシートをもらうとその場でしっかりチェックし、疑問に思ったことは店に質問した。
でも、日本では客はレシートを受け取ると、そこに書かれている金額を素直に支払う。
むしろ、レシートを確認することは店を疑っていることになり、それはマナー違反になるような雰囲気すらある。
彼はこの経験から、日本ではお互いが相手を信用しているから、社会全体で信頼性がとても高いと理解した。
これはインド社会との大きな違いだ。
できればレシートの確認なんてしたくなかったから、そのインド人はもうそれをしなくなった。
彼が出会った日本人は正直で誠実な人が多かったから、それで問題ないと考えていた。
でも、あるとき会社の同僚のインド人に日本の印象を話すと、彼はこんな忠告をもらう。
「日本人はウソをつかないし、ここはとても安心できる国だ。しかし、悪い人間もいる。特に居酒屋はシステムが特殊だし、頼む料理の数も多いから、そこではレシートを確認した方がいい」
そう言われて、彼が実際にレシートをチェックすると、たしかに同僚の話は正しかった。
注文していない料理が含まれていたり、オーダーした飲み物の個数が違っていることがごくマレにあったのだ。
これで、彼の中にあった「日本=高度信頼社会」のイメージがやや揺らぐ。
彼もイザベラ・バードと同じように、「彼らは互いに親切であり、礼儀正しい。それは見ていてもたいへん気持ちがよい」という経験を何度もし、それが当たり前になったから、つい油断していた。
でも、日本の社会に、インドの常識を当てはめた彼に死角はなくなったから、その後は、ぼったくり被害にあうことはなかったはず。
信頼社会にいると警戒レベルが低くなって、インド人でもトラップに引っかかる。
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1653年に朝鮮に漂流してきたHendrek Hamelが書いた漂流記にこんな話があります。 朝鮮人は難破したハメルの船から物を盗んで逃げたが、後に官吏たちに発覚して殴られた。
しかし1666年にハメル一行が朝鮮を脱出して日本に到着した時、日本人はとても親切だった。 それで感謝の気持ちを表そうと持っていた米でも彼らにあげようとしたが、日本人は受け取らなかった。
もう370年前のことですが、いまだに韓日国民の清廉度と正直さの差があるというのが韓国人として恥ずかしいです。
ぼったくり被害は日本人にもあります。
いま日本を旅行する外国人のなかでは韓国人が一番多くて、日本のホテルや店が利益を上げています。
日本の恥は日本人がかたづけないといけません。でも、ぼったくりをゼロにすることはムリでしょうね