日本人と違って、基本おだやかで時に激しいミャンマー人

 

蚊を見つけると、ただちに攻撃モードに入るボクとしては、ミャンマー人のやさしさに触れて感動したことがある。
日本とミャンマーには、仏教徒が多いという共通点があっても、信仰に対する“熱”はまるで違う。
ミャンマーの人たちは“ガチ”。

日本人なら、蚊を見たら「悪・即・斬」で、すぐにバチンとすることが一般的だけど、日本に住む知人のミャンマー人の話では、ミャンマーでは害虫であっても命を奪わない人が多い。
彼のミャンマー人の妻は自分の血と引き換えに、蚊に命を与えることにしている。
これは仏教的にはとても良いことだから、彼女は小さなかゆみよりも、善行を積んだという大きな満足感を選んでいる。

【仏教徒と蚊】日本人・スリランカ人・ミャンマー人の違い

だから、妻は自分の腕にとまっている蚊をやさしく見ている。
ても、夫はそうじゃなく、蚊を見つけると「電撃ラケット」を持って追いかけ回すタイプだ。
ミャンマーでは年齢が上がるほど、フッと息を吹きかけるなどして、蚊を殺さない人が多いらしい。

 

ミャンマーの最大都市ヤンゴンにある仏教寺院のシュエダゴン・パゴダ。
日本でいえば、伊勢神宮のように格式の高い宗教施設。

 

サッカー日本代表はきのう、ミャンマー代表と戦って「5-0」と大勝した。
大敗したにもかかわらず、ミャンマー代表の監督は試合後に「非常にハッピーだ」とうれしそうに話す。
ミャンマーは 21年に日本と試合をした時、「10−0」という屈辱的大敗北を経験したから、それに比べれば、今回は満足できる結果だと。
見ている側からしたら、守備に特化して、シュート0で終わるような無気力な試合はツマラナイ。

2年前の試合では、ミャンマー代表のピエ・リヤン・アウン選手が試合の後、母国に戻らず、日本に亡命して国際的な関心が集まった。
これは、彼が試合直前に「抗議の三本指」をしたからだ。

ミャンマーでは2021年の2月に、国軍がクーデターをおこして政権を握ったことで、国民の強い反発を招き、大規模な抗議デモが各地で発生した。
5月末の時点で、死者は800人を超えるほど抗議活動は激しかった。
この際、人差し指、中指、薬指を掲げるジェスチャーは、軍への怒りや抗議をあらわす無言のサインとなる。

ミャンマー人には名字がないから、「ピエ・リヤン・アウン」のどこで区切っていいのかわからないが、とにかく彼は、日本との試合がはじまる直前、国歌斉唱の場面でカメラに向かって「抗議の三本指」をした。
彼が抗議の意思を示した理由は、

「軍は多くの国民を殺していて、国民は不当な迫害を受けている。しかし、今の状況では、目の前で誰かが殺されても、どこに通報したらいいか分からない。こうした状況を世界中の人に知ってもらいたかった」

というものだった。

しかし、国軍にとってこれは、手の甲を見せて中指を立てる(ファッ○ユー!)と同じような侮辱的なしぐさで、激怒させるには十分だ。
国際中継された試合で、選手がコレをやって、ただですむわけない。
もし、彼がそのまま帰国していたら、きっと空港から警察署に連行されて拷問を受け、最終的には処刑されていた。
ピエ・リヤン・アウンさんはそれを知っていても、祖国の民主主義を守りたいという思いが抑えられず、三本指を立てたはず。

 

日本人と比べると、ミャンマー人はおだやかな性格で、ニコニコしていて怒ることは少ない。
しかし、愛国心や政治に対する意識の高さはまったく違う。
クーデターがおこるなど、祖国が危機的状況になると国民には「スイッチ」が入る。
軍に拘束され、最悪の場合、処刑されると分かっていても、街なかで抗議活動をおこなう人がたくさんいる。

その思いは、「かくすれば かくなるものと知りながら やむにやまれぬ 大和魂」と言った吉田松陰と同じだろう。
それをしたら、後で自分が苦しい思いをすると知っていても、止められない魂がミャンマー人の中にある。

 

知人は日本にいるから、東京で軍への抗議デモに参加したり、ボクにメッセージを送って、ミャンマーの状況を伝えたりしたりしている。
ただ、その熱心さが重い。
「国軍が村を空爆して、100人以上が死んでしまいました!」といった文だけならいいとしても、悲惨な動画も送ってくるから、こっちはウツな気分にさせられる。
だから正直、リンクを開かないことが多い。

彼は日本の大学を卒業した後に企業に就職し、もう6年以上も日本に住んでいる。
そんな知人から見ても、ミャンマー人に比べて日本人は愛国心が薄いし、政治への関心も低い。
でも、それは日本社会が発展していから。
もしミャンマーが、日本みたいに公平な選挙がおこなわれ、すべての候補者が結果を受け入れる民主主義社会だったら、国民は愛国心を刺激されることはなく、誰も怒らないと言う。
だから、ミャンマー人は日常的にはおだやかで、ノンビリしているように見えるけれど、国に危機が訪れると笑顔が消えて立ち上がる。

 

シュエダゴン・パゴダでは静かに手を合わせていても、こういう時のミャンマー人はとても激しい。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。