きょう11月23日は勤労感謝の日で、「牡蠣(カキ)の日」でもある。
カキは寒い時期においしくなって、12月に出荷が盛んになるから、全国漁業協同組合連合会がその前の勤労感謝の日に、「栄養たっぷりのあるカキを食べて、エネルギーをチャージしようぜ!」という趣旨で「カキの日」を制定した。
しかし、残念なお知らせがある。
カキは乳白色の身をしていて、「海のミルク」と呼ばれるほど栄養価が高いのだけど、日本に住む知人のモンゴル人にとって“ワースト日本料理”はこれだった。
まずは、モンゴルの食文化について簡単に知っていこう。
知人の感想はこれが前提になっている。
ネットできょうの天気予報を見てみると、東京の最高気温は21℃で、モンゴルの首都ウランバートルの最高気温はマイナス16℃だ。
書き間違いではなくて、東京との気温差はなんと37℃もある。
きょうのウランバートルの最低気温は−24℃だから、静岡住みのボクなら軽く死ねる。
モンゴルは基本的に寒い国で、特に冬は「極寒 DEATH!」と言えるほど厳しい。
そんな自然環境が食べ物にも影響を与えていて、モンゴルの伝統的な食文化は、夏の「白い食事」と冬の「赤い食事」の2つに分けることができる。
夏の食べ物である「白い食事」とはヨーグルト、チーズ、バターなどの乳製品のことで、冬の「白い食事」とは肉料理でおもに羊を指す。
−20〜30℃の寒冷地だから、肉を冷凍保存しておくことは簡単で、その肉を少しずつ切って茹でたりして料理を作り、冬を乗り超える。
*詳しい情報は「モンゴル料理」で確認のこと。
日本とモンゴルの食文化はかなり違うから、それに戸惑う人もいる。
ある日本人が、来日したモンゴル人におもてなしをしようと考えて、「何を食べたいですか?」と聞いたら、「ラクダ」と言われて絶句した。
モンゴル人からもらったチョコレート
青いサンタクロースはロシアの影響か?
モンゴルは島国の日本とは違って、内陸に位置する「海なし国」だ。
知人の話によると、モンゴルでは海を見ることなく一生を終えることが一般的で、海を見られた人はラッキーな部類に入る。
だから、魚料理もない。…と思ったら、
「そんなことはないです。モンゴルには川や湖があって、魚の料理もあるんですよ。まぁ、例外的ですけどね」
と一蹴されたでござる。
モンゴル人は魚に馴染みがなく、しかも生肉を食べる文化がないから、外国で人気のスシにはダブルの意味で抵抗があるらしい。
それでも、日本から魚を空輸している本格的な寿司店はある。
日本に住んでいて、スシを好きになった人が足を運ぶことがあれば、チャレンジの感覚で食べに来る人もいるらしい。
知人のモンゴル人はウランバートルの寿司店に行って、生まれて初めて生肉と対面したとき、覚悟を決めるまでに5分ほど必要だった。
人によっては「ゲテモノ料理」になるかも。
それでも食べてみると、味は想像以上においしかったけど、ヌルっとした食感が苦手で、値段の高さもあって、彼女がスシを好きになることはなかった。
でも、日本に来てから、スシの種類の多さにビックリしたという。
魚を炙ったスシやハンバーグのスシもあって、何度か回転寿司へ行っていくつかお気に入りを見つけてると、彼女はスシのファンになっていた。
しかし、彼女は今でも、「生肉」という食文化の壁を完全に超えることはできないでいる。
スシはお米と一緒に食べるからおいしく感じるけど、生肉だけの刺し身は食感が気持ち悪いから食べたくないらしい。
ということで、彼女が一番嫌いな日本の料理は刺し身だった。
アレと出会うまでは。
ある日、そのモンゴル人とインド人と一緒にファミレスへご飯を食べに行った。
数あるメニューから、インド人はカキフライ定食をチョイス。
彼女はインドの沿岸部に住んでいて、カキを食べることがマレにあったと言う。
一方、モンゴル人の知人はこのとき初めて、「オイスター」という言葉と存在を知った。
それはどんな物かとたずねると、インド人は「これは貝の一種で、栄養があっておいしいよ」とスマホでカキの画像を見せる。
その瞬間、モンゴル人は顔をしかめて、「アンタ、本当にこれを食べるの? 見ただけで気持ち悪くなる。もう見せなくていい」とドン引きしてしまう。
「白い食事(乳製品)」はよくても、「海のミルク」は彼女にとっては“グロ映像”だったらしい。
刺し身は、見た目は悪くなかったから、試しに口に入れることができたけど、カキのヴィジュアルは彼女には受け入れられない。
ただでさえ生肉には抵抗があるのに、あの外見を見たら、食べてようと思う気持ちがまったくわかないらしい。
インド人はカキフライ定食を注文して、「これは揚げてあるから大丈夫! 一口だけ食べてみな!」とすすめるけれど、モンゴル人は「ムリムリムリムリ、まじでそれはダメ!」と全身全霊で拒否する。
彼女にとっては刺し身を下回る、最悪の日本料理が生まれた瞬間だ。
【幽霊見た?】“日本”と聞いて、モンゴル人がイメージすること
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