クリスマスにアフリカの飢餓問題を伝えたイギリスのバンドエイド

 

中国では正月のことを「春節」という。
めでたいお正月に、こんなごちそうを楽んでいた中国人に国連からメッセージが届いた。

 

 

全世界では8億人もの人々が飢餓や貧困で苦しんでいるというメッセージで、正月ムードを壊された中国人は怒り心頭。

 

くわしいことはこの記事を。

春節(正月)ムードを壊された中国人が激怒!国連のメッセージ

 

前回登場したイギリス人女の子が、この国連のメッセージから「バンドエイド」の話をした。
これはボクも好きなチャリティーバンドで、とても意義があるものだから記事にして紹介したい。

 

 

「バンドエイド」は1984年にイギリスで結成されている。

イギリス人のアーティストが、1984年に起きたエチオピアの飢餓に衝撃を受けた。
そして彼が呼びかけてつくられたチャリティー活動のためのバンドがこのバンドエイド。

デヴィッド・ボウイ、ポール・マッカートニー、ジョージ・マイケルといった世界的なミュージシャンが集まって大きな話題になった。

 

彼らが歌ったのが「Do They Know It’s Christmas?(ドゥ・ゼイ・ノウ・イッツ・クリスマス)」という歌で、文字通りクリスマスの時にこれを歌っている。

クリスマスのお祝いムードに包まれていたイギリスで、「でも今、アフリカでは多くの人が飢餓で苦しんでいるんだ」というメッセージをこの歌で伝えた。

 

 

「Do They Know It’s Christmas?」には、こんな歌詞がある。

The greatest gift they’ll get this year is life
彼らにとっての最高のプレゼントは今年を生き延びること

この歌詞は今でもよく覚えている。

本当はこの歌詞をすべて紹介したけど、最近はジャスラックの目が厳しい。
京都大学の学長の式辞にボブデュンの歌詞があったことで、使用料をほのめかすぐらいだから。

だからこのブログを見てください。

洋楽翻訳☆お味噌味 – オリジナル歌詞和訳の妄想旅行へ

 

「Do They Know It’s Christmas?」の中には、論議を呼んだ歌詞もある。

“Well tonight thanks God it’s them instead of you”

それ(飢餓の犠牲者)が君ではなく彼らだったことを神に感謝しよう

 

「飢えに苦しんでいるのが自分ではなくて、アフリカの人びとだったことを神に感謝する」

ずい分ひどいことを言っているような気がする。

けど当時聴いていたラジオのDJは、「この歌はこの部分が重要なんです!」と強調していた。

この言葉にはこんな意味があったから。

あまりにひどすぎるとミッジに反対された。しかしボブはうわべだけの言葉ではなく、本音を伝えたいと彼の反対を押し切ってそのままこの歌詞が採用されることになった。ちなみにこの部分はU2のボノが歌っている。

(ウィキペディア)

 

こういうやり取りを見ると、「クリスマスのお祝いムードを壊したら悪いよね」なんて配慮する様子が見られない。
ある意味、容赦がない。

でもこの歌がリリースされたとき、「クリスマスの雰囲気を壊された!」なんて声を聞いた覚えがない。

「自分たちがクリスマスを楽しんでいる今だからこそ、苦しんでいる人たちのことを考えよう」というバンドエイドの考えに賛同して多くの募金が集まっている。

 

セネガルのおばあちゃん

 

日本でも、チャリティーバンドが結成されたことはある。

1993年、北海道南西沖地震が起きたときには、「スーパーバンド」が結成された。
このスーパーバンドには、吉田拓郎・泉谷しげる・南こうせつ・忌野清志郎・さだまさし・大友康平・浜田省吾・小田和正といった日本のスーパースターが参加している。

また1995年には、桑田佳祐とMr.Childrenが組んで「奇跡の地球」を歌っている。
この歌は、「Act Against AIDS(AAA)」による患者救済募金活動の一環としてつくられた。

日本でも、大きな災害や病気を契機としてチャリティーバンドが結成されることはあっても、わざわざクリスマスや正月にその歌を発表することはない。

やっぱり、「雰囲気を壊す」ということには敏感なんだと思う。

 

 

「雰囲気を壊す」という感覚は、日本人と中国人には近いものがあって、欧米とは違うのだと思う。

国連がアフリカの飢餓問題をつたえるツイートを春節の中国にしたのも、こういうヨーロッパ人の考え方からでた自然な発想だったかもしれない。

国連が嫌がらせで中国に送ることはないはず。

 

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2 件のコメント

  • 「チャリティ、慈善」についての話がある時、いつも「偽善」について考えてしまいます。貧しい人々や被害にあった人々を支援する活動であっても、善人と思われたいとか、何らかの見返りを期待していれば偽善とみなされますが、偽善であっても困っている人たちにとってプラスになることは事実だと思います。偽善的行為を全く肯定するわけではないですが、偽善といって非難することには何となく違和感を感じてしまいます。「24時間テレビ」の存在意義についてもかなり疑問である一方で、募金活動など多少なりとも意味があるような気もします。

  • 善人に見られたいからそうしているのかどうかは、本人でないと分かりませんね。内面のことですから。
    結果を考えれば、募金が集まって支援を必要としている人たちに届いて助かるのならいいと思います。
    ちょうど、日本のチャリティー番組には出演者にギャラが出ることについて記事を書こうと思っていたところですよ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。