「日本人の国民性」で、欧米人や韓国人が感心するところ

 

日本は幕末に「鎖国」という閉鎖空間を解除し、明治時代になると、たくさんの欧米人を招き入れた。
彼らは日本人を見てどう感じたのか?

アメリカ人のモースは東京の大学で教授をしていて、ある日、彼は友人のウィルソンと一緒に相撲を見に行った。
モースはその場にいた日本人について、「巡査がいないのにも係らず、見物人は完全に静かで秩序的である」と感心する。
当時のアメリカでは(下手したらいまも)、格闘技やスポーツの試合があると、観客がエキサイトしてケンカになるから、武装した警官が必要だったのだろう。

モースはほかにも、会場で悪臭がしないことが印象的だったという。
そして相撲が終わると、観客たちは大声を上げたり、押し合ったりすることなく、整然と会場から出ていく。
彼はそんな日本人の態度を見て、「もし、ここがアメリカだったら?」と想像せずにはいられなかった。

日本人は国民性として規律正しさがあり、社会には秩序が保たれている。
そんな外国人の印象は現代でも変わっていない。

 

モース(1838年 – 1925年)

 

ことし2024年は、衝撃からはじまった。
日本海で巨大地震が発生し、石川県ではすでに200人以上の犠牲者が出ていて、その数はこれからさらに増える見通しだ。
この災害は世界中を驚かせ、多くの海外メディアが被害の様子を報じた。
SNSを見ると、欧米人がこんなコメントを書いていた。

「Despite facing a lack of shelter, electricity, water, food, and the possibility of ongoing earthquakes, the people of Japan have maintained their calm and orderly queued up, following the instructions of local authorities.」
(避難所や電気、水や食料の不足と直面し、地震が続く可能性があるにもかかわらず、日本の人々は冷静さを保ち、自治体の指示にしたがい、整然と列にならんでいた。)

「Up to now, in the disaster-stricken areas, there have been no recorded incidents of fighting, looting, or destruction. Instead, local stores like FamilyMart, Lawson, 7-Eleven have collaborated with the government to timely provide food and water to the people.」
(これまでのところ、被災地では争いや略奪、破壊などの事件は記録されていない。その代わり、現地のファミリーマート、ローソン、セブンイレブンなどが政府と協力し、食料と水を被災者に提供している。)

 

外国人の反応を見ると、こんな感じに、日本人の冷静さや規律正しさに感動する人が多い。
知人のドイツ人も地震の被害の大きさにショックを受け、日本人の冷静さには別の意味で衝撃を受けた。
日本に10年以上住んでいるアメリカ人は、「知ってたからもう驚かない。けど、日本人は相変わらずスゴイね」と感心する。
実際のところ、海外の多くの国ではこんな大災害が発生すると、争いや略奪、破壊行為などが起こるから、銃を持った軍人のパトロールが必要になるのは常識的だ。

 

 

韓国メディアもこの地震を大きく取り上げ、日本人の「国民性」に注目した。

朝鮮日報(2024/01/04)

深夜3時に避難警報…余震続く中でも秩序を失わない輪島市内の避難所で一晩過ごした 本紙東京支局長ルポ

朝鮮日報(2024/01/09)

日本の地震被災者の辛抱強さ【コラム】

多くの人が地震で自宅を失い、着の身着のままで避難して、いまは体育館などで生活をしている。
北陸の冬で暖房が無いというのは、それだけで辛いのに、体育館のような広々した場所では寒さがいっそう厳しくなる。
その場にいた韓国の記者は、足先がかなり冷えて、むかし徴兵で受けた酷寒訓練を思い出したという。
被災した人たちは電気や水道が何度もストップする環境で、余震の恐怖を感じながら過ごしていた。
その現場を取材した記者には、日本人のこんな姿が印象的だったという。

・自分たちが被災した状況でも、日本人は外からやって来た人間と食事を分け合う優しさを忘れてはいなかった。
・最悪の地震に何度襲われても、暴動や略奪といった混乱もなく再び立ち上がる日本人の原動力はこういうところにあるのだろう。

停電と断水に加え、インターネットが使えない状況でも、取材中に出会った日本人は悲しみや怒りを表すことなく、「まるで災害現場が日常であるかのように行動していた」と韓国の記者は感心する。
韓国では災害現場を取材する場合、インタビューをお願いすると、被災者に罵倒されることがあるらしい。
だから、記者はそんな覚悟もしていたが、「そのようなことは起きなかった」と驚く。

 

日本人は平時でも災害時でも、静かで規律正しく、秩序を守っているーー。
そんな日本人の国民性や外国人の印象は、明治も令和も変わっていない。

 

 

日本 「目次」

アフリカ人と日本人の宗教観 神社で「恐怖」を感じたわけ

「地震の原因」をキリスト教徒は神、日本人はナマズと考えた

初めて地震を経験したアフリカ人、日本人の見方が一変する

【日本の災害対応力】外国人の感嘆・世界最高クラスの理由

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。