今も昔も変わらない日本人の美点に「クリーン」がある。
さっそくそれを、幕末から見ていこう。
京都で新選組による池田屋事件があった翌年、1865年にドイツの考古学者シュリーマンが日本へやってきた。
彼はギリシア神話に出てくる都市「トロイア」の発掘に成功した有名な人物。
シュリーマンは船で来日し、横浜港で入国する際に荷物チェックを受けることを嫌がり、税関の役人にワイロを渡して見逃してもらおうとした。
しかし、役人はそれを拒否。
シュリーマンはそんな日本人の態度から、名誉を重んじる武士の精神を感じ取る。
彼らに対する最大の侮辱は、たとえ感謝の気持ちからでも、現金を贈ることであり、また彼らのほうも、現金を受け取るくらいなら『切腹』を選ぶのである
「シュリーマン旅行記 清国・日本 (講談社学術文庫)」
ちなみに、中国(清)ではワイロが通じたから、シュリーマンは日本でもイケると考えたらしい。
シュリーマン
江戸時代が終わって、明治時代がはじまったころ、イギリス人の女性イザベラ・バードが日本にやって来た。
横浜港に着いた彼女は、さっさく日本人の様子に感心する。
わたしの受けた第一印象は、この国はよく統一されているというものです。上陸したとたん、サンパンや人力車の料金表、掲示板の広告文、きちんとした警察官、乗り門の提灯、外国紙幣の拒絶、郵便規則などなど、『規則』に出会うのですから。それにこれも言わなければならないでしょうか。ぼられることがまるでないのです!
「イザベラ・バードの日本紀行 (講談社学術文庫) 」
イザベラ・バード
最近、ドイツのNGO「トランスペアレンシー・インターナショナル」が、世界各国の“清潔さ”のランキングを発表した。
この場合のキレイさとは、お風呂に入ることなどではなく、精神的なものを指す。
汚いカネの動きが少なく、どれだけ社会がクリーンなのかを示す「汚職指数」の低さのこと。
2023年版の「汚職指数」によると、世界180の国・地域の中で、日本の「清潔度」は16位で、22年版の18位から順位を2つ上げた。
上位5カ国はこんな感じ。
1位:デンマーク
2位:フィンランド
3位:ニュージーランド
4位:ノルウェー
5位:シンガポール
最下位はソマリアで、次にベネズエラとシリアと南スーダン、そしてタイと北朝鮮が続く。
このニュースに日本のネット民の感想は?
・法律がゆるゆるなので
汚職に当たらない!
・これで16だもんなあ、世界はヤバいな
・このランキングさえ汚職してるんだろ
・空港職員が金を要求して、払わないとトランクをひっくり返して荷物検査
中東やアフリカではこれが当たり前
・隣の芝生は枯れていた
日本が世界で上位10%に入るクリーンな国というのは想定内だったけど、タイの「汚職っぷり」がここまでヒドイというのは意外だ。
社会的な清潔さのギャップがすごいから、日本に住んでいる知人のタイ人が久しぶりに母国へ帰ったら、ワイロがまん延していることに驚いた。
「武士に対する最大の侮辱は、ワイロを受け取ることだ」という高潔な精神は、これからも大切にしていきたい。
「Why did you come to Japan(You は何しに日本へ?)」は失礼な質問?
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