日本にいるブルガリア人の話/ヨーグルトの歴史

 

最近、20代のブルガリア人男性と話をしたから、今回はその内容を紹介しようと思う。
話題はやっぱり“アレ”だった。
ブルガリアは東ヨーロッパの国で、トルコの左上にある。
ブルガリアの面積は日本の約3分の1、人口は約20分の1だから、日本と比べるとかなり広々している。
酪農業が盛んというのも納得。

 

 

ーー日本に来てから、ヨーグルトに関する質問を何回された?

いや、そんなでもない。
「ブルガリア人は毎日ヨーグルトを食べるの?」とか「ブルガリアのヨーグルトは日本のとどう違う?」って、100回ぐらい聞かれただけだよww。
もちろん、ブルガリア人はヨーグルトをよく食べるけど、頻度は人によって違って、ボクは週に3〜4回くらい。

ーー日本にいる知り合いのインド人は、「インド人は毎日カレーを食べるの?」ってよく聞かれると言ってた。
それと同じで、「在日ブルガリア人あるある」の質問かな。
日本でブルガリアの文化や歴史を知る機会はなかなかないから、ブルガリアのイメージといったら“ヨーグルト一強”という人が多いと思う。
で、日本のヨーグルトとどう違うの?

日本のヨーグルトは全体的に柔らかくて甘くて、酸味が薄いね。でも、おいしいと思う。
明治のブルガリアヨーグルトはやっぱり、一番ブルガリアのものに近い。
ブルガリアではヨーグルトをそのまま食べることもあるけど、いろいろな料理の味付けやサラダのドレッシングのように使うことが多い。
フルーツやハチミツを入れて、甘くして食べることもある。
日本に比べると、ヨーグルトの使い方の幅がすごく広いんだ。

ーー日本料理でいうなら、その位置づけは味噌に近いかな。

でも、ブルガリアの若い世代では、ヨーグルトを食べる人が減っている。

ーー日本でも、若者のみそ汁離れ、カレー離れ、牛乳離れ、ワサビ離れが言われているけど、ブルガリアでは若者のヨーグルト離れが進んでいると。

ヨーグルトが嫌いになったというよりは、社会が豊かになって、ほかに食べるものが増えた結果じゃないの?

 

 

ヨーグルトの起源はとても古く、紀元前5000年ごろにさかのぼる。
そのころ、バルカン半島〜中近東〜中央アジアのあたりで、ヤギの乳(生乳)に偶然、乳酸菌が入りこんで、酸味のある飲み物になったことがヨーグルトの始まりと考えられている。
日本語の「ヨーグルト」という言葉はドイツ語の「Joghurt」に由来し、さらにその語源をたどると、古代トルコで「撹拌(かくはん:かき混ぜる)」を意味する「ヨウルト」に行きつく。
ヨーグルト

 

一方、日本では奈良時代に、「酪(らく)」というヨーグルトに似た(と思われる)食べ物や、「蘇(そ)」というチーズのような食べ物があったが、これはすぐに日本の社会から消えた。

日本で流行る古代の乳製品「蘇」/チーズ不足で不満の外国人

その後、日本で乳製品は発達しなかった。
1858年に、江戸幕府と日米修好通商条約を結んだハリスは、牛乳が大好きだったから、日本で牛乳が飲めないことに苦しんだ。
当時の日本人にとって、牛乳は一般的には子牛が飲むもので、人間が飲むという発想はなかったという。

【異世界】米国人ハリスが見た幕末の日本の良い/嫌なところ

 

明治時代になって社会が欧米化すると、食文化も変わり、日本にも乳製品を口にする習慣が広まった。
1894年ごろ、売れ残った牛乳を発酵させて「凝乳(ぎにゅう)」が作られ、販売されるようになる。
これがヨーグルトで、腸の働きを助けるという宣伝文句は今も変わっていない。

明治乳業のブルガリアヨーグルトの歴史は新しい。
1970年に開催された大阪万博で、明治乳業の関係者がブルガリア館でヨーグルトを試食して「ウマい!」と感じたことから、商品開発がスタートした。
1972年にブルガリア政府から、「ブルガリアの名前を使っていいですよ♪」と許可を得て、明治は翌73年に「明治プレーンヨーグルト」の名称で発売開始。
現在では、ブルガリア人も認める一品になっている。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。