ピンチを嘆いても怒っていても状況は変わらない。
「ならばいっそ視点を変えて、この機会を利用しよう」と思った人がいて、その発想に共感と話題が集まっている。
新型コロナウイルスの感染がどんどん拡大する状況を受けて、全国の小中高校が休校となった。
これで困ったのが、牛乳を提供する酪農家の人たちだ。
廃業がみえてきたという人が出てくると、それを救うために、牛乳で古くて新しい食べ物を作って紹介する人が現れた。
それは、古代の日本で作られていた「蘇(そ)」という乳製品だ。
奈良時代の日本で「蘇」は全国で作られ、税として朝廷へ納められていた。
正月に開かれていた天皇の家臣たちによる酒宴「二宮大饗(にぐうのだいきょう)」「大臣大饗(だいじんのだいきょう)」で甘栗などとともに、蘇が振る舞われていた
日本でも蘇をはじめ乳製品を食べる習慣はあって、平安時代の貴族の間では食べられていたけど、武士の時代になってから需要が減っていき、江戸時代になると日本の酪農は姿を消したという。
牛乳あまりで酪農家さんが大ピンチといういま、平安時代の食べ物を現代によみがえらせたのがこちら。
1リットルの牛乳から80グラムの蘇ができました。温かいうちにひとくち大に丸めて、ラップで軽く茶巾に絞ってコーヒーのお供に。たんぱく質の塊なので、筋トレ中の方のおやつに最適かと。
甘さは加減しやすいですね、これ pic.twitter.com/RmZQ3kGmcE— ぬえ (@yosinotennin) March 2, 2020
なんという温故知新。
いまで言えば蘇はチーズやヨーグルトのようなものですね。
「マイナビニュース」の記事(2020/03/04)によるとこれがいま流行中だ。
牛乳を煮詰めて作る古代のチーズ“蘇(そ)”がツイッターで流行中! 作ってみた人に話を聞いた – 牛乳余りを救うべく、平安時代以来のブーム再来!
これにネットの反応は?
・蘇だねー
・諸説に共通しているのは「蘇は乳を煮詰めた乳製品で美味しいもの」である。
・クリームチーズみたいな味やで
・古代日本って乳出る動物を家畜化してたんか?
・蘇と醍醐と酪とかいう日本の寺で作って外に漏らさないよう社外秘にしてたら
結局作り方がイマイチ分からなくなってしまった謎の食い物
・クックパッドで蘇作ってるやつ結構いてワロタ
英語を教えているイギリス人に、日本の生活で感じる不満を聞いたら、「チーズが手に入らないこと!日本で売っているチーズは種類が少ないし、いいチーズはイギリスの4倍ぐらいする」と言う。
アメリカ人やリトアニア人、スロバキア人も同じことを言っていたから、日本に住む欧米人の間で「チーズの入手困難」というのは共通の不満なんだとおもう。
たしかにチーズやヨーグルトといった片仮名の食べ物は、日本の伝統的な食文化にはない。
チーズ大好きの外国人が「蘇」という古代の乳製品を食べたら、どんな反応をするんだろう。
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「飢え」が変えた食文化。日本と世界(ドイツ・カンボジア)の例
蘇(古代のチーズ的な食べ物)の日本における食用文化の歴史も謎が多いところなのですが、では、その原料である「牛乳」についてはどうなのでしょうかね? 原則として、日本では酪農文化が一般的ではありませんでしたから、蘇も牛乳も、食品としてはさほど一般的ではなかったのでしょうか? 時代によって違うとか?
昔の人が牛乳を飲んでいる姿と言えば、司馬遼太郎作「国盗り物語」の下巻の冒頭で、若き日の織田信長が竹筒に入れた牛乳を飲んでいたところを父親の織田信秀に咎められるシーンが印象的でした。ただし、本当にあったエピソードなのかどうかは知りませんけど。
明治時代に日本にきた欧米人の記録を見ると「牛乳が手に入らない」と何度か書いてあったので、牛乳を飲む習慣はなかったのでしょう。
牛乳を飲まなかった理由は分かりませんけど。
前にTVで徳川家康の好物って紹介されてましたね。これ。
昔の文献から再現するってやつで。
何時間も加熱しないといけない(煮込んではいけない)ってので苦労して作ってましたね。
手間がかかるから廃れたのでしょうかね。
現代でもイベントのようなときでないと作られないと思います。