【日本の英断】旧正月の表現をめぐる、韓国と中国の争い

 

日本・中国・韓国は永遠のご近所さんで、古代から交流があり、漢字や儒教などいろんな文化を共有してきた。
その中で、日本がほかの2国と一線を画して、本当によかったと思うことに犬食の廃止がある。

食文化の脱・東アジア 日本人が犬肉を食べなくなった理由

 

ご先祖さまの英断はほかにもある。
明治時代に西暦を採用した際、正月を現在の1月1日に“引っ越し”をして、東アジアの文化圏から抜け出したこともナイス判断だった。
中国、韓国、ベトナムでは旧暦で正月を祝っていて、ことし2024年は2月10日に新年がはじまる。
この時期になるとよく、中国と韓国&ベトナムの間で、表記の仕方をめぐってちょっとした対立が起こる。

中央日報の記事(2024/2/13)

PSG、「旧正月」でなく「中国正月」と表記…「アジア圏の普遍的文化を無視」

韓国のイ・ガンイン選手も所属するフランスのサッカーチーム「パリ・サンジェルマン(PSG)」がSNSで、「Chinese New Year(中国正月)」と表記したことで、韓国の名物教授、徐坰徳(ソ・ギョンドク)さんがSNSで怒りを表明した。

*この人は日本や中国、ヨーロッパなど全方向に噛みつくから、日本のネット界隈では「当たり屋」とも呼ばれている。
まぁ、韓国人としては外国人に「中国正月を祝う」と言われるのは不本意で、「Lunar(太陰暦の) New Year」と言ってほしいという気持ちはわかる。

ソさんの主張はこうだ。
旧正月は「韓国をはじめベトナム、フィリピン、インドネシアなど複数のアジア諸国が記念する日」だから、欧州の名門チームが「中国正月」と表記するのはアジアの普遍的な文化を無視している。
教授は“間違い”を訂正させるために、サッカーチームに抗議メールを送るという。

 

なるほど。
しかし、間違っている。
フィリピンやインドネシア、タイなどの東南アジア諸国では、中国系の人たちを中心に旧正月のお祝いをしている。だから、韓国やベトナムと同列に並べて「アジア諸国が記念する日」とするのは正しくない。
PSGだけでなく、スペインのレアル・マドリードやイタリアのACミランなどの有名サッカー・チームも「中国正月」を使った。
きょねん国連が発行した記念切手には、「Chinese Lunar Calendar」と表記されていた。
残念ながら、世界的にはこっちが主流だ。

もし来年、ヨーロッパの有名サッカーチームが表記を「Lunar New Year」に変更したら、今度は中国人から、「Chineseを抜かすな!」と抗議が殺到することは目に見えている。
どっちにも叩かれたくなかったら、旧正月に触れなければいい。
韓国や中国がそんな「沈黙の春」を望んでいるかどうかは知らないけど。

 

タイの旧正月飾り

 

正しい表記は「Chinese New Year」か、「Lunar New Year」か?
日本のネット民の反応を見ると、対岸の火事を眺めているだけだった。

・面倒くさいので新正月にしろ
・SNSのコメ欄で中国人と韓国人が日本も絡めて侮辱し合っててカオスだった
・それよりなぜ日本は東南アジアの国にしては旧正月をガン無視なのか?
・日本海で中国正月お祝いしたってニュース流れたらどっちに食いつくんだろ?
・Lunar new yearもダサい
ancient new yearにしよう

それより、「PSG」だとプレステとカン違いするから、「パリSG」と表記してほしいとリクエストをする人もいた。
日本人の認識なんてそんなもの。

 

明治時代、日本には2つの選択肢があった。
1つは、生活は西暦に合わせるけど、文化行事は江戸時代に使っていた旧暦で行うというもの。現在の中国や韓国、ベトナムはこのやり方をしている。
もう1つは、文化行事の日程も西暦に合わせるというもので、日本はこれを採用した。
明治維新の改革、「日本の大掃除」は徹底的に行われたことがわかる。
日本が西洋歴を選択したことで、当時は日本人が韓国人から、「西洋の属国になった」と非難されることもあったけれど。

旧正月を廃止した日本、昔と今の韓国人にはこう見える

ご先祖の英断によって、現在、日本人がめでたい時期に「表記争い」に巻き込まれなくて本当に良かった。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。