「Love is War」とは、アニメ『かぐや様は告らせたい』のオープニングソング。
女性が男性に秘めた思いを伝えるバレンタインデーは、チョコレート関連の企業にとっては夏のボーナスにもつながる「決戦の日」で、2月14日に近づくと各社が戦闘モードに入る。
このイベントはもとは欧米の文化で、日本では 1970代に広まった。
知り合いのアメリカ人は日本の学校で英語を教えていた経験があって、日米のバレンタインの違いについて話を聞いたから、今回はその内容を紹介しようと思う。
ーー先日はバレンタインデーでした。
日本では勝者と敗者が峻別される残酷な日です。
日本の学校で働いていた時、あなたもこの日に何かしましたか?
いいや、何も。
学校では、学年ごとに女性の先生がチョコやクッキーを用意して、同じ学年の男性の先生に配ったって話は聞いたけど、わたしには声がかからなかったから、特に何もしなかった。
ーー英語の先生は学年をまたいで教えるから、所属を決めるのはむずかしいかも。それか、「外国人枠」に入れられて、この日本文化の対象外にされた可能性もあります。
それで、日本のバレンタインデーはアメリカとどうます?
女性が男性にお菓子をあげるっていうのが日本式で、アメリカのバレンタインはそんな一方通行じゃない。
職員室では義理チョコが配られていたけど、それをする理由が分からなかった。
ーーそれは「アメリカ人あるある」ですね。
アメリカの文化人類学者ルース・ベネディクトが日本文化について説明した『菊と刀』の中で、日本人が大切にする“義理”はアメリカ人には理解困難だと指摘しました。
“義理”の意味にいちばん近い英語は「obligation(義務)」だろうけど、それは日本人の言う義理とは違う概念で、結局、義理に相当する言葉は英語には見当たらないそうです。
1ヶ月後のホワイトデーにお返しをするのも、義理の考え方に関係してるよね?
これは日本独特の習慣で、アメリカにそんな日はないのよ。
ーー受けた義理を必ず返すのが武士道ですから。
プレゼントをもらったのに、何も返さないのは“切腹”に相当する罪です。
そんな不義理をしたら、職場の空気が悪くなるし、上司からも職務上の基本的な能力に欠けていると判断されそうです。
ただ、バレンタインの義理チョコはわりとめんどくさいので、職場で渡すことを廃止したところも多いですけどね。
わたしの場合は、何もしなかったのに、ホワイトデーに教頭先生からチョコをもらってラッキーだった。
ーー日本で生まれたホワイトデーが韓国や台湾にも広がっているのも、儒教に通じる「義理」の感覚があるからかも。
ーーところで、女性を表す英語には「ガール」「レディー」「ウーマン」といろいろあってややこしいのですが、日本のバレンタインデーの場合はどれを使ったほうがいいです?
10代をふくめた若い層が主体ならガールズで、だいたい18歳以上で年齢層の高い女性の場合はレディーやウーマン(の複数形)になる。
ーーそうか。
勝手に「ガールは未成年」と思い込んでいたけど、実際はそうじゃないと。
そうそう。
20代の女性がする「女子会」もガールズでOK。
でも、「女の先生(女性教員)」なら、「female(フィメイル) teacher」になる。
ーーやっぱややこしいわ。
で、バレンタインデーにアメリカ人は何をするんです?
アメリカでバレンタインは、おもに若者や子どものイベントってイメージがある。
日本みたいに女性が告るんじゃなくて、すでにカップルになっている人たちがこの日にデートをして、男性が女性にチョコレートや花束なんかを渡す。
女性から男性に渡すこともあるし、家族にプレゼントをあげてもいい。
学校では、子どもたちが感謝の気持ちを書いたカードを友だちと交換することもある。
だから、バレンタインの時期になると、日本と同じようにチョコレートがよく売れるし、いろいろな企業が勝負をかける。
ーーアメリカ人には日本人の“義理”の感覚が無いから、バレンタインデーの中身がかなり違う。でも、企業にとっては「戦争」である点は同じと。
クリスマスとかハロウィンとか、日本では独自に発達していておもしろいよね。
コメントを残す