ドイツ人が感じた“日本人の特徴” ルール順守 VS 自分責任

 

最近、世界の注目を集めた出来事があった。
コロナワクチンを217回も接種した人がいたらしい。
どこのどいつだ? と思ったら、ドイツに住む男性だった。
健康に悪い影響はなかったというけれど、これじゃ「セルフ人体実験」だ。

さて、数年前にドイツから日本にやって来て、半年ほど住んだ後、母国に帰ったドイツ人と話をしたので、今回は「ドイツ人から見た日本人」について紹介しよう。

 

ーー日本に住んでいて、ドイツとの違いを感じたことはある?

あるね。ありまくりだね。
むしろ、「ドイツと同じだ」と感じることの方が少なかった。
日本に住みはじめたころ、日本人の知り合いと一緒に自転車を買いに行ったんだ。安くて良い自転車が見つかったから、すぐそれに決めたら…

ーーちょっと待って。
それは日本に住む外国人の間では有名で、英語版ウィキショナリーでも紹介されている「ママチャリ(Mamachari)」のこと?

あたり。
日本には半年しかいないし、安くて便利なママチャリがいいなと思って。
で、それを買おうとしたら、防犯登録をしないといけないと言われたんだ。

ーー登録しておくと、自転車を盗まれても戻ってくる可能性が高くなるし、ステッカーをしておくだけでも少しは盗難防止になるからね。
逆に、ステッカーのない自転車に乗っていると盗難を疑われて、警察官に「ちょっといいですか?」って呼び止められて面倒なことになる。
日本ではそれが義務だけど、ドイツでは防犯登録はないワケ?

 

あるよ。
自転車の認識コードがあって、自転車店で2000円ぐらいで出せば手続きしてくれる。
そうすれば盗まれても、何もしないよりは戻ってくる可能性が高くなるけど、まぁ期待はできない。
それに、それは任意であって義務じゃない。
だから、日本で意外に思ったんだ。

ーー君はどっちがいいと思う?

個人で選べる方がいいね。
それに、ドイツ人は日本人と違って素直じゃないから、上から「○○をしなさい。これは義務です」って言われると、「うるせー! オレの自由や権利を侵害するな!」って怒り出す人が多い。だから、国民に何かを義務付けるのは難しいんだよ。

ーーなるほど。
日本と比べて、たしかにドイツ社会では、個人の選択が優先される傾向が強い気がする。

そうそう、それ大事。
ボクは自転車を半年だけ使う予定で、あまり魅力のない安い自転車を買ったから、防犯登録はいらないと思ったんだ。
だから、最初は断ったけど、「これは義務だから!」って強く言われてね。
金額は大したことなかったし、それが日本のルールだから従った。
でも、数千円の中古自転車と数十万のロードバイクはまったく違うのに、すべての自転車に防犯登録を義務付けるのはおかしいと思ったよ。

ーーなるほど。
日本人は自分の頭で考えられない羊みたいだと。

そこまで言ってねーよ。
みんながルールや決まりに従順なことを「良い/悪い」と感じるのは、個人の感覚や状況によるでしょ。

ーー状況とは?

ドイツ人みたいに、自分の権利や自由を大事にしすぎることも問題なんだ。
たとえば、コロナ禍で政府が国民に「外出する時はマスクを着けなさーい」と呼びかけたら、たくさんの人が「マスクをするかしないかは個人の権利で、政府が命令するな!」と怒って各地でデモが発生した。

ーーそれ、テレビで見たことある。
一部が暴徒化してケガ人が出たり、街が破壊されたよね?

そうそう、「ドイツあるある」だよw。
他人の命や健康よりも、自分の権利を大切にするのは間違っている。
その時、ニュースで日本の様子も見たけど、国民はみんなマスクをして、社会は落ち着いていたから、別世界みたいでうらやましかった。

ーーワクチンを217回接種した人がいたり、「反マスク暴動」が起こったりと、ドイツは極端だな。

 

ドイツのクリスマスマーケット

 

ーードイツでは、自分で決めることが多い分、自己責任の割合も大きい気がする。

だと思うよ。
自転車について言えば、ボクも以前、数万円の電気自転車を盗まれたことがある。
それに乗ってジムへ行って、外から見えないように建物の中に置いていたけど、2時間ぐらい後に戻ってきたら消えていた。

ーー警察署に行かなかった?

行かない。
自転車の認識コードはなかったし、ドイツで自転車の盗難なんて日常茶飯事だから、そんなことで警察は相手にしてくれない。
日本の警察は自転車の盗難で動いてくれるの?

ーー犯人を見つけるために捜査まではしないだろうけど、受付はしてくれる。
それをしておけば、放置自転車や警察の職務質問で見つかることもあるから、あとは「果報は寝て待て」。
ドイツでは自転車を盗まれたら、すべて自己責任ってこと?

それと不運のせい。
その日は不運と管理の甘さが重なったと思って、あきらめるしかない。
モノを盗まれるリスクはいつでもあるから、それを防ぐのは結局は自分しだい、自己責任の部分が大きい。
ドイツでは、自転車を盗むことには、それに乗って移動して捨てる場合と、売って儲けるケースがある。
だから、自転車を止める時、サドルを外して持っていく人もいるんだ。

ーー日本でその光景を見たら、「サドルだけ盗まれた」って思いそう。

自己判断と自己責任はセットだからね。
だから、「反マスク暴動」には腹が立つ。
自分がマスクをしないことで、他人がコロナにかかるのはおかしい。

 

今回のまとめ

ドイツ人の彼の常識や感覚からすると、すべての自転車に防犯登録を義務付けるのは行き過ぎ。そのぐらいは個人の判断にまかせた方がいい。
でも、コロナ禍のような「国難」の時には、国民が素直にルールに従うことは大きな強みになる。
それから、日本人がドイツ(というか海外)へ行ったら、自己判断と自己責任、それとあきらめが重要になる。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。