2022年に日本へやってきて、いまは静岡の大学で学んでいるドイツ人(20代・男性)とこのまえ会ってアレコレ話をした。
なので今回は、彼が日本で感じた不思議を紹介したいと思う。
でもその前に、まずはドイツの基本を押さえておこうか。
人口:約8,400万人(2020年)
人口密度:1平方キロメートルあたり約237人(2018年)
面積:35.7万平方キロメートル(日本の約94%)
首都:ベルリン(約367万人)(2019年)
宗教:カトリック(27.2%)、プロテスタント(24.9%)、ユダヤ教(0.1%)
「ドイツ連邦共和国」
・ハンバーグ…だと?
静岡では「さわやか」のハンバーグが美味しくて、超気に入っている。
このハンバーグという言葉は、日本へ来てから初めて知った。
「Hamburg」はドイツ語で、北部にある大都市ハンブルクを指す。
*ハンブルクはドイツ第2の都市で約184万人が住んでいる。
ドイツ人の自分が「Hamburg」という文字を見ると、自然とハンブルクを連想するから、日本ではなんで料理の名前になっているか不思議。
日本に来てしばらくは、ハンバーガーのことを日本人は「ハンバーグ」と言っているのだとカン違いしていた。
でも話をよく聞いたら、ハンバーグとハンバーガーは別の食べ物だという。
ハンブルクは港湾都市でシーフードのイメージが強いから、なんで肉料理なのかホントに謎。
ドイツで「Hamburg」という食べ物は知らないけど、ハンバーグのような食べ物なら「フリカデレ」という肉料理がある。
(ドイツに行ったら、「choshi」と呼ばれるミートボールがあったとする。それが、日本屈指の港町である千葉県の銚子に由来していたら、日本人もきっと彼と同じような思いをする。)
ではここで、ハンバーグの歴史を見てみよう。
19世紀にハンブルグ港から多くのヨーロッパ人がアメリカへ渡っていき、移民の窓口となったニューヨークで、レストランがハンブルク風の肉料理を提供した。
これが「Hamburg steak」と呼ばれるようになって、やがて日本へ伝わり、独自に進化して今のハンバーグ文化が出来上がった。
このフリカデレはドイツの肉料理で、ハンブルクの郷土料理というわけではない。
・アルバイト…だと?
日本にはドイツ語に由来する「アルバイト」という言葉があるのは、YouTubeで見たから来日する前から知っていた。
でも、ドイツ語の「Arbeit(アルバイト)」は仕事という意味で、英語だとジョプになる。
イタリア人とトルコ人などの外国人がドイツへ来て、短期間働いてお金をかせいで母国へ帰る労働者をドイツ語で「ガストアルバイター」(Gastarbeiter)という。
日本語のアルバイトは「パート・タイム・ジョブ」のことだから、ドイツ語とは意味が違う。
だから彼が日本に来てから、バイトとパートの2つの言葉があることを知ってちょっと混乱する。いまでも日本語のアルバイトの意味が正確には分からない。
*日本の「アルバイト」という言葉は、もともとは明治時代に学生が使っていたもの。
今でいう若者用語のように、勉学に励むと同時に生活費を得るためにしていた仕事のことを、明治の学生は「アルバイト」と言っていて、この学生用語が一般的な言葉になっていった。
(アルバイト)
こんな背景があるから、バイトとパートは基本的には同じ意味だけど、学生がするとアルバイト、それ以外の例えば主婦がするとパートと呼ばれることが多い。
このへんの区別はアイマイで、地方によって違いがあるかもしれない。
ということで、日本の「ハンバーグ」はアメリカ文化に由来するから、ドイツにはほぼ関係ない。
「アルバイト」は明治時代の学生の隠語から始まった言葉だから、ここでもドイツ人は置いてけぼりというか、蚊帳の外にいる。
どっちも直接ドイツから伝わったものじゃないから、日本へ来たドイツ人が「これはどういうことだ?」と疑問に思うのも仕方ないかと。
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