ドイツ生まれのアメリカ料理・ハンバーク その歴史や語源

 

ガストのハンバーグステーキが大幅にパワーアップしたらしい。
肉を肉で包む「肉 In 肉」製法で、肉々しさが爆発と。
日本ではファミレスの定番メニューのハンバーグ(ハンバーグステーキ)は、小学生からお年寄りまで不動の人気を誇っている。
*ハンバーグはハンバーグステーキの略称だからどっちも同じ。

それは海外も同じで、この肉料理への支持は同じように高い。
…というワケではなく、日本人のハンバーグ好きは別格のようだ。
英語版ウィキペデアの説明では、日本での人気を特筆している。
1960年代に高級な肉を手ごろに食べられるハンバーグが人気を呼び、雑誌にレシピが掲載されて日本では定番料理となったという。

Hamburg steak became popular during the 1960s as a more affordable way to serve otherwise costly meat. Magazines regularly printed the recipe during that decade, elevating it to a staple dish in Japanese culture.

Hamburg steak

進化が止まらない。

 

では、日本中でファンを獲得している、このジューシーな肉料理の語源は何か?
「Hamburg」を「ハンバーグ」とするのは英語読みで、ドイツ語だと「ハンブルグ」になる。
ということで高速でネタバレすると、これはドイツの都市ハンブルグに由来するのだ。(ハンバーグ
ハンバーグの原点となった牛ひき肉を焼く料理(Frikadeller)はハンブルグにあって、19世紀になると港町のハンブルグから、多くのヨーロッパ人がアメリカのニューヨークへ渡っていった。
移民の窓口となったニューヨークでは、ヨーロッパ移民の好みに合ったハンブルク風の肉料理をレストランが提供すると、これが大人気になる。
そしてそれは「Hamburg steak」と呼ばれるようになった。

いまの日本にあるハンバーグは、ドイツ(ハンブルグ)の肉料理がアメリカでアレンジされたものが元になっていて、それが独自に進化したものだ。
だからハンバーグはアメリカ料理と言ってよし。
と思うのだけど、アメリカ人に聞くと、日本のレストランでよくあるハンバーグを見たことないと言う。
それに近いのはハンバーグステーキから生まれたソールズベリーステーキ
デミグラスではなくて、キノコのソースを使ったソールズベリーステーキは家でよく作る食べ物で、レストランで食べるイメージはない。
そのアメリカ人は「ハンバーグ」という言葉を見たことないと話すから、現在ではもう消えているかもしれない。

ちなみにアメリカ人的には基本的に牛肉をはさんであるモノを「ハンバーガー」と呼ぶから、フィレオフィッシュやフィッシュバーガー、えびバーガーなどは「サンドウィッチ」になる。
なので、日本人がそれも「ハンバーガー」と呼ぶことには違和感を感じるというアメリカ人もいた。

【日本人と米国人】サンドイッチとハンバーガーはここが違う

 

さて、母国の都市が世界的に有名な料理の名前になっている現象について、ドイツ人はどう思っているのか?
知人のドイツ人に聞いてみると、「あれはドイツ料理なのに、世界中で『アメリカ料理』と思われている。納得がいかない!」とか言うと思ったら、「マジで? ハンバーグの語源ってハンブルグなの?それは初耳」と驚くドイツ人にボクが驚いた。
むしろなぜ知らない?
ドイツでハンブルグは港町として有名だから、魚介類の食べ物なら分かる。でも肉料理のイメージはない。肉料理ならドイツのほかの都市の方が有名なのに、なんでハンブルグが「ハンバーグ」として世界的に有名になったのか、想像できないと彼は言う。
「Hamburg」をドイツ語読みしたらすぐに気づきそうなモンだけど、このへんはボクにもよく分からん。
とりあえず、30周年の大リニューアルがされた、ハンブルグ由来の肉料理を食べてみよう。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。