知人のドイツ人は日本に半年ほど住んでいたことがある。
彼は日本に来る前に、ユーチューブ動画やネットサイトなどでグルメや名所などの情報を集め、「日本でやりたいことリスト」を作成した。
その中のひとつにあったのが、「猫カフェへとメイドカフェに行くこと」だ。
ニャンと!
まずは、人類とこの小さな友だちとの歴史を簡単に確認しておこう。
ヒトとネコの関わりはおそろしく古く、キプロス島にある約 9500 年前の遺跡で、猫と一緒に埋葬された子供のお墓が発見された。
猫はこの島に生息していなかったため、中東のメソポタミアのあたりから、持ち込まれたと考えられている。
この時代、中東にいた人たちは、苦労して収穫した農作物をネズミに食べられることに頭を悩ませていた。それで、ネズミを駆除してくれる猫を歓迎し、猫の家畜化がはじまったという。(Domestication of the cat)
ただ、人間が猫を家畜化したのではなく、猫がエサとなるネズミの後を追いかけた結果、人間社会に定住するようになったという説もある。
猫のペット化(家畜化)が本格的にはじまったのは、約4000年前のエジプトとされる。
当時の猫は神格化され、崇拝の対象となっていたから、現代の人間が考える「ペット」とは見方がかなり違うはずだ。
日本画で描かれた猫
猫を愛する文化は古代エジプトからヨーロッパやアジアに広まり、日本には弥生時代のころ、中国から伝わったといわれる。
その後、日本人はこの生き物のかわいさに心を撃ち抜かれた。
平安時代には、日本で初めて一条天皇が愛猫に名前(命婦の御許)を付けてかわいがったことが知られている。
猫に名前を付けてかわいがることなら、昔から世界中の人たちがやってきた。
ガストでイギリス人が「未来だ!」と歓喜した猫型ロボット
話を冒頭のドイツ人に戻すと、彼は東京で評判の良い猫カフェを利用し、満たされた。
そこは飲み物を頼んだ後、自由に猫と触れ合うことができるという、日本でよくある王道スタイルの店だったらしい。
彼はそこで猫をなでたり、猫じゃらしで猫と遊んだりして、ドイツでは感じたことがなかった至福のひとときを過ごす。
最近では、ドイツにも猫カフェが登場してきたけれど、彼の住んでいる街にはまだない。
ドイツで動物と交流できる場所というと、動物園にヤギや小さい馬に触ることができるコーナーがあって、彼は子どものころそこで楽しんだ記憶があると言う。
日本の動物カフェはそれとは次元が違う。
オシャレな空間や癒やしの要素があって、外国人の評判もすごく良い。
彼にとってはとても新鮮だったから、「日本でやることリスト」に猫カフェを入れた。
メイドカフェも日本人らしい発想で面白そうだったから、彼はそれもリストに加え、来日した後、2つとも実現させた。
いまでは猫カフェが海外にもあることは知っていた。
でも、彼が猫カフェを日本でうまれ、ドイツに伝わった新しい日本文化と考えていたことに、違和感を感じた。
あれって日本の文化だったっけ?
調べ見ると、世界初の猫カフェは、1998年に台湾の台北市にオープンした「猫花園」だったことが判明。
*現在は「小猫花園」という店名に変わっている。
あるネコ好きのカップルがいて、彼らが経営する飲食店で客から見えるところで飼っていた。
すると客から、あの子たちと触れ合いたいというリクエストがあったことがきっかけで、猫を店内に解放し、自由に移動できるようにしたところ、愛猫家の間で話題になったらしい。
世界初の猫カフェは台湾で生まれ、そのコンセプトは日本で開花したという。
The world’s first cat café, “Cat Flower Garden” (貓花園), opened in Taipei, Taiwan, in 1998 and eventually became a global tourist destination. The concept blossomed in Japan
その「貓花園」からインスピレーションを受けたのかは知らないが、日本では 2004年に大阪市でオープンした「猫の時間」が初めての猫カフェといわれる。
翌 2005年に東京で初の猫カフェが登場すると、人気が爆発し、全国へ広まっていく。
2005 年には全国で3店舗しかなかったのに、2015年には約 300 店舗と10倍以上に急拡大している。
日本で猫カフェが短期間でこれほどの人気を集めたのはなぜか?
その理由のひとつは住宅事情にある。
日本のアパートやマンションでは、一般的にペットを飼うことが禁止されている。それに、猫は好きだけど、手間や時間、お金をかけて飼うのは面倒だと思う人も多い。
短期間でこれほどの人気を集めたのはなぜだろうか?
そんなことから、特に若い人たちにとってカフェは気軽に猫と触れ合って、ストレス解消と癒やしを得られる場所になっているのだ。
店員やほかの客から、猫の情報を聞くことも楽しみにあるらしい。
日本ではすさまじい数の猫カフェがあって、競争はとても激しい。
黒猫や太った猫、ジェネッタやスフィンクスといった珍しい猫を用意するなど、他店との差別化をはかっているから、ユニークな店が次々と誕生する。
そんな事情と訪日外国人が多さから、発祥は台湾でも、世界的には「猫カフェは日本の文化」というイメージが広がったと思われる。
アメリカのコメディ・ドラマ『Girls』では、若い女性が東京の猫カフェで仕事をしているシーンが出てきた。
はじまりは台湾でも、猫カフェは新しい日本文化の一つと考えてヨシ。
> 調べ見ると、世界初の猫カフェは、1998年に台湾の台北市にオープンした「猫花園」だったことが判明。*現在は「小猫花園」という店名に変わっている。
> あるネコ好きのカップルがいて、彼らが経営する飲食店で客から見えるところで飼っていた。すると客から、あの子たちと触れ合いたいというリクエストがあったことがきっかけで、猫を店内に解放し、自由に移動できるようにしたところ、愛猫家の間で話題になったらしい。
> 世界初の猫カフェは台湾で生まれ、そのコンセプトは日本で開花したという。
(改行は適宜省略してあります。)
うーん、どうなんですかね。その程度の処置で「世界初の猫カフェ」と言えるんですか?
カフェ内に猫が自由に出入りできる程度のことであれば、台湾でも、日本でも、ヨーロッパでも、米国でも、その他の国でもずーっと昔から(カフェができた当初の頃から)あっただろうと思うのですが。
まあ、日本人の「奥ゆかしい」考え方に従うならば、「台湾で生まれ、そのコンセプトは日本で開花したという」になるのかもしれません。
ですが私は賛同できません。なぜなら、「日本では 2004年に大阪市でオープンした「猫の時間」が初めての猫カフェといわれる」という事実をもって、(特に客の要望に応じて店内へ猫を入れたという場当たり的な考え方ではなく)、最初から「猫を店内に入れて自由に客との触れ合いの時間を設ける」というコンセプトを設定してオープンしたのが日本の大阪市「猫の時間」であれば、それをもって「日本の大阪が世界初の猫カフェ」と主張してもよいと思いますけどね。
>うーん、どうなんですかね。その程度の処置で「世界初の猫カフェ」と言えるんですか?
世界初のカフェがほかにあったら、ぜひ教えてください!