東南アジアにあるタイという国名は「自由」を意味する。
そんなタイを気ままに旅行していた時、現地に住む日本人と知り合い、タイ人から見た日本人の「良いところ」を聞いた。
それは礼儀正しく、丁寧なところで、タイ人の大家さんはよく日本人を絶賛すると言う。
タイ人の国民性としてよく指摘されるのが、小さなことを気にしない「マイペンライ気質」だ。
マイペンライとは「問題ない、大丈夫、気にすんな、(根拠はないけど)なんとかなる」といった前向きな意味があって、楽天的でテキトーなタイ人の考え方や性格をよく表している。
そんなマイペンライのタイ人だけでなく、欧米人などほかの外国人と比べても、日本人は基本的に物を丁寧に扱うし、壁や床に汚れやキズをつけないから、部屋がきれいに保たれる。
外国人だと、友人を呼んで深夜まで音楽をかけてパーティーをして、付近の住民から苦情が出ることがあるけど、礼儀正しい日本人がそんなトラブルメーカーになることはない。
それに日本人が使った部屋には、床や壁にタバコや料理のスパイスの臭いがこびり付いていることもない。
そんな日本人とそれ以外の外国人の違いは、退去する時の部屋を見ればすぐにわかる。
もちろん、日本人離れした日本人もいるけれど、タイ人の大家の間では、日本人の入居者は熱烈歓迎されるらしい。
しかし、タイ人が日本へ来たら、その丁寧さに合わせる必要がある。
タイの日本人宿
「日本人宿」は盗難や詐欺などのトラブルが少ない。が、日本人をカモにする日本人もいる。
3月に入ったころから、日本に住んでいる外国人がSNSで「Moving out sale」と投稿することが増えてきた。
日本でこの時期は引っ越しシーズンにあたり、外国人も例外ではない。
あるインド人は「引っ越しセール」で、洗濯機を5k、テーブルを3kで売り出していた。
「k」は「1000」のことだから、それぞれ5000円と3000円になる。
投稿の最後に、「Negotiable(交渉可能)」と付け加えているところがインド人らしい。
数年前のこの時期、20代のタイ人女性が母国に帰ることになり、アパートの荷物の処分を手伝ったことがある。
その時、アパートの管理会社の人が部屋の確認をしに来て、壁の低いところにキズを見つけ、「これだけで、修繕費は◯万円になりますね」とサラリと言った。
それを聞いたタイ人は「え? こんな小さなキズでそんなに!」とビックリし、さらに単位が「◯千円」ではなく、その10倍と知って絶句。
タイ人は「このキズは最初からありました」と抵抗したが、「その証拠はありますか?」と聞き返され撃沈。
でも、これはとても小さなキズだし、気になるなら家具で隠せばいい! そんな彼女の「マイペンライ理論」が通用するわけなく、それを含めてかなりの出費を言い渡された。
「日本人は細かすぎます! そういうところが嫌いなんです」とこのタイ人は文句を言っていたが、タイに行くと、それが長所になってほめられる。
アパートやマンションの退去時に、修繕費をめぐってトラブルになることは珍しくない。
5年以内に賃貸住宅から引っ越した人を対象に調査を行ったところ、51.6%の人が退去費用に納得できなかったという結果も出た。
賃貸住宅の「原状回復トラブル」については、最近こんなニュースを見た。
ある日本人の女性が約12年住んでいたマンションから出ていくことになって、大家にそれを伝えたところ、修繕費用の見積もりが送られてきた。
その額は約370k、衝撃の約37万円。
部屋の壁紙の貼り替え費用として約13万円も含まれていた。
女性は納得できず、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」で確認したところ、見積もりにはアヤシイところがあった。
そして、ガイドラインと疑問点を大家にメールで問いただすと、壁紙の費用が13万円から一気に約7000円に下がったという。
黙っていたら、12万3000円もボッタクられるところだった。
タイ人から見ると、日本人は礼儀正しく丁寧で、そして細かい。
それに加えて、「おとなしい」というポイントもあると思う。
あの時、大家側の「言い値」に素直に従ったのは失敗だったと今は思う。
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