外国人の疑問 地震大国の日本で仏塔が倒れないワケ

 

桜の花が満開になったんで、ウクライナ人とアフリカ人(タンザニア人とルワンダ人)と一緒に、何か所か桜を見に行ってきた。
その日、彼らが感動したものには桜のほかにも、日本でよく見かけるこんな三重塔があった。

 

 

彼らの母国には木造の建物が少なく、三重塔は日本らしさを感じると喜んでいた。
その後、公園でランチを食べていると、彼らが日本での生活について不安に感じるコトを話す出す。
ウクライナ人とアフリカ人は共通して地震に恐怖を感じていて、「ことし1月に能登半島で大きな地震が起きた。あんな地震が起きた時、いま住んでいるアパートは2〜30年前のものだけど大丈夫なんだろうか?」と不安そうに言う。
その点については完璧ではないが、彼のアパートは鉄筋コンクリートでできているから、きっと大丈夫。
能登で大きな被害を受けたのは古い木造の建物が多かった。
高さ20mのビルも倒れたが、あれは50年以上も前に建てられたものだ。

その流れで、ウクライナ人がこんな質問をする。

「日本ではよく地震が起きるけど、三重塔や五重塔は倒れないの?」

それも基本的には大丈夫。
日本の建築物の耐震構造は昔から優秀なのだ。

 

先日、台湾でマグニチュード7.7の強い地震が発生した。
台湾では過去25年で最大級の地震で、いまのところ10人以上が死亡し、1100人以上が負傷している。
台湾の痛みは日本の痛み。
日本を代表して、首相が被害にあわれた方たちにお見舞いのメッセージをだした。

この地震について、韓国メディアの中央日報が注目したのは世界的に有名なこの建築物だ。(2024.04.05)

台湾強震にもびくともしなかった…超高層「台北101」にある 660トン「特別装置」の秘密

「台北101」の名称は、このビルが地上101階建てになっていることに由来する。
高さは508mで、東アジアにある建築物の中でもっとも高く、2007年にドバイのブルジュ・ハリファが登場するまでは、ギネスブックに認められた世界一高いビルだった。
今回の大地震にもかかわらず「台北101」は全く揺れることなく、その優れた耐震構造に注目が集まっています。

今回の大地震を受けても「台北101」はびくともしなかったから、その耐震構造に注目が集まっている。
「ネタバレ」すると、その理由は内部にある660トンの超巨大な鉄球にある。
この球体は、建物全体が右へ動くと反対方向の左に揺れ、左に動くと右に揺れることによって、建物のバランスを維持しているのだ。
この装置は「動吸振器」と呼ばれている。
この球体の働きによって、「台北101」は強い地震や風を受けても振動を小さくすることができ、建物が揺れても倒れることはないという。
もちろん、限界はあるだろうけど。

 

動吸振器のイメージ

 

「台北101」のエレベーターは東芝製だ。
時速60.6キロメートルというすさまじい速さで上昇することができ、2004年には世界最速としてギネスに認定された。
こんな感じに、このビルは日系企業が中心となって建てられている。

 

 

台湾に「台北101」があるのなら、日本には「東京スカイツリー」がある。
スカイツリーを設計した日建設計も、地震や強風が発生した際の揺れの対策を考え抜いて、「台北101」と同じように、建物と反対側に揺れる装置を設置することにした。

この“起源”はじつは法隆寺の五重塔にある。
7世紀に建てられ、世界でもっとも古い木造建築として知られる五重塔は、地震大国の日本で一度も倒壊したことがない。
その秘密は、建物を貫くようにして立っている大きな柱(心柱)にあると言われる。
日建設計が634mの塔を建てようと試行錯誤した結果、現代の最先端の建築技術と日本の伝統的な技術が出会った。
それで、東京スカイツリーの制振システムは五重塔の心柱になぞらえ、「心柱制振」と呼ばれている。

くわしい情報は日建設計のHPにある「構造設計」で確認確認。

心柱構造の三重塔や五重塔は日本独自の建築物だ。
古代の日本の大工が考え出した心柱の発想や技術が、東京スカイツリーや台北101に通じるなんて胸熱。
地震大国だから、必然的に耐震構造は発達する。
約1500年の歴史の中で、法隆寺の五重塔は一度も倒れたことは一度もないから、外国人も日本の技術を信頼してほしい。

 

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。