金正恩(キム・ジョンウン)氏といえば北朝鮮の最高指導者で、絶対的な権力を握る人物。
そんな金氏が視察に訪れて現場で指示を出せば、そこにいるすべての人間がその言葉を一文一句メモに書き留めるのは当然のこと。
しかし、その中で一人だけ、携帯電話をいじっている人が確認されたことから、韓国メディアの中央日報が記事で報じた。(2024.04.09)
金正恩委員長の指示をみんなメモするが…一人だけ携帯電話を触る人物
金氏を“無視”して、携帯の画面を見るというスーパー無礼が許されるというのは、特別重要な人間に違いない。韓国としては要注意人物で、今後の動きが気になるようだ。
この記事を読んで、頭に浮かんだ漢(おとこ)がいる。
それはアウグスト・ランドメッサーというドイツ人だ。
周りの人みんながナチス式敬礼をしている中、彼だけはそれを拒否し、腕を胸の前で組んでいて、後に世界的に有名になった。
ランドメッサー
ランドメッサーはナチス党に入党した後、イルマという女性と結婚する。そして2人の子どもに恵まれ、彼はささやかで幸せな人生を送り、生涯を終えた。
もし、イルマがユダヤ人でなければ、彼はそんな一生を過ごし、歴史に名前を残すこともなかったはずだ。
ナチスはドイツ人を「優秀な民族」、ユダヤ人を「劣等民族」と決めつけ、ユダヤ人に対して差別的な政策をとっていた。
ランドメッサーはユダヤ人女性のイルマと婚約したことで、ナチス党を除名される。
1935年、ナチスはドイツ人の血と名誉を守るため、ユダヤ人とドイツ人の結婚や性交渉を禁止するニュルンベルク法を制定した。
ちなみに、この法律には抜け穴があった。
例えば、ヒトラーの専属料理人の女性はユダヤ人だったのに、ヒトラーは彼女の作る料理が大好きだったから、名誉アーリア人とされた。
また、ヒトラー基準では、日本人もアーリア人となる。まぁ、勝手にすればいい。
ニュルンベルク法によって、ランドメッサーはイルマと結婚することが不可能になる。
その翌年1936年の6月、ハンブルクで行われた海軍の進水式で、そこ場にいた全員が腕をまっすぐ伸ばし、ナチス式の敬礼をしていた中、彼だけは腕を組んだまま不満そうな顔を浮かべていた。
*この人物はランドメッサーと言われているが、別の人物の可能性もある。
その後、ランドメッサーは「人種汚辱罪」、つまりドイツ人の“純潔”を汚した罪で逮捕され、イルマとの関係をこれ以上続ければ懲役刑になると警告を受けた。
しかし、彼はナチスの人種差別政策には立ち向かい、イルマと一緒に住むことを選んだ結果、1938年に逮捕されて収容所に送られた。
イルマも強制収容所へ入れられ、そこで殺害された。
ランドメッサーは釈放された後、1944年に徴兵され、クロアチアの辺りで戦死したと考えられている。
1945年にヒトラーは自殺し、ナチスは崩壊した。
1951年の夏、ドイツでランドメッサーとイルマの結婚が正式に承認された。
(August Landmesser)
日本人が犯した「ナチスの失敗」。しまむら・欅坂46・Jリーグ
「空気を読む」ことが、生きていく上で必須の能力とされる現代日本人には、決して真似ができない行動でしょうね。