日本の警察がする職務質問は外国人に対して差別的か?
そのことついて、前回、知人のドイツ人の意見を紹介した。
日本の警察の職務質問は“外国人差別”? ドイツ人に聞いてみた
彼との会話で、ドイツでは「人種差別」の事情がほかの国とは違うという話を聞いたんで、今回はそれについて書いていこうと思う。
第二次世界大戦がはじまる前から、ドイツではユダヤ人差別が行われていた。
ナチスはドイツ人を「優れた民族」と考え、一方でユダヤ人を「劣等な民族」と見なし、両者の血が混ざることを嫌い、結婚を禁止する。
そんな人種差別的な発想はどんどん強くなっていき、大戦時には、すべてのユダヤ人を殺害することを目的にホロコーストがおこなわれた。
ナチスはヨーロッパの各地でユダヤ人を見つけ、家畜のように列車で強制収容所に送った。
そこでは健康そうな人間は死ぬまで過酷な労働を強いられ、弱者はすぐにガス室へ送られ、最終的には 600万人ものユダヤ人が虐殺された。
人類史上、最悪の犯罪であるホロコーストの原因は、ユダヤ人に対する激しい差別意識だった。その反省から、現在のドイツでは、人種を理由にした侮辱や差別行為にとても厳しい。
しかし、それはナチスの子孫にあたる白人のドイツ人の考え方だ。
知人の話によると、移民やその子孫、外国出身のドイツ人は一般的に「ナチスのホロコーストと自分は関係ない」と考えていて、その責任を受け継ごうとしない。
ドイツの主に白人層が嫌悪する人種差別というのは、ナチスを支持するような極右勢力の言動を指す。白人はそれを敵視し、注意を向ける一方で、警察の職務質問に対する関心はあまり高くない。
反対に、海外にルーツを持つドイツ人はホロコーストに対する罪悪感を感じてなく、彼らにとって差別問題とは、警察の職務質問のように、自分たちの日常生活で起こることを指している。
同じドイツ国民でも、白人とそれ以外の人種によって「差別」が意味する対象が違うという。
ドイツで生まれ育った白人の彼の感覚では、戦後のドイツ国民はホロコーストという「原罪」を背負い、二度と繰り返さないよう教育をはじめ、社会全体で強く意識してきた。
しかし、海外出身の新しいドイツ国民はそんな考え方をしていないから、差別に対する見方に大きな違いがある。
これは彼の見方で、客観的な意識調査をしないと正確なところは分からない。
でも、日本人のボクが考えても、トルコやベトナムから来た人たちがホロコーストの責任を引き継ごうとするとは思えない。
こんな意識のギャップは、世界でもドイツにしか存在しない。
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