最近、ルワンダ人と話をしている時、ボクが韓国の話題を持ち出して「コリアが~」と言うと、「ちょっと待てくれ」と彼が話をさえぎってこう聞いた。
「君が言っているのはノースかサウス、どっちのコリアのことだ?」
15年以上前、タイで出会った白人の旅行者と話している時にも、同じことがあった。
もちろん、これは個人的な反応で、そのまま一般化することはできない。
日本人は一般的に韓国を英語で「コリア」、北朝鮮を「ノースコリア」と呼ぶ。でも、そんな日本の常識が、必ずしも外国人に通じるわけではないなと久しぶりに実感した。
ちなみに、英語の「Korea」は 10世紀に成立した「高麗(こうらい、コリョ)に由来する。
韓国と北朝鮮は 1950年に戦争をはじめ、朝鮮半島の各都市が破壊された結果、全体で 500万人の犠牲者が出たという説がある。
この戦争は 1953年に休戦協定が結ばれが、戦争はまだ正式には終わっていない。
韓国と北朝鮮はいまでも相手を「敵国」と見なしていて、南北の境にある板門店に行くと、両軍兵士がにらみ合っているのを見ることができる。
こんな緊張状態や微妙な関係が、「コリア」の呼称にも影響を与えている。
アメリカの象徴であるコカコーラは世界中の人に愛されているが、2012年の時点で、販売されていない国が2つあった。
それがキューバと北朝鮮だ。
北朝鮮については、1950年の戦争からアメリカが「敵国」と認定し、貿易禁輸措置の対象となっている。
とはいえ、コカコーラが闇ルートで北朝鮮に入っていて、平壌のレストランで販売されているというウワサもある。
コーラとコリア、発音が似ているこの2つについて、3年前にこんな出来事があった。
中央日報(2021.06.30)
「Japan」はOKで「Korea」は禁止語? 困惑のコカコーラ「ボトルマーケティング」
この年、アメリカでコカコーラ社がコーラ瓶のオーダーメード・サービスをはじめた。
約 663円を支払い、自分の好きな言葉を伝えると、それが印刷されたボトルを配送してくれるというのもの。
もちろん何でもOKではなく、誰かを侮辱したり差別したりする言葉、または商標権を侵害するような言葉は NGだ。
会社側はいくつかの禁止語を設定し、たとえば「Nazi(ナチス)」や「Hitler(ヒトラー)」などの単語は入力できないようになっていた。
それで思わぬトラブルが発生。
アメリカやフランス、イングランド、ジャパンは何の問題もなかったが、あるユーザーが「Korea」を入力すると、「あなたが入力した名前は承認されていません」という画面になった。
韓国人としては納得がいかない。
なんでこうなるのか、中央日報が米コカコーラに問い合わせところ、「まだ回答は来ていない状態」とのこと。
これが「South Korea」なら、問題なく注文ができたらしい。
「Japan」はOKで「Korea」は禁止語? と不満げに言われても、「ジャパン」と違って「コリア」は扱いがむずかしいのだ。
「韓国=コリア」という認識は世界的に広がっていると思うけど、それが必ずしも通じないケースもあるのだなと、あらためて実感させられた。
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