日本に半年ほど住んでいて、ことしの3月に母国に戻ったハンガリー人の女性と話をしていると、日本との違いについての話題になった。
彼女がハンガリーに帰国した後、感じたことの一つに「プチ解放感」があるという。
これからその内容を紹介しよう。
ハンガリーで買い物をすると端数が処理されるから、最後の数字は0か5の二択しかない。
ハンガリーの通貨はフォリント(Ft)といって、1フォリントは約 0.44円だ。
1円からはじまる日本と違って、フォリントの最小通貨は 5フォリントで、買い物の際には端数はカットされるから、こんな感じになる。
端数が1~2Ftの場合は切り捨てられて「0」になるため、101Ft や 102Ft は 100Ft となる。
3~7Ftなら切り捨て/上げられて「5」になるから、103Ft や 107Ft は 105Ft となる。
8~9Ftなら「0」に切り上げられ、 108Ft も 109位Ft も 110Ft になる。
ということで、最後の数字は必ず0か5になるのだ。
日本のコンビニで 103円の物を買って 110円を払い、店員が「あっしたー」とお釣りを5円しか渡さなかったら、「おいコラ」となるが、ハンガリーでは最小単位が 5フォリントだからそうなるしかない。
この時ハンガリー人には聞かなかったけど、店が最後に締めの作業として、一日の売上を計算するときは端数をどう処理しているのだろう?
むかし、銀行に勤めていた知人から、計算して少額合わなかった場合、支店長が出していたという話を聞いたことがある。数え直しなんて冗談じゃないから、みんながこのシステムを黙認していて、支店長は大量の小銭を用意していたという。
日本の銀行ならこんなことは口外できないが、ハンガリーでは公然と行われているかもしれない。
ハンガリー人の国民性(たぶん)
日本の店では端数が切り捨て/上げられることはない。
だから、そのハンガリー人が日本の店で買い物をすると、必ず正確にお釣りを受け取っていた。
そうすると、財布に小銭がたまってしまい、個人的にその感覚がイヤだったという。
彼女としては金額が 1002円だったら、端数を切って 1000円にしてもらったほうがいい。
2円の損失なんてドーでもいいし、そんな少額を何度ももらって財布が厚くなることのほうが気になる。
ハンガリーの場合、2フォリントは 10円以下だから、彼女にとっては無くなっても気がつかないレベル。
買い物をして、1〜2Ft を損するか得するかはその時の運によるし、全体的に見ればだいたいトントンになる。
ハンガリーの人はおおらかな性格をしているから、そんなことは気にしないらしい。
しかし、外国人は違う。
以前、外国人の旅行者がその文化を知らず、レジで店員に「ちゃんとお釣りを渡せ!」と英語で怒っているのを見て、彼女が間に入ったことがある。
「日本人はハンガリー人に比べると、良くも悪くもすごく細かい。とくにお金に関しては。友だち同士で食事に行っても、いつも個別会計で自分の分だけを払っていたから、金銭感覚にシビアだなと思った。日本人に聞くと、友人にも礼儀は必要で“貸し借り”を作りたくないと言う。だから、端数を処理するシステムを導入することはないだろうし、日本人がハンガリーへ来たら怒るかも」
と、そのハンガリー人は冗談ぽく言っていたけど、実際にそんな日本人がいたのを思い出した。
10年ほど前、日本人と外国人が集まる友好的なグループで、ハンガリーを旅行していた日本人が「ハンガリーへ入国したとたん、ボッタクリにあいました! みなさんも注意してください」と投稿したら、「おまえこそ現地の文化を学べ」とほかのメンバーから怒られ、投稿を削除した。
最近でも、その仕組みを理解していても、買い物で 398Ft の商品がレジで 400Ft に“値上がり”するのは、やっぱり納得がいかないと不満を言う日本人がいた。
日本人にとっては、小さな金額でも正確性や平等性が重要で、財布が厚くなることはあまり気にならない。
少なくとも、ハンガリー人よりは。
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