中国人もマナー向上に頑張るが、日本人は“異次元”だった

 

先週、日本の中国大使館がSNS(微信:ウィーチャット)の公式アカウントで、日本にいる中国人を対象に、「軽犯罪」に注意するよう呼びかける投稿をした。

 

 

これは、日本で軽犯罪に巻き込まれないように、ではなくて、軽犯罪をしないようにという警告だ。
中国人にとっては軽微なものに見えても、日本では軽犯罪法が適用され、実際に処罰された外国人もいる。大使館はそれに言及し、日本にいる中国人や中国人観光客に、NG行為の具体例を挙げた。

・無人の建物に無断で立ち入る。
・刃物や鉄の棒などを許可なく所持する。
・経歴を詐称する。
・他人の歩行を妨げる行為や、付きまとう行為をする。
・公共の場所で列に割り込む。
・乱暴な言動をする。
・痰(タン)を吐く。
・ごみのポイ捨てや廃棄など。

大使館は上記のような行為をすると、罰金などの処罰を受ける可能性があると警告し、日本と中国の法を守り、現地の習慣を尊重するよう呼びかけた。

他人の歩行を妨げる行為や付きまとう行為というのは、京都で舞妓さんが歩いているの見かけて、写真を撮るために着物を引っ張ったり、追いかけたりするようなことか?
こんな行為や列の割り込みはたしかに迷惑行為だけど、刃物や鉄の棒を所持するとか経歴を詐称するというのはその範囲を超えている気がするのだが。

これに日本のネット民の感想は?

・注意事項って、みんな常識的にやったらいけないことばかりじゃねえか
・日本人でもやってるやろ
毎日一人は見かけるでこれ
・マナーの悪い奴から高額の罰金とったら?
メチャクチャ財政が潤いそう
・なんだよ
マナー向上したんじゃなかったのかよ
・ふた昔まえよりは向上したよ。あっちの人民、上には素直だから

 

 

中国人のマナー違反は以前から国内でも問題になっていて、当局が主導してモラル向上を訴える「文明キャンペーン」をよくやっている。
この場合の文明とは「礼節をわきまえた言動」といった意味だ。
中国を旅行中、公共の場所では列に並んだり、静かに過ごしたりと、マナー良く行動することを呼びかけるポスターをよく見かけた。
でも、知人の中国人に聞くと、こんなスローガンは子どものころから見慣れていて、もう街の風景の一部になっているから、ポスターを見てもキャンペーンの言葉が頭に入ってこないらしい。

 

20年ほど前に中国を旅行中、漓江下りを楽しんでいた時、「日本人ですか?」と中国人のおばさんに話しかけられた。
その人は日本人と結婚していて、その時は故郷に戻って家族旅行をしていて、ボクの格好を見て日本人と思って声をかけたという。
どうやら、知らないうちに「日本人オーラ」を放っていたらしい。
そのおばさんはこんな話をした。

自分が日本に来た時は、日本人のモラルの高さに何度も感心させられ、住んでみるとそれに慣れて何とも思わくなった。だから、たまに母国に戻った時に失望や怒りをよく感じる。
中国は広大で人口も多いから、日本と違って人びとの意識を変えることには時間がかかる。
それでも、だんだんとモラルが向上し、子どものころと比べると、マナーも劇的に良くなってきた。
中国は広大で人口も多いから、日本と違って人々の意識を変えるのは時間がかかる。
あと2〜30年したら、きっと日本人に負けないレベルになると思っていたけど、東日本大震災の時にそれは無理だとわかった。

あの時、巨大地震を受けて、東京では公共交通機関がストップした。
でも、国民は指示にしたがって落ち着いて行動していたし、商店が荒らされたという話も聞かなかった。
駅の構内では、百人以上の利用者が通路や階段の両側にならんで座り、関係者が通れるように真ん中を空けていた。
中国で千年に一度の大災害が起こったと考えたら、みんなパニック状態になって、どんな被害が起こるかわからない。
中国人があんな大地震の中でも、秩序を失わないで行動できるようになるには、あと100年はかかる。いや、永遠にできないかもしれないと思った。
これが、自分が日本に住むことを選んだ理由の一つでもある。

 

それから20年ほどが過ぎて、東京の中国大使館が「軽犯罪」に注意するよう呼びかける投稿をしたのを見ると、「文明革命いまだ成らず」と思ってしまう。

 

 

 

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1 個のコメント

  • > 刃物や鉄の棒を所持するとか経歴を詐称するというのはその範囲(※迷惑行為)を超えている気がするのだが。

    うーん、これについては単にマナーの問題と言うよりも、その民族の社会的慣習や価値観も影響しているのだと思われます。
    たとえば、アメリカ社会においても、地域によっては「銃など護身用の武器を持たずに生活することが自殺行為にほぼ等しい」ようなところがあります。
    アメリカだったら銃は一般人でも比較的容易に入手できます。ですが、ある意味、中国は銃規制がアメリカよりも厳しいところですから、「護身用の武器として銃でなければ刃物か鉄の棒」と考えても不自然じゃない。いくら日本が安全と言っても、在日中国人にとっては異国の一つであり、滞在地や生活空間によっては「護身用の武器が必要」と考える場合もおそらくあるでしょう。(だからと言って許されることではないと思いますが。)

    経歴詐称については、自分の経歴と言う情報に対してどこまで真実を社会へ開示すべきか、自分の利益を確保するためには「経歴に関して嘘をつくことも許される」と考えているかどうか、日本人とは基本的な価値観が合わないのだろうと思います。
    たとえば、日本人だって、元受刑者が正直に自分の犯歴情報を開示してしまったがゆえに、仕事や住処を失うなんていうケースはままあります。そのような場合「嘘をついてでも自分の身を守る」という考え方をするかどうか、日本人でもおそらく個人によって判断は違うはず。
    その判断の割合が日本人とは大きく異なるのでしょう。(だからと言ってこれも許されることではないと思いますが。)

    日本人が人々に求める「マナー」が、人類に共通の(もしくはそれに近い)社会道徳的価値観と言えるかどうか、どこまでそれと同じ方向を向いているかは、なかなか難しい問題です。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。