ドイツ人から聞いたこと 日本のイメージや共生・差別問題

 

サッカーの日本代表で、鹿島アントラーズに所属している佐野海舟選手がドイツ1部リーグのマインツに移籍することが決まった、というニュースをさっき見た。 これから、幕末の勝海舟レベルの歴史に刻むような活躍を期待したい。
今回はドイツつながりで、昨年まで日本に住んでいて、今は母国の大学に通っているドイツ人(20代・男性)から聞いた話を紹介しよう。
ここでの話は彼の個人的な意見なので、その点はご承知おきを。

 

ーー日本では、「外国人が絶賛するニッポン!」みたいなテレビ番組やネットニュースがあるけど、ぶっちゃけドイツで日本はどんな感じ?

もちろん、ドイツでアニメや和食が有名で、日本の人気は爆発中だよ! って言いたいところだけど、それは私のように日本が大好きな人だけの話。一般のドイツ人は好きでも嫌いでもなく、ただ関心がない。
日本について、みんなが知っていることは「SUSHI」くらいじゃないかな。

ーーそうか…。
日本文化を海外に売り込む「クールジャパン」戦略に、日本政府はこれまで 1000億円以上を使ってきたんだけどね。

*日本のサッカー選手がドイツリーグで大活躍すると、「スシボンバー」と呼ばれることがある。一部では“差別的”という指摘もあるが、これはきっと敬意や親しみを込めた表現で、悪意は無い。佐野海舟選手もスシボンバーの後継者になるといいのに。

それじゃ、日本に関心のあるドイツ人の間では、日本についてどんなイメージがある?

「変な国」かな。
日本についてユーチューブやSNSでは、メイドカフェやコスプレ、ポケモンでラッピングされた電車とか、変わったものがよく紹介されているからね。
首都のど真ん中を歩いていて、ビルに上に巨大なゴジラを見ることができる国は日本しか考えられない。
私の母親は、「いつか日本に行って、猿が温泉に入って目を閉じている様子を見てみたい」って言ってた。
ドイツでは「日本はユニークな国」という印象がある。

 

ーー日本について、ネガティブなイメージは?

ドイツ人は動物をとても大切にしているから、日本人がイルカやクジラを食べると聞くと、ドン引きして怒る人も多い。私もこの点は嫌いだ。

ーードイツで動物が大切にされていることの具体例は?

たとえば、ペットの犬は家族の一員という認識があって、一緒に旅行に出かけるように社会的にサポートされているんだ。大型犬を連れて電車で移動するとき、チケットを買えば、その犬を座席に座らせることができる。もちろん、ゲージに入れる必要はあるけどね。

ーー調べてみたら、日本(JR)では、小さな犬なら容器に入れて「手回り品きっぷ」(290円)を買えばOKらしい。でも、大型犬は盲導犬などの例外以外はNG。
日本では、「大型犬と電車でGO!」はできないようだ。

 

ーー日本では少子高齢化がとまらなくて、条件をゆるめて多くの外国人を多く受け入れるようになった。それで、文化や価値観の違いから、各地でトラブルも発生している。
多文化共生でドイツの状況はどう?

ドイツ人は保守的で、社会が大きく変化することを嫌う。
「ドイツはドイツのままでいい」と考える人が多いから、ドイツの価値観を尊重する外国人ならいいけど、そうじゃないと嫌われる。
社会的には多文化共生が進んでいて、いろいろな外国人を受け入れているから、反発も大きくなっているよ。
このまえも SNSを見てたら、ドイツ人がアジア人に向かって、差別的な「つり目のポーズ」をしたのを見たという投稿があった。
これは大きな問題だ。

*差別行為がよくあるから、「スシボンバー」という言葉にも敏感肌になっているのかもしれない。

 

 

「ヨーロッパ」カテゴリー 目次 ①

外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

ドイツ人の価値観 サッカーW杯で日本との試合より大事なもの

ドイツ人はバウムクーヘンを食べるのか? 日本の物とはどう違う?

ドイツ料理にジャガイモの理由。三十年戦争とフリードリヒ大王

ドイツ人が感じた日本の街や人:無人販売所・盗み・創造力

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。