【火と油】日本人とバングラデシュ人の考え方・行動のちがい

 

今回登場するのは、日本の会社で 10年以上働いた経験があって、完ぺきに近い日本語を話す40代のバングラデシュ人のおっs、男性だ。
このブログによく出てくる若い外国人とちがって、彼は日本人について深く知っている。
では、バングラデシュの基本情報を確認してから、そんな彼から聞いた両国民の考え方や行動のちがいについて書いていこう。

面積:14万7千平方キロメートル(日本の約4割)
人口:1億7,119万人(2022年)
首都:ダッカ
民族:大部分がベンガル人
言語:ベンガル語(国語)、成人(15歳以上)識字率:77.7%(2022年)
宗教:イスラム教徒91%、その他(ヒンズー教徒、仏教徒、キリスト教徒)9%(2022年)

ソース:外務省HPのバングラデシュ人民共和国(People’s Republic of Bangladesh)基礎データ 

 

ーーこんにちは。
日本人に「バングラデシュ人ってどんな人だと思う?」って聞くと、ほとんどの人が一時停止する。
日本人とバングラデシュ人では、考え方にどんなちがいがあると思う?

仕事について言うなら、自分が上司として部下に接するとき、「これはこうしたほうがいいよ」と笑顔で言い方をすると、バングラデシュでは失敗する。
日本では平等が重視されているから、そういう丁寧な態度をしめすと、部下は自分に対する敬意を感じるから、気持ちよく仕事をするようになる。
でも、バングラデシュ人の部下にそういう態度を見せると舐められて、仕事をいい加減にやるようになる。だから、「おまえ、これはこうしろ」とえらそうな態度で言うといい。

ーーなるほど、親切心がアダになることもあると。
「郷に入らば郷に従え」でバングラデシュの社会では、上下関係をハッキリさせた方がうまくいくのか。
日本人はそういうのが苦手そうだけど。

 

ーーで、バングラデシュ人の良いところってどんなとこ?

明るくてフレンドリーなところだね。
初対面の人にも、声をかけてすぐに友だちになれるんだ。

ーーそれはわかる。
ボクがバングラデシュへ行ったとき、列車に乗っていると、かならず誰かが話しかけてきた。
日本人が電車の中で、知らない外国人に話しかけることはまずない。
あるアメリカ人の黒人女性は、車両がほぼ満員なのに、誰も自分の隣に座ろうとしなかったから、「これって差別では?」と不快に思ったと言っていた。

そうそう。
悪意はないけど、日本人は基本的に対人関係で距離を取ろうとする。

ーーバングラデシュ人が日本で生活すると、その距離感に戸惑う人が多い。というか、日本人の“間合い”に、スムーズに適応できたバングラデシュ人には会ったことがない。
それで、「バングラデシュ人はフレンドリーだけど、日本人は笑顔が少なくて冷たい印象を受ける」とよく聞く。
あなたもそう感じた? 

日本人は冷たい…、そんなふうに考えていた時期がオレにもあった。でも、それはね、バングラデシュの価値観や文化で見ているからなんだよ。
日本の文化や歴史を知ろうと努力すれば、その理由がわかってくるし、冷たいように見えてじつは温かい人も多い。
日本の社会では、バングラデシュ人のようなフレンドリーさは、あまり必要とされていないんだ。

ーーたしかに、「推してまいる!」みたいにグイグイ来られると、日本人は引いてしまう。

 

ーーでは、日本人の良いところはどんな点だと思う?

しっかり約束を守るから、信用できるところ。
君はさっき、バングラデシュ人は気軽に外国人に話しかけるって言っただろ?
それは言い換えれば、自分の気持ちや好奇心を優先するからなんだ。日本人なら、いま話しかけていいかどうか相手のことを考えるだろ?

ーー「迷惑じゃないかな?」と思って様子を見るかな。

そうそう。
相手に配慮して、自分の行動を決定するところは日本人の美点だ。
バングラデシュ人はそういうところに欠けていて、自分の気持ちに従って行動するから、ある意味フレンドリーに見える。
バングラデシュ人は「自分ファースト」で、その時の自分の都合を優先するから、時間や約束を守らないことがよくある。でも、お互いそれを認め合うから、誰も気にしない。
日本人は状況が変わっても、相手と交わした約束を優先して、内容を変更しようとしないから信用できる。
「丁寧な態度で接すると舐められる」というのと同じで、日本人とバングラデシュ人では優先順位についてもちがうんだ。
そのへんは日本語で言う「水と油」だね。

ーーそれについては思い当たることがある。
みんなでハイキングに行くことになって、ボクが車を出して、約束の時間の5分前に集合場所に着いた。リトアニア人やほかの外国人は来たけど、バングラデシュ人の2人が姿を現さない。
10分後に電話をしたら、上機嫌でこう言った。

「いま、みんなのためにバングラデシュの料理を作っているんだ! あと15分後にそこへ行くよ!」

こっちは早く行かないと、駐車場がいっぱいになりそうで急いでいたのに。
時間を過ぎても連絡すらしないというのは、日本人の感覚ではホントに迷惑でありえない。

それは、日本人の良いところとバングラデシュ人の悪いところが出会ってしまった。

ーーイグザトリー。
彼らは相手のために行動していたけど、「自分中心」で考えるから、ポイントが大きくズレていた。水と油というか、「火と油」だね、心が炎上した。
バングラデシュ人が時間にルーズな点やマイペースなところを理解しないで、日本人の感覚で付き合うと、正直イライラさせられることが多い。
まぁ、逆のパターンもあるのだろうけど。

 

 

イスラーム教 「目次」

外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

日本在住バングラデシュ人の話 文化や社会、信仰の違いなど

【水と油】無神論の中国人とイスラム教徒のバングラデシュ人

インド人とスリランカ人が話す、イギリス植民地支配

 

1 個のコメント

  • > 明るくてフレンドリーなところだね。
    > 初対面の人にも、声をかけてすぐに友だちになれるんだ。

    バングラデシュ人に限らず、日本人以外の外国人は凡そそういう傾向にあると思います。
    これには理由があって、積極的に声をかけて挨拶や会話を試みようとしない、寡黙な相手のことを、彼らは「不気味」「ヤバイ奴かも」と感じるからです。特にアメリカ人とかオーストラリア人なんかがそういう傾向が強いような気がします。
    日本人同士だったら、バスや電車で隣に座った人が黙っていても別に不気味というほどじゃありません。それは、単一民族であるため、黙っていても表情や身振りで暗黙の会話ができているからでしょう。

    あと、これは特にアメリカ中西部やヨーロッパ(ラテン諸国)で感じたことですが、きれいな(でなくても)女性が隣にいたのなら、男性が声をかけないのは「失礼」にあたるようです。少なくとも30年前はそんな感じでしたよ。今は違うかもしれません。
    なお、この発言が元で万一判断を誤っても責任は持てませんから。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。