むかし、友人のインド人が一時帰国から戻ってきた時、「君に土産があるんだ」とガネーシャの像をくれた。
ガネーシャは象の頭を持つヒンドゥー教の神で、とても縁起の良い神様としてインドの人たちから愛されている。
日本人の仏教徒のボクとしては「異教の神」をプレゼントされても、やや微妙なのだけど、インドの文化としてありがたくもらっておくことにした。
最近、日本に住んでいる友人のインド人が同じように一時帰国して、日本に戻ってきて会ったら、彼はこんなお土産をくれた。
これはインドで人気のスナック「カリカリ」。
日本語っぽいネーミングだし、このお菓子はどこかで見たことがあるような気がする。
話を聞くと、これは亀田のインド版「柿の種」だった。
前々から、日本で「亀田の柿の種」を食べてファンになるインド人は多く、そんなインド人の1人に聞くと、彼はこんな理由で「柿の種」を気に入っていた。
・カリカリした食感が良い。
・インドには小麦粉を揚げたスナックが多いから、「柿の種」はとてもなじみやすい。
・インド人はピーナッツが好きだから、それが入っていることもポイント高し。
・ビールに合うし、子どもも食べられる。
「柿の種」がインド人に受けていたから、亀田製菓は2017年にインドの食品大手会社とタッグを組んで、合弁会社の「Daawat KAMEDA(ダワット・カメダ)」を設立し、インド人用の「柿の種」の開発・販売を行うようになった。
それで爆誕したのが「カリカリ」。
今では、スパイス・マニア、チリ・ガーリック、ワサビ、ソルト&ペッパーの4つの味がある。
日本で激辛の「歌舞伎揚」にハマったインド人もいた。
ただ、日本人レベルの激辛だったから、彼には「ピリ辛」でもの足りなかったらしい。
「カリカリ」も「柿の種」も見た目はほぼ同じ。
食べ比べてみると、「カリカリ」は粒が大きくて、スパイスが効いているから味が濃い。さらに、やや硬い感じがする。
インド人は、日本人より強い刺激と食感を求めているのかもしれない。
社会的な地位も違って、「柿の種」は庶民の味方だけど、「カリカリ」の値段は現地の一般的なスナック菓子の3倍くらいする。
これは、プレミアムなスナック菓子なのだ。
緑の丸いマークは、「ベジタリアンでもOK」ということを表している。
インドには宗教的な理由から、肉を食べられないベジタリアンが多い。
人口 13億6000万のうち約 30%が菜食主義といわれ、インドは世界最大のベジタリアンの国でもある。
だから、インド社会で「ベジマーク」はとても重要だ。
日本の「柿の種」には卵やかつおだしが使われているが、「カリカリ」にはそうしたものが使用されておらず、どんなインド人でも安心して食べられるスナックになっている。
調べてみたら、新潟に本社をおき、「柿の種」や「ハッピーターン」、「ぽたぽた焼」といった有名な米菓子を世に出している亀田製菓のトップは、インド人のジュネジャ・レカさんだった。
それなら、「柿の種」のインド・バージョンが作られるのも必然か。
彼は日本のメディアとのインタビューで、いま世界では小麦にアレルギーを持つ子どもたちが増えているから、米を使ったお菓子は時代に合っている。亀田製菓には、スターバックスやKFCのような世界的に有名になる力があると熱く語っている。
その可能性を確認するためにも、日本の米菓にルーツを持つ「カリカリ」をご賞味あれ。
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