口は災いのもと。
不適切な発言をして他人を怒らせることで、自分が受けるわざわいを「舌禍(ぜっか)」という。
つい最近、「おまえは偉くないので、 ◯んでくださーい」や「夏場の男性の匂いや不摂生してる方特有の体臭が苦手すぎる」とSNSで言った人が社会的に逝ってしまった。
さて、1553年のきょう8月13日は、ミシェル・セルヴェがスイスのジュネーヴで捕まった日。
彼はスペイン生まれの人文主義者で医師で、神学者でもある。
セルヴェの犯した罪は、キリスト教で重要な考え方である「三位一体」を否定したことだ。
キリスト教には、
父(父なる神)
子(イエス・キリスト)
霊(聖霊)
の三つが「一体」であるという教えがある。
セルヴェが捕まる前、1517年にルターがカトリック教会にケンカを売って宗教改革をはじめ、プロテスタントという新しいキリスト教のグループが誕生していた。
カトリックとプロテスタントでは同じキリス教でも考え方が違い、相手を殺すほど憎悪していたが、両教派も三位一体は支持していた。
セルヴェはそれを否定したから、カトリックとプロテスタントを怒らせ、両方から追われていて、ジュネーヴで身柄を拘束された。
彼は投獄された後、全財産を没収された挙げ句、生きたまま焼き殺された。最期の言葉は、「永遠の神の子イエスよ、私を憐れんでください」だったらしい。
数百年前のヨーロッパではこんな「舌禍事件」はよくあったのだ。
ミシェル・セルヴェ
現在の野球のルールでは、基本的に9回が終わった時点での得点で勝敗が決められる。しかし、野球の母国・アメリカでは、昔は先に21点を取ったチームが勝者となった。そして試合後はパーティーを開いて、両選手が友好を深めていた。
しかし、このやり方では、試合が早く終わることもあれば、なかなか終わらないこともある。試合の終了を予測することが難しいため、コックから「料理の準備がしづらいわっ」と不満が出た。
それで1857年に全米野球選手協会は「21点先取」のルールを廃止し、代わりに9イニング制を採用した。
毎日新聞のコラム『余録』によると、この時、「9」という数字が選ばれた理由はキリスト教に関係しているらしい。
キリスト教の教義「三位一体」に由来するとの説がある。父(神)と子(イエス・キリスト)と聖霊は一つという教えだ。
野球が米国で考案された19世紀半ば…
父と子と聖霊は一つという「三位一体」の考え方から、当時のアメリカでは「3」の数字が尊ばれていた。だから、それを3回繰り返して9回制になったという説がある。
野球ではほかにも、三振、3アウト、9人など3の倍数が多い。
知人のドイツ人やイギリス人にアメリカの印象について聞くと、「社会的にキリスト教の影響が強い」と言う。
キリスト教では、人類は神によって創造されたことになっている。この立場からすれば、人類はサルから進化したとする進化論は完全に間違いで、キリスト教を冒とくする考え方になる。
だから、アメリカの公立学校で教師が生物の授業で進化論の話をすると、彼は警察に捕まり、1925年にいわゆる「モンキー裁判」がはじまった。その教師は有罪判決を受け、罰金100ドルが科せられたが、最終的には、裁判自体が無効となった。
16世紀なら、火刑に処されたところだ。
聖書の「三位一体」の考え方に基づいて、三振、3アウト、9人、9イニング制を採用した。キリスト教の影響が強かったアメリカなら、あると思います!
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> 知人のドイツ人やイギリス人にアメリカの印象について聞くと、「社会的にキリスト教の影響が強い」と言う。
本当にそうなんですよね。宗教にあまり拘りのない日本人は、アメリカ人をそのように意識したことはほとんどないでしょうけれども。改めて考えてみると、アメリカ社会をまとめているのは、合衆国憲法と、ドルの力と、英語と、その次はキリスト教だと思います。
が、しかし、その「キリスト教的な程度」が、人によって、地域によって、また宗派によって色々異なる。そこがアメリカ社会を理解するのに難しい点であり、奥深いところでもあります。若い頃にアメリカで暫く暮らして、そのことを幾度も私は痛感させられました。
友人のアメリカ人はニューヨークでは「わたしは進化論を信じている」と言って、祖父のいる南部に行くと、「創造論を信じている」と二枚舌を使っています。
アメリカでは宗教で対立するとめんどくさいらしいですね。